国際情勢:ロシアは何が譲歩できて、何が譲歩できないのか?ドナルド・トランプは独裁者を丸め込む_28/11/2025
ロシア・ウクライナ戦争の新和平案の期限であるアメリカの感謝祭、Thanksgiving Dayは2025年11月27日木曜日だった。アメリカとウクライナはすでに合意したから、これからロシアに提案すると言う。(文字数5,990)
28カ条は19カ条に減り、あるいはもっと内容が変わっている可能性もあるが、それでも争点は変わらないだろう。この新和平案に記載される、されないに関係なく、必ず話題となる項目は存在する。これは変わらないだろう。
ではロシアとしては、どの項目が譲歩できて、どの項目が譲歩できないのか?その優先順位を考えてみたいと思う。そうする事によって、この戦争を終わらせる真の解決策が見えてくるかもしれないからだ。
トランプ大統領としては、ウクライナも、ロシアも、それぞれ譲歩しないと、この戦争は終わらないと考えているようだ。だからお互いテーブルに項目を出して、何が譲歩できて、何が譲歩できないのか、明らかにするのだ。
ロシア側の発言を振り返ってみよう。
プーチン大統領は、アメリカの原案(28カ条)は「原則として、解決の基礎となり得る」と発言している。
ラブロフ外相は、ロシアの意向が反映されないなら「状況は根本的に変わる」と述べている。
ペスコフ報道官は、先に入手した欧州案(19カ条)を見た上で、「楽観的は時期尚早」と述べている。
これが現状だ。では28カ条をもう一回見てみよう。
新和平案 28項目(提案されている内容、太字に注目!)
ウクライナの主権を認める。 ニュースウィーク+2Intel
ロシア、ウクライナ、ヨーロッパ間で包括的な不可侵協定を締結する。過去30年の曖昧さを全て解消する。 Sky News+2ニュースウィーク+2
ロシアは近隣諸国を侵略しない事、NATOはさらなる拡大を行わない事が見込まれる。 Sky News+1
米国が仲介役となり、ロシアと NATO 間で対話を行い、安全保障上の懸念を解決し、緊張緩和と将来的な経済協力の基盤を作る。 CBSニュース
ウクライナに確かな(強力な)安全保障保証を与える。 ABC News+2ニュースウィーク+2
ウクライナ軍の規模を最大 60万人(600,000人)に制限する。 Sky News+1
ウクライナの憲法に「NATOには加盟しない」事を明記し、NATO側も将来的にウクライナを受け入れない条項を規約に盛り込む。 ニュースウィーク+1
NATOはウクライナ国内に部隊を配置しない事を約束する。 Sky News
ヨーロッパの戦闘機(NATO機など)をポーランドに配備する。 Sky News+1
米国による保証(セキュリティガランティー):
ウクライナはEU加盟の資格を持ち、加盟検討中は欧州市場への優遇アクセスを得る。 ニュースウィーク
ウクライナ再建のための大規模なグローバル・パッケージを設ける。具体的には:
a. 技術、データセンター、AI など成長産業向けのウクライナ開発ファンドを設立。 ニュースウィーク
b. 米国と協力してウクライナのガスインフラ(パイプライン、貯蔵施設など)を再建・運営。 ニュースウィーク
c. 戦争被害地域の住宅・都市の復興。 ニュースウィーク
d. インフラ開発。 ニュースウィーク
e. ウクライナの鉱物・天然資源開発。 ニュースウィーク
f. 世界銀行を通じた特別金融パッケージ。 ニュースウィークロシアを国際経済に再統合する:
a. 制裁を段階的・個別案件ベースで解除。 ニュースウィーク
b. エネルギー、インフラ、AI、データセンター、希少資源(レアアース)などで米露の長期協力を進める。 ニュースウィーク
c. ロシアを G8(主要8カ国)に復帰させる。 ニュースウィーク凍結されたロシア資産の活用:
約1000億ドルの凍結ロシア資産を、米国主導のウクライナ再建プロジェクトに投資。米国はその利益の50%を受け取る。欧州もさらに1000億ドルを出資。 ニュースウィーク+1
残りの凍結ロシア資産を、米露共同の投資ビークルに投資し、両国の共通利益を高める。 ニュースウィーク
