カスタムGPT・Gems・Claude Projects——何が違うの? 3大AIの「自分専用化」機能を徹底比較した
「AIって、毎回同じ説明するの面倒くさくない?」
たぶんほとんどの人が、一度はこう感じたことがあると思う。
ぼく自身、ChatGPTを使い始めた頃は毎回「ちなみに僕はエンジニアではなくて、できるだけ平易な言葉で書いてほしくて、文章のトーンはフランクで……」みたいな前置きをひたすら打ち込んでた。毎回。同じことを。ゼロから。
あれ、よく考えると「毎朝会社に出社するたびに『田中です、営業部です』って自己紹介してる」みたいな感じなんだよね。AIが相手なのに、なんで僕の方が適応しなきゃいけないんだろうって。
そのときに知ったのが、今回の3つの機能だった。ChatGPTのカスタムGPT、GeminiのGems、ClaudeのProjects。どれも「AIを自分仕様に育てる」という発想の機能だけど、実際に使い込んでいくと、意外とぜんぜん別物だということがわかってくる。
どう違うのか。どこで使い分けるのか。今回はそこをちゃんと書き尽くしてみようと思う。
🔑 まず「仕組みの共通点」を理解する
3つとも、根っこの発想は同じだよね。
普通のAIチャットって、会話のたびに「リセット」される。前の会話で伝えたことは次の会話に持ち越されない。だから毎回、自分のことを、自分の目的を、自分の文体の好みを、ゼロから説明しなきゃいけない。
それを解消するために、各AIが用意したのが「カスタマイズされた専用空間」だと思えばいい。その空間の中に「どう振る舞うか(指示)」と「何を知っているか(資料)」を事前に置いておくと、AIの振る舞いが最初から変わった状態でスタートする。

構造としては3つとも似たようなもので、どれも「指示(プロンプト)+資料(ナレッジ)」のセットを事前設定できる。
でも、そこから先が全然違う。外部サービスとの連携ができるかどうか、公開・配布ができるかどうか、どのエコシステムと相性がいいか、どれだけ深く育てられるか。その差が、それぞれの「らしさ」になってる。
🧩 カスタムGPT — 「作って、外に出す」ための仕組み
ChatGPTのカスタムGPT(GPTs)は、この3つの中でいちばん歴史が長い。2023年末の登場から着実に進化してきて、今や公開されているカスタムGPTは10万を超えてる。
何ができるか
設定できるものは大きく3層に分かれてる。
まず「どう振る舞うか」のシステムプロンプト。これはどのツールにもあるベーシックな設定で、AIのキャラクター、口調、専門性、禁止事項などを自由に定義できる。
次に「何を知っているか」のナレッジ。PDFやExcelファイルをアップロードして、モデルが学習していない社内情報や独自データを参照させることができる。「ネット上に存在しない自社の情報」に基づいた回答が可能になる、というのが実務的な強みだよね。
そして「何ができるか」のアクション。ここがカスタムGPT最大の特徴かもしれない。OpenAPIスキーマの形式でAPIエンドポイントを定義すると、ChatGPTから外部サービスを直接操作できるようになる。GoogleカレンダーやSlackへの投稿、データベースへの書き込み、CRMへの顧客情報登録——つまり「AIが答えを出すだけ」じゃなくて「AIが実際に何かを実行する」ところまで行ける。
2025年からはGPTsビルダー側でモデルの選択もできるようになっていて、用途に応じてどのモデルで動かすかを指定できるようになった。
カスタムGPTのいちばんの差別点
作ったものを世界に公開・配布できることだと思う。
GPT Storeというプラットフォームがあって、自分が作ったカスタムGPTを外部に公開できる。自分で使うだけじゃなく、チーム内で共有したり、他のユーザーに使ってもらう、という発想が最初から設計に組み込まれてる。
「AIアシスタントを作る」というより「AIアプリを作って配布する」に近い感覚かもしれない。
逆に、ちょっと難しいと感じるところ
アクション(外部API連携)は、OpenAPIスキーマを書く必要があって、ここだけはある程度の技術知識が必要になる。設定を間違えると動かないし、認証まわりで詰まるケースもある。「ノーコードで何でもできる」は少し言い過ぎで、高度な連携は開発者向けの話になってくる。
あと、こんなに機能が多いと「どこまで設定すればいいんだろう」と迷いやすい。最初のうちは、指示とナレッジだけで十分だと思う。
💎 Gems — シンプルに「キャラを固定する」、Googleの世界で生きる
GeminiのGemsは、カスタムGPTと比べるとずっとシンプルな設計をしてる。
何ができるか
基本的には「AIにどんなペルソナを与えるか」の設定が中心だよね。「辛口なクリエイティブディレクター」「寄り添い型のキャリアコンサルタント」「マーケティングに特化した編集者」みたいな役割を定義すると、そのキャラクターが一貫して対応してくれる。
文章のトーン(カジュアル、フォーマル、フレンドリーなど)や専門性のレベル(初心者向け、専門家向けなど)もあらかじめ指定できるのが地味に便利で、「このGemで書いた文章は、いつもこの空気感」という安定感が生まれる。
2025年9月には共有機能が追加されて、作ったGemをチームメンバーに展開できるようになった。個人のノウハウをチーム全体に広げる手段として使いやすくなってる。
Gemsがいちばん輝く場面
GeminiとGoogleサービスのシームレスな連携だと思う。
