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【助産実習】分娩の初期診断が書けない原因は?実習指導者が教える「考え方」のコツ

「初期診断、何を書けばいいのか分からない…」助産実習で、多くの学生さんが最初にぶつかる壁ではないでしょうか?

カルテから妊産婦さんの基本情報、妊娠経過、内診所見、CTGなどの情報を集め、一生懸命アセスメントシートを埋めた。

それなのに実習指導者から、

「それで、この産婦さんのお産はどう進みそう?」

「どうしてそう考えたの?」

と聞かれた瞬間、言葉が止まってしまう…そんな経験はありませんか?

でも、それはあなたの勉強不足ではありません。

情報を"つなげて考える練習"を、まだ十分に経験していないだけです。

学校では知識を学ぶ機会はたくさんありますが、「どう考えるか」を体系的に学ぶ機会は意外と多くありません。

私は現在、助産学生さんの実習指導に携わっていますが、学生さんに求めているのは「正解」ではありません。

知りたいのは、「どのように考えたのか」という思考のプロセスです。

この記事では、実習指導者の視点から、初期診断を書くときに大切な考え方をお伝えします。

「何を書けばいいか」ではなく、「どう考えればいいか」

この記事が、初期診断への苦手意識を少しでも軽くし、「考える楽しさ」を感じるきっかけになれば嬉しいです。


初期診断の目的は「未来を予測すること」

初期診断を行う最大の目的は、

「この産婦さんは、このあとどんなお産になりそうか」を予測することです。

つまり、今ある情報をもとに、未来のシナリオを描くことです。

その目的には、大きく3つの意味があります。

① 情報を「書き写す」のではなく、「つなげて考える」ため

初期診断は、カルテの内容をアセスメントシートへ転記する作業ではありません。

例えば、

高齢初産
BMI高値
妊娠糖尿病(GDM)
陣痛発来からの経過
内診所見

これらの情報を一つずつ評価して終わるのではなく、「この情報があることで、お産はどう進む可能性があるのか」と点と点をつなげて考えることが大切です。

学生さんに求められているのは、知識を並べることではなく、「だから私はこう予測しました」と、自分の言葉で説明できることです。


② 次に何を観察し、どんなケアをするかを決めるため

予測は、予測して終わりではありません。例えば、「分娩が遷延しそうだ」と考えたなら、

・疲労は強くなっていないか
・水分摂取はできているか
・排尿できているか
・リラックスできる環境を整えられるか
・どのタイミングで医師へ相談するか

など、「次に何を観察するか」、「どんな助産ケアを行うか」が自然と見えてきます。

初期診断は、アセスメントを助産ケアへつなげるために行うものです。


③ 「考える力」を身につけるため

実習で一番大切なのは、予測を当てることではありません。私たち助産師も、未来を100%予測することはできません。

だから実習指導者が見ているのは、「結果」ではなく、「考えた過程」です。

・なぜそう考えたのか
・何を根拠にしたのか
・他にどんな可能性を考えたのか
・次に何を確認しようと思ったのか

これを自分の言葉で説明できることが、助産師として成長する大きな一歩になります。


点を「線」に変える思考を身につけよう

例えば、妊娠糖尿病(GDM)のある産婦さんが、妊娠40週3日で入院してきたとします。3日前の推定胎児体重は3,560g。

ここで学生さんは、「妊娠糖尿病だから巨大児のリスクがあります。」とアセスメントを書くことが多いです。

もちろん、その考えは間違いではありません。

でも、そこで思考が止まってしまうのはもったいないのです。

臨床では、次のように考えます。

「巨大児の可能性があるということは、児頭骨盤不均衡(CPD)の可能性はないかな?」

そう考えたら、さらに必要な情報を集めます。

例えば、

・身長や体格はどうか
・狭骨盤を疑う所見はないか
・ザイツ法の結果はどうか
・児頭はどこまで下降しているか

このように、一つの情報から「次に何を確認すればいいか」が見えてきます。

さらに、もし巨大児だった場合は、「肩甲難産のリスクはあるかな?」

「もし起こったら、どんな対応が必要だったかな?」と、ガイドラインや教科書を読み返して知識を整理するきっかけにもなります。

そして、お産が終わった後は、「新生児低血糖にも注意が必要だ。」と考え、

・新生児低血糖の診断基準は?
・どんな症状が現れる?
・どう対応する?

というように、出生後まで視野を広げて考えていきます。

実習では、このように一つの情報から次々と疑問を広げ、教科書に戻って知識を確認することがとても大切です。

知識を暗記するためではなく、目の前の産婦さんを理解するために学ぶ。

その繰り返しによって、バラバラだった知識が少しずつつながり、「点」が「線」へと変わっていきます。それが、初期診断で最も大切な「考え方」だと思います。


アセスメントは「ケア」につながって初めて意味がある

学生さんから、「アセスメントは書けても、ケアが思いつきません。」という相談を受けることがあります。

それは、お産の進み具合だけに目を向けているからかもしれません。

例えば、

・疲労は強くないか
・水分摂取はできているか
・排尿できているか
・リラックスできているか

こうした生活行動にも目を向けることで、「今できる助産ケア」が自然と見えてきます。アセスメントは、計画立案するためだけではありません。

目の前の産婦さんに、より良いケアを提供するために行うものです。


実習指導者から学生さんへ伝えたいこと

私は実習で学生さんによく

「初期診断は、その時点での診断だから、間違ってもいいよ。」

とお伝えしています。

初期診断は、限られた情報から立てる「その時点での仮説」です。

その後、新しい情報が得られれば、アセスメントを修正していけばいいのです。だから、最初から完璧な答えを出そうとする必要はありません。

私が実習で大切にしているのは、予測が当たったかどうかではなく、

「何を根拠にそう考えたのか。」

「新しい情報をどう解釈し、なぜアセスメントを修正したのか。」

その思考のプロセスです。

実習は、知識を披露する場ではありません。

目の前の産婦さんから得られた情報をもとに考え、必要に応じて考えを修正しながら、より良い助産ケアにつなげていく力を身につける場です。

この記事を通して、「初期診断は正解を書くものではなく、考え続けるためのスタートなんだ」と感じてもらえたら嬉しく思います。

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