夏になると、やってくる海
夏になると、海がやってくる。
カラダはどこにいても、海の方からやってくる。あの風と、潮のにおいと、足裏に触れる砂の肌触りと、眩しすぎる光を連れて、
海の方から私にやってくる。
そう
私には思い出せる海がある。
そこは、子どもの足で5分。
大通り2本渡って、波の模様の石畳を超えると
目の前に広がっていた、あの白い砂浜。
6番目から8番目の夏、
私は3つの夏をそこで過ごした。
遠浅の海岸を歩きながら夢中になったのは、サクラガイ。
潮が引いた跡を目を凝らしながら歩くと、
小さな穴からプクプクプク、
小さな息をしているところを見つけて、
そおっと指で掘り当てたり、
波打ち際でキラキラしているところを、
壊れないよう拾い集めたり。
母と妹、私の3人、
大事に持って帰ってガラス瓶に入れ、
うっとりと眺めた、
小指の先ほどの大きさのピンク色の夏。
あのサクラガイ、どこに行ったのでしょう。
わからないけど
夏になるとタイムカプセルになって戻ってくる。
開けてみると、
あの時の、あの海。
追伸 :
はい、サクラガイの季語は夏ではありません。
(春だとか?)
でもいいんです。
サクラガイがいたブラジル、サントス、
あの海は私にとって永遠の夏なのですから。
