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もしも頭を打った男に論語の『「その日のうちに死んだっていい」と思えることを毎日しよう』を加えたら?

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【「その日のうちに死んだっていい」と思えることを毎日しよう】

朝に道を聞かば、夕に死すとも可なり。
(あしたにみちをきかば、ゆうべにしすともかなり。)

命ある限り、自分の存在意義を追究しなさい。
その答えが垣間見えたら「その日のうちに死んだっていい」くらいの気持ちになるだろう。

(里仁第四/74)

引用:超訳 論語 「人生巧者」はみな孔子に学ぶ/出版社:三笠書房/著者:田口佳史

【恐らくこうなる】

子供みたいに言うことを聞かない千鳥足で2階に辿り着く。

ガチャ
ドアを開けた。
散らかった部屋の中から拾い上げる。
息子が欲しがっているアンパンマンの形をしたアイス。

息子は愛と勇気を手にして喜ぶ。
俺の心は嫉妬と絶望だけが友達。
だから酒に溺れてる。
くだらない。
実にくだらないな。

(1階に戻ろう)
そう思い立ち上がった。

『ゴンッ❗️❗️』

頭に激痛が走った
痛みを生んだ原因を手探りした。
すぐにそれは分かった。
換気するために開けていた窓の角に頭を強打していた。

激痛が走る箇所を掌で抑える。
頭部はドクドクと脈打ち、掌にその感触が伝わる。
痛みが治まり、目の前に右手の掌を持ってくる。
掌は血で真っ赤に染まっていた。

俺はそのまま気を失った。

(ここは…何処だ?)

鈍い頭をブンブン振り回し、起き上がった。
辺りには何もない。
木も、建物も、そして、人の気配も。

不自然な感覚に襲われた。
まぁいい。
生きていても死んだような毎日を送っていたのだから。

「おい」
突然後ろから声を掛けられた。
少し冷たい声がした場所へと振り返る。

次の瞬間、俺の思考は止まり目を疑った。
そこには、俺と背格好が全く同じ真っ黒い影のような男が立っていた。

男は言った。
「しけた顔してんな。毎日酒ばかり。ストロング缶をビジネスバッグに入れて持ち歩く様。恥ずかしい。お前、逃げてんじゃねぇよ」

こいつは何も分かっていない。
こいつは俺のことなど何も分かっていない。

俺は言った。
「仕方ないだろ…今の仕事に耐えるしかないんだよ。俺には家族がいる。やりたいことがあっても収入の不安もある。それに、もう一人家族が増える。今更やりたいことをやるなんて遅すぎるんだよ」

男は全身真っ黒でも、呆れた様子が分かるくらいオーバーリアクションをした。

「じゃあお前、このまま死んでも後悔はないんだな?」

それについて考えた。
考えたくはなかった。
しかし、考えた。
考えた、考えた。
一つ、分かった。

俺は、後悔すると思う。

男は俺に歩み寄り、右肩をポンっと叩いた。

「お前のやりたいことをやれよ。その日のうちに死んだって構わないってことをな」

そこでハッと目が覚めた。
「大丈夫?」
潤んだ目をして俺を見ていた妻の顔に安堵の表情が浮かぶ。
息子は、「パパぁ〜」と言いながら俺に抱きついてきた。

そうか…
こんな俺のことを心配してくれているんだ。
意識を失ったからじゃない。
ずっと、ずっと、応援してくれているんだ。

「明子」
俺は頭を右手の掌で抑えながら起き上がる。
そして、自分の中に眠っていた魂を叩き起こした。

「俺、もう一度目指そうと思う。漫画家を」

明子は何も言わずに頷いた。

次の日、会社に辞表を提出した。
「突然辞めるなんて何を考えている!」
当然反対された。
だが、俺は夢を追うことに賛成してくれた家族の想いに応えたかった。
自分の魂に辞表は出せなかった。

ビジネスバッグの中のストロング缶を握りつぶし、駅のゴミ箱に捨てた。

そして、3年後。
「現在、ヒーロー漫画の異端児として読者を楽しませていますが、その秘訣は何ですか?」

ソファに長い脚を綺麗に揃え、一分の隙のないほどにベージュスーツを着こなした女性から質問された。

俺はこう答えた。
「ある日、意識を失い、こう言われたんです。その日のうちに死んでもいいことをやれって」


🅿️人生一度きりです。

いつ何があるか分かりません。
明日が来るとも限りません。
だからこそ、「これが本当に自分がやりたいことなのか?」と、問い続ける必要があるのです。

血は絶え間なく流れている。時の流れは止まらない。だから、やりたいことをやろう。止まらずに今日から。

もしも頭を打った男に論語の『「その日のうちに死んだっていい」と思えることを毎日しよう』を加えたら、恐らくこうなる。

参考文献
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