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リアル絵柄と漫画デフォルメ絵柄の間を揺蕩える絵柄の強み

※この文章は敬称略です。

リアル寄りの絵柄というのはなんというかオトナでカッコいい。
でもちょっと近寄りがたくて難しくて感情移入しづらい。
ファッショナブルだしカッコいいんだけど身近ではないというか、距離が遠いというか。
例えば坂本眞一とか。上條淳士とか。

という刷り込みが元々あって、リアル寄り絵柄(以下リアル絵)と漫画デフォルメ絵柄(以下漫画絵)の間が子供の頃の私の中では本来分断されていた。

その私の固定観念を覆した絵というのが2つばかりある。
ひとつは山岸凉子のコミックス「瑠璃の爪」の表紙。

もうひとつは上杉可南子(現在はエロ路線しか描いてないようだが昔は文学志向だった…)のデビューコミックス「うすげしょう」である。
(レビューがさあ…同感すぎて泣けるよね…)

「うすげしょう」はいいぞ!今は手に入んない気もするけど。
「和」の雰囲気が堪能できるのと「報われない恋」というテーマで共通した短編集である。
衆道もあるぞ!(笑・「魚鱗」だったかなタイトル)
一番インパクトあったのは「せめていよかし」かな。
悪い女のふづきさんのめちゃくちゃ「和の」魔性の女っぷりにゾクッと来たもんである。
ふづきさんのパーソナリティは好きじゃないが、恐ろしく美しく妖しかったのは間違いない。
あ、こりゃ主人公の男の子もコロッと騙されるわ、と納得の妖女である。

そういえば前に木村晃子のデビューコミックスが好きと書いたが、同様にデビューコミックス大好き勢のもう1人が上杉可南子なのである。

余談だがさらにもう1人デビューコミックス大好き勢を上げると安孫子三和の「天使の降る日」である。

特に表題作のシリーズと「うみにすむ人魚」(だったかな)という作品がたまんなく好きだった。
安孫子三和は(レディース移籍以降は知らないがそれ以前は少なくとも)全作品好きである。

木村晃子と安孫子三和と合わせて私の猫っぽい漫画絵デフォルメの影響の基礎かもしれない。

安孫子三和というとセットで出てくるのが清水玲子で、こちらは(絵の傾向をざっくり二分法で言えば)少女漫画の上條淳士というかどちらかというとリアル系(も描ける)等身高い系という雰囲気で私は捉えていた。
上條淳士にせよ清水玲子にせよ画力でモノを言わせる系というか、どちらも非常に憧れたんだけど、今振り返ってみると自分の中に残ってる要素は、木村晃子、安孫子三和、上杉可南子(初期)かなーと思う。

残ってるとは言っても、上記の漫画家さんの絵を模写したりトレースしたことは一度もないので(画力追いつかなくてそもそも無理だった)、ただただひたすら繰り返し読んで眺めてただけなんだけどね。

その眺めてたものが最終的になんか不意に出てくる、自分の中に残ってるのはたぶん、流麗な描線の完璧フォルム(上條淳士、清水玲子系)より、雰囲気や情緒、表情の濃厚な絵(木村晃子、安孫子三和、初期上杉可南子)が実際は好みだった、ってことだと思う。
そんでずーっとずーっと飽かず眺めてたので、影響されちゃったのだと思う。

なんか脱線が多いな。
無理矢理本題に戻る。

で、その上杉可南子のデビューコミックス「うすげしょう」にはカラー口絵が付いてて、おさげ髪の女の子のアップだったんだけど、目とか鼻とかがリアルっぽかったのである。
なんというかハーフリアル。
しかも超日本人顔。

正直「えっ」てなった。
漫画絵でリアルが混じってる。
しかも超日本人顔。
驚いて本編の絵をしげしげ繰り返し眺めたけど、最初はわけがわからなかった。
ただ衝撃だった。
それでも繰り返し読んで年数が経ってくると、超日本人顔リアルデッサンから換骨奪胎して、とてつもなく妖しい和風美人や和風美少女や和風美青年の絵柄になっていることが徐々に飲み込めて来たのであった。
飲み込めて来ても実践で描けはしなかったけど。

で、どっちを先に手に入れたのかわかんないけど冒頭で出した山岸凉子のコミックス「瑠璃の爪」
こちらもリンク先の表紙画を見て貰えばわかる通りのハーフリアル画である。
厳密には完全リアルではない(目が大きいとかのデフォルメは多少ある)が、かなりリアル寄りで、えくぼどころかほうれい線や人中までガッツリではなくほんのり(というあたりも多少の漫画絵デフォルメで)描いてある。

上杉可南子にせよ、山岸凉子にせよ、
「え、漫画絵とリアルデッサンて地続きなんだ!!」
という衝撃を(すぐにはその仕組みを理解できなかったにせよ)私に与えたのである。

これは後年、絵柄ストーカーに遭うたび絵を描く活動を休止していた私が再稼働する際、昔の絵柄がダメになったのでリアルデッサンからの換骨奪胎で新たな絵柄になる、という形で実になった。
それでも現在なんとなく残っているのが木村晃子、安孫子三和である。
よほどツボだったんだと思う。
和風の絵には未だ初期の上杉可南子の影響があると思う。
私の和風絵のお手本になったと言ってもいい。
あれは和風絵のひとつの極北だと思う。

で、かわいらしい絵柄だけど安孫子三和も実は密かに巧いんだよね。
清水玲子みたく画力の鬼みたいな捉え方されてないけど、コミックスに収録されてた落書きとか実はウンマイの。
ちゃんとリアルデッサンの素養あるの。
ただそれを前面に押し出してないだけで。
猫好きにはわかると思うけど、猫感めっちゃあるかわいい絵柄なのでLaLaの時代の絵は大好きですね。
(レディース以降はチェックしてないので、知らないのである…)

そういえばリアルデッサンと漫画絵の間を非常に巧みに使い分けているのが岩明均である。
ここぞという決めゴマのリアルデッサン調で重厚感や迫力を巧みに演出している。
それが体調不良による描き込み少なめの「ヒストリエ」であっても、リアルデッサンの素養による質量、重みを感じる演出で読み手の眼を釘付けにする。

デッサン力あると、そういう時にもやっぱ強いよね。
軍団のシーンとかでもトーン貼らずにハッチングで鎧甲冑盾描き分けて。
それがちゃんと金属っぽいの。
すぎょい。
アレクサンドロスちゃんのヤバみもデッサン描きでめためた出てるの。
すぎょい。

というわけで、習得する分には漫画絵線画オンリーの方が効率はいいだろうけど、私が惹かれるのは実はリアルデッサンの素養があってここぞという時にそれが発揮できるような絵だってこと。
あとデッサンの素養があるとすんごい強みにはなるんだよね、って話。

突如和を描きたくなる病
でも絵柄は和じゃないけどね
また10分絵

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