米露による安全保障ワーキンググループを設立し、本合意の実行を推進・監視する。 ニュースウィーク
ロシアは法制上、ウクライナおよびヨーロッパに対する非侵略政策を明文化する。 ニュースウィーク
米露間で核不拡散・軍縮条約(例えば START I など)の延長を合意する。 ニュースウィーク
ウクライナは核兵器を持たない国家(非核国家)として規定する。 ニュースウィーク
ザポロジエ(Zaporizhzhia)原子力発電所を IAEA 管轄下で再稼働させ、発電した電力をウクライナとロシアで50:50分配。 ニュースウィーク
両国(ウクライナ・ロシア)は、学校・社会で「異文化理解」「寛容」「偏見の排除」を進める教育プログラムを導入:
領域問題(領土について):
a. クリミア、ルハンシク、ドネツクを事実上ロシア領と認める(少なくともデ・ファクトな認定)。 CBSニュース
b. ヘルソン州、ザポロジエ州は現行の戦線ラインで「凍結」扱いに(接触線に沿った事実上の国境)。 Sky News
c. ロシアが他の併合地域(ヘルソンやザポロジエ以外)について、将来的に力で変更しない事を両国が誓約。 Reddit
d. ウクライナ部隊はウクライナが支配しているドネツク州の一部から撤退し、中立の非軍事緩衝地帯(デミリタライズ・ゾーン)を設ける。ロシア軍はそこに入らない。 Reddit将来の領土合意が成立した後、どちらの国も力による領土変更を行わない。違反した場合、安全保障保証(第5項など)は適用されない。 Reddit
ロシアはドニエプル川(Dnieper River)を商業利用するウクライナのアクセスを妨げず、黒海を経由した穀物輸送について協定を結ぶ。 Reddit
人道面で「人道委員会(Humanitarian Committee)」を設置:
a. 全ての残存捕虜・遺体を「全員交換」方式で返還。 IntelliNews
b. 民間の捕虜・人質(子どもを含む)を返還。 ニュースウィーク
c. 家族の再統合プログラムを実施。 ニュースウィーク
d. 紛争犠牲者(市民など)の苦しみに対する救済措置。 ニュースウィークウクライナで 100 日以内に選挙を実施。 Sky News
紛争に関わった全ての当事者に対し、戦争行為に関する完全な恩赦を認め、将来的な請求(賠償請求・法的措置など)を行わない事に合意。 ニュースウィーク
この合意は法的拘束力を持ち、「平和評議会(Board of Peace)」を設置し、ドナルド・トランプ元大統領を議長とし、違反時には制裁を科す。 Reuters+1
全当事者がこの覚書(モラトリアム)に合意した後、合意された地点(後退線)への撤退をもって即時停戦を発効。
この中に正解が隠れており、この中に戦争終結のヒントがある。それを見つけて、整理したい。最終的には、当方が考えるロシア・ウクライナ戦争の解決策、ロシアとウクライナがそれぞれ譲歩すべき点を出してみたい。
これまでの経緯で、判明している両国の希望も出してみよう。
28カ条で関係している項目があれば、横に〇数字を置く。
なおマイナスの記号は、項目の内容の逆を意味する。
ウクライナの希望
1.ロシアに取られた領土は全て返して欲しい。➀ ー㉑a
2. NATOに加盟したい。ー⑦ ー⑧
3.EUに加盟したい。⑪
4. あわよくばロシアに戦争で勝ちたい。ー㉕
ロシアの希望
1.これ以上のNATO東進(ウクライナのNATO加盟)は止めて欲しい。③
2. ロシアがウクライナから戦争で得た領土はロシアのもの。㉑a
3. あのウクライナの大統領を変えて欲しい。(大統領選挙の実施)㉕
4. ウクライナにミサイル基地を作らないで欲しい。近過ぎる。⑧
このように見てみると、確かに28カ条は、ロシア寄りで、ウクライナ寄りではない。ウクライナ側でマイナスの記号が目立つ。それに対してロシア側ではマイナスの記号がない。ロシアの希望が全て叶っている。
ロシアの希望だけ実現して、ウクライナの希望が実現しないのでは、戦争はいつまで経っても終わらず、このまま行けば、欧州を巻き込んだ大戦へと発展する。そうなる前に、ここで戦争を止めるなら、一体何をすべきか?
