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俺についてこい

昔々、言われたことあり。
もとい、期待されていながら、
気づかなかったことあり。

20代の私は自分大好き時代のド真ん中で
「誰かについていく」という発想自体皆無だったから、自分の男が私に「ついてきて欲しかった」ことに気づいた時は、言葉が出なかった。
そういうタイプの男だと思っていなかったし
(だから付き合ったわけだけど)、私が「ついていく」タイプではないと宣言するまでもないと思っていたから、
それが辞書にあったと気づいて、、

うろたえた。

それならそうと先に言ってよ。
言ったって信じなかったでしょ、
笑ったでしょ。
ジョークとしか思わなかったでしょ。
確かにそうだ、言われてみれば。
でも本心はそうだったのね、
ってまじまじと相手の顔を見直した。

言いたかったのね。
言わせてあげなかったのね。
それは誰のせい?

いえいえ
ただ人生の初心者だっただけ。
本音とタテマエ。表と裏。
そういうものが存在することすら知らなかった。

ビジネスなら、話は別だったのになぁ、
と今なら思う。
締め切りは?売り上げ目標は?対策は?などなど、数値目標設定し、交渉成立しそうなら契約を交わす。ハッピーエンドでも、残念でしたでも、グットラックと手を振って後腐れもない。

そうはいかないのが、恋愛。
自分だって楽しんだことを棚に上げて、
投資した以上のものが手に入らないと言い、
自分は被害者だと思い込む。
数値目標、設定していなかったのに。
妄想は目標にならないのに。
締め切り設定すらしていなかった。
青春は永遠に続くものだとさえ思っていた。
勘違い、半端なし。
世界が二人のものなのは、
ほんの瞬きする間だというのに。
青春という鏡には「自分」しか写っていなかった。

そんなふうに、チカラいっぱい青春を浪費した私にとって、「俺についてこい」は、苦過ぎるフレーズだ。自分を含めて、時代的にも賞味期限とっくに切れている。顔真っ赤になるくらい時代錯誤のフレーズだが、

今、言われたらどうだろう。
(また、妄想しちゃう。)

懐かしいと思う、ため息出るほど。
可愛いと思う、腰が抜けるほど。
ドキドキしながら、ついていくかもしれない。

(目的地は)どこですか?
(締め切りは)いつまでですか? 
って聞いてみるだろうか、

いや、やめとこう。

青春は無防備にしかける人のものなのだから。
それは本当にあっと言う間で、
楽しめる人だけのものなのだから。

楽しむ?
なら、試しに騙されてみたいかもって思う。
わかってさえいれば、転んでも痛くない?
いやいや、騙されるのも体力必要だな。

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