見出し画像

【投資のヒント㉔】信用残と騰落レシオ。市場の「信用残」から需給の限界点を測定する



株価を動かす「見えない在庫」と「市場の体感温度」

皆さん、こんにちは!FPみっちーです。50代、独身、人生の後半戦を美味しいワインと旅行、そして知的な資産運用で最高に楽しんでいます。

今週はチャートの基本から始まり、昨日の「投資のヒント㉓」では「出来高(売買高)」という嘘をつかないエネルギーの読み解き方を学びました。価格の上下だけに惑わされず、市場のリアルな熱量を見る感覚、少しずつ掴めてきたでしょうか?

今日はお待ちかねの上級編です。テーマは、市場に隠された「見えない在庫」をあぶり出す「信用残」と、市場全体の呼吸の乱れを測定する「騰落レシオ」です。

「また難しそうな専門用語が出てきたな」と思うかもしれませんが、これが分かると、市場参加者たちがどれだけの「将来の売り爆弾」を抱えているのか、解散価値や実力に対してどれほど限界まで買われすぎているのかが、具体的な「数値」として手に取るように分かるようになります。

25年の金融キャリア、リスク管理の現場で見た「需給の現実」

私は金融業界に25年間身を置いてきましたが、融資の審査やリスク管理において最も重視するのは、「貸したお金がきちんと返ってくるか」、つまり「出口の確実性」です。

株式投資も全く同じです。私もかつてベトナム投資をした際、「現地の成長性」という入り口ばかりを見て、市場の「需給(売り手と買い手のバランス)」や「出口の流動性」を完全に無視していました。上級の投資家になるためには、市場の裏側にある「需給の限界点」を計算できるようになる必要があります。

将来の売り圧力をあぶり出す信用残

まずは「信用残」から解説します。株式市場には、現金を投じて買う「現物取引」だけでなく、証券会社からお金や株を借りて取引する「信用取引」があります。

日本の信用取引には、原則として「6ヶ月以内」に決済(買い戻し、または転売)しなければならないという期限のルールがあります。

[出典:金融庁「金融商品取引法に基づく信用取引の見直しについて」]

この信用取引の未決済の残高のことを「信用残」と呼び、毎週日本取引所グループ(JPX)からデータが発表されます。

  • 信用買い残:将来、6ヶ月以内に「売らなければならない」買い手の在庫。

  • 信用売り残:将来、6ヶ月以内に「買い戻さなければならない」売り手の在庫。

「買い残」が多すぎる株は、上値が重い

ここで注目すべきが、将来の売り圧力となる「信用買い残」です。 いくら企業の業績が良くても(第3週でやりましたね!)、株価が下がっている途中で「割安だ!」と信用取引で買った人たちの「買い残」が大量に積み上がっている株は、なかなか株価が上がりません。なぜなら、株価が少しでも上昇すると、含み損を抱えて苦しんでいた信用買い勢が一斉に「やれやれ、トントンで逃げ出そう」と売りを浴びせてくるからです。

上級者は、気になる銘柄の「信用倍率(買い残÷売り残)」をチェックし、これが不自然に高い(例えば10倍以上など)銘柄は、需給が悪化している銘柄として、しばらく買いを見送る判断をします。

市場全体の「熱狂と絶望」を数値化する騰落レシオ

次に、市場全体の過熱感を測る強力なインジケーター「騰落レシオ」です。これは、東証プライム市場などの「値上がり銘柄数」を「値下がり銘柄数」で割って、市場全体の勢いをパーセンテージにしたものです。一般的には25日間の移動平均が使われます。

使い方は驚くほど明快で、需給の限界点を以下のように測定します。

  • 騰落レシオが120%以上:市場全体が「買われすぎ(熱狂圏)」。ほぼ全ての業種が上がりきっており、ここからの追撃買いは危険。静かに利益確定を考える局面です。

  • 騰落レシオが70%以下:市場全体が「売られすぎ(絶望圏)」。業績が良い優良株までが巻き添えで理不尽に叩き売られている状態。ここは大人の大チャンスです。

需給の限界点を突く!大人のスマート先回り戦略

この2つの武器を掛け合わせることで、私たち50代の賢い投資家は、以下のような極めて期待値の高い立ち回りができるようになります。

  1. 騰落レシオ70%以下の大バーゲンセールを待つ 市場全体が総悲観になり、騰落レシオが70%を割り込んだ時、私は週末に美味しいワインを飲みながら、第1週や第3週で厳選しておいた「財務ピカイチの優良株」のリストを眺めます。

  2. その中から「信用買い残が少ない銘柄」を狙い撃ちする 全体が暴落しているのに、信用買い残があまり溜まっていない(将来の売り圧力が溜まっていない)銘柄を探します。そうした銘柄は、市場にリバウンド(反発)の風が吹いた瞬間、上値を抑える売り圧力が存在しないため、ロケットのように最速で株価が駆け上がっていきます。

  3. ポートフォリオを分散して守りを固める リタイアメントを見据えた50代の資産運用において、一点突破のギャンブルは厳禁です。私は日本株原物だけでなく、オルカンや金ETF、さらに相場下落時に輝くベアファンドなどを組み合わせています。需給の歪みを突いて勝率を高めつつも、常に万が一の「リスク管理」の網を張っておくことが、人生後半戦を退屈せずに勝ち残るコツです。

まとめ:数字の裏にある「投資家の苦悩」を読み解こう

株式投資の上級編とは、高度なAIプログラムを組むことではありません。信用残や騰落レシオという公開されたデータから、「いま、市場の向こうで含み損に苦しみ、期限に追われている投資家たちの心理」を冷徹に読み解くことです。

彼らの「投げ売り」という需給の限界点を静かに待ち、誰もが恐怖している時にスマートに手を差し伸べる(買い取る)。これこそが、大人の投資家の最高にエレガントな勝ち方です。

明日「投資のヒント㉕」は、第5週相場指標投資の最終日、プロ編です。市場の恐怖を数値化した「VIX指数」とオプション市場の歪みから、ヘッジファンドのポジションの裏をかき、本当の「大底」のシグナルを見極める究極の戦略についてお話しします。どうぞお楽しみに!


いいなと思ったら応援しよう!

FPみっちー 日々、FPの目線で50代男性の退職後の人生に必要な情報を発信しています。よろしければ応援よろしくお願いいたします。いただいたチップは、記事を書くための費用に使わせていただきます。

この記事は noteマネー にピックアップされました

noteマネーのバナー