それはお互いの第一希望を叶えて、
他は全て譲歩する事だ。
これしかない。
では両国の第一希望をテーブルに出してみよう。
ロシアは、ゴルバチョフからプーチンに至るまで一貫して、これ以上のNATO東進は止めて欲しい。これをずっと言い続けている。これがロシアの第一希望だろう。他の希望は、実は全て第一希望に紐づいている。
ウクライナの第一希望は何だろうか?あの大統領に訊いたら、全部と答えそうだから、彼には訊かないが、ロシアに取られた領土は全て返して欲しい。これが今のウクライナの希望ではないか?(戦争の現実はさておき)
ロシアの第一希望は一貫して変わらないが、ウクライナの第一希望はその時によって、変わる可能性があり、流動的だが、欧州も含めて、一番納得がいっていないのが、ロシアにウクライナの領土を取られた事だ。
一番納得がいっていないものを逆にすれば、一番叶えたい第一希望となる。そういう算出の仕方をしよう。ロシアに取られた領土は全て返して欲しいから、NATOやEUに入りたいという見方も成り立つ。
ウクライナの希望
1.ロシアに取られた領土は全て返して欲しい。
ロシアの希望
1.これ以上のNATO東進(ウクライナのNATO加盟)は止めて欲しい。
両国の第一希望は矛盾しない。ロシアは戦争で得た領土をウクライナに全て返還し、ウクライナはNATOに加盟しない。これが両国の第一希望だ。第一希望を叶える代わりに他は全て諦める。これがこの戦争の落とし処だ。
実は戦争前に戻るだけというアホみたいな結論だ。
だが凄く公平な提案でもある。
得てして落とし処は、振出しに戻るという奴だ。
会社間の交渉でも稀によくある。
どうだろうか?
実現不可能な難しい話だろうか?
理屈の上では可能である。
だがこれは戦争である。
そう簡単にはいかない。
物事には慣性の法則がある。
最大の障害は、あのウクライナの大統領でもなくて、ロシア軍ではないかと思われる。戦友の血を流して得た土地を全て返還するなんて、下手したら、反乱を起こす部隊が出てもおかしくない。プリゴジンの乱Mk-Ⅱだ。
だがプーチン大統領は決断しなければならない。
これ以上のNATO東進(ウクライナのNATO加盟)を止めるため、それ以外の希望を捨てるという決断だ。戦争に勝っているのに、他の希望を全部捨てるなんて、ロシア軍からクーデタか暗殺されかねない決断だが、必要だ。
ロシアは戦争に勝っているという誘惑があり、ウクライナはNATOさえ引き込めば、こっちのもの、それまで粘ればよいという誘惑がある。どちらも誘惑に乗れば、希望の総取りを夢見れる。過ぎたるは及ばざるが如し?
これまでの交渉は、全てNATOを巡るものだったという見方は成り立つ。ウクライナはNATOを引き込み、ロシアはNATOを遠ざけようとする。この場合、どっちの欲が過ぎているのだろうか?元々NATOは何のためにある?
またロシア・ウクライナ・ベラルーシのスラブ系三兄弟の関係から考えてみても、NATOを引き込もうとするウクライナは、木に竹を接ぐような事をやっている。また兄弟間で、領土を奪うロシアもやり過ぎかもしれない。
NATOはNATOで仲良くやり、ロシア・ウクライナ・ベラルーシのスラブ系三兄弟は仲直りする。お互い境界線を引いて、近づかない。コレ、冷戦期の鉄のカーテン理論にまで遡るが、これが自然な状態なのだろう。
欧州の東方に、スラブ系の共栄圏が存在する事は、ヨーロッパにとって、あまり気持ちのよい事ではないのかもしれないが、だからと言って、全てEUで統合して、全てNATOで覆う事は、歴史の否定になるだろう。
キリスト教も、ローマン・カトリック系とそこから分かれたプロテスタント系の西欧と、東ローマ帝国を起源とする東方正教会系のスラブ系の世界がある。西ローマと東ローマの分裂ではないが、再統合は困難と見るべきだ。
プーチン大統領が決断して、ウクライナに全部領土を返すと言ったら、ウクライナの大統領としては、断れない。だがその代わりNATOに入れない。彼は懊悩するだろう。あくまでも希望の総取りを狙う彼としては。
まぁ、憑依されているアドルフと相談して決めるがよい。
もしプーチン大統領がこのように決断したのに、ウクライナの大統領が総取りを狙って断り、戦争の続行を願うなら、もうどうしようもない。その時はあいつに憑依しているアドルフを祓うしかない。誰かできるか?
因みにプーチン大統領はロシア正教のチーフ・エクソシストでもある。これは本当である。ロシア正教が認めた。ウクライナの大統領が会うのを嫌がっているのは、案外霊的な理由があるかもしれない。悪霊退散?
あとはトランプ大統領が得意とする独裁者の丸め込みしかない。こないだニューヨーク市長を丸め込んだが、ああいう腹芸は、ドナルド・トランプの本領発揮だ。訳が分からない。だが非常に有効だ。乞うご期待?
要するに、プーチン大統領がエクソシストし、トランプ大統領が丸め込む。なぜならば、三人とも独裁者だからだ。民主主義万歳!悪王よ去れ!
果たして戦争は終わるのか?
当方なりに結論は出たが、
現実はまた別だろう。
そういう世界線を作ってみただけだ。
何かの参考になり、
お役に立てれば幸いである。
ご一読ありがとうございました。
以上