GmailやGoogleドキュメント、スプレッドシート、MeetのなかでGeminiをそのまま呼び出せる環境があって、そこにGemsで定義したペルソナが乗っかってくる。
例えば、「社内向けのメールを書く際にはかならずこのトーンで、こういう注意点を踏まえて」というGemを作っておくと、Gmail内でそのまま呼び出せる。Googleの世界に住んでいる人にとって、これはかなり自然な体験だと思う。
Gemsで気になるところ
カスタムGPTのアクション機能に相当するような「外部APIと直接つないで何かを実行する」機能は、現状かなり限定的だよね。あくまで「AIのキャラと振る舞いを固定する」ことに特化した設計で、実行系の自動化を求めるには物足りなく感じるかもしれない。
シンプルな分、「設定できる自由度の幅」はカスタムGPTやProjectsより狭い、という面もある。深く作り込みたい人には、もう少し物足りなさを感じる場面があるかもしれない。
📁 Claude Projects — 「自分だけのナレッジ基地を育てていく」
Claude Projectsは、3つのなかでいちばん「個人の生産性」という一点に集中した設計だと思う。そして個人的には、この3つのなかで一番実務にぴったりくる感覚がある。

基本の構造
シンプルで、「プロジェクト指示」と「ナレッジ」の2つを設定するだけ。
プロジェクト指示はAIへの基本的な振る舞いルール。ナレッジは関連する資料やファイル。この2つを置いておくと、そのプロジェクト内でのClaudeは、最初からその指示と資料に基づいて動いてくれる。毎回ゼロから説明しなくていい。
1プロジェクトあたりのコンテキストウィンドウは最大20万トークン(約500ページ相当)。大量の資料を読み込ませても、精度を保ちながら応答してもらえるのは、長い文書を扱う実務においてかなり効いてくる。
「育てられる」のが最大の特徴
ナレッジをいつでも自由に追加・更新できることが、他の2つと比べたときのProjectsらしさだと思う。
情報が変わったら差し替えればいい。新しい資料が増えたら足せばいい。ルールを修正したければプロジェクト指示を書き直せばいい。一度作って終わりじゃなくて、使いながら少しずつ賢くしていける。
「育てる」という感覚に近いんだよね。使い始めの頃より、半年使い続けた後の方が、ずっとよく動いてくれるようになる。
2026年のアップデートでさらに変わったこと
2026年3月にメモリ機能が無料プランを含む全ユーザーに開放されたのは、Claudeにとって結構大きな転換点だったと思う。
Projectsとメモリは別レイヤーで動いていて、こんな感じで使い分けられる。
プロジェクト指示:そのプロジェクト専用のルールや前提
ナレッジ:そのプロジェクトで参照させたいファイル・資料
メモリ:会話をまたいでClaudeが自動的に蓄積する「ぼくのこと」
3つが重なることで「ずっと自分のことを知ってくれてるClaude」という体験に近づいてきた。
さらに、MCPという外部連携の仕組みも進化してきていて、GitHub・Google Drive・Slackといったサービスとの接続も段々と現実的になってきてる。「ナレッジを置いておく」だけじゃなく「外部の情報にリアルタイムでアクセスする」方向にも広がりつつある。
Projectsで気になるところ
カスタムGPTのように「外部に公開・配布する」機能は基本的にない。チーム共有はTeamプラン以上で可能だけど、個人の自分専用空間として使うのが基本スタンスになる。
「自分だけのナレッジ基地」という設計なので、外向きに発信したい人より、深く使い込みたい人向けのツールだと思う。
🔍 3つを並べると見えてくる、設計思想の違い
ここまで読んでみると、3つは「同じカテゴリの機能」じゃなくて、狙ってる場所がそれぞれ全然違うな、って感じてくる。
カスタムGPTが目指してるのは「AIアシスタントのプラットフォーム化」だと思う。作って、動かして、外に出す。GPT Storeというエコシステムを通じて、配布・共有・発見の仕組みが整っていて、「AIを使う人」より「AIを作って届ける人」のための設計に近い。
Gemsが目指してるのは「Googleの世界での体験の向上」だよね。Gmail、ドキュメント、スプレッドシートと自然につながって、普段使いのGoogleサービスがAIによって少しずつ賢くなる。設定のシンプルさも、「難しく考えず使い始めてほしい」というGoogleらしい思想の反映かもしれない。
Claude Projectsが目指してるのは「個人の仕事の質の向上」だと思う。自分の業務に特化した資料を積み上げていって、長期的に精度を高めていく。外に出すことより、深く使い込むことの方を向いてる設計。
競合、というよりすみわけ、に近いんだよね。
💡 Miccellの視点:「どれを選ぶか」より「何を積み上げるか」
ここまで読んで、まだ「どれを使えばいいかわからない」という人に、正直なことを言っておくと——
最初はどれを選んでもあまり変わらないと思う。
この3つはどれも「設定した瞬間にすごく賢くなる」わけじゃない。最初はちょっと便利になったくらいの感覚だったりする。でも、使いながら指示を改善して、資料を追加して、「こういうときはこう言ってほしい」を少しずつ積み上げていくと、数週間後に急に「あ、これはもう手放せない」ってなる。
選ぶポイントとしては、こんな軸で考えると決めやすいかな。
使いたい環境で選ぶなら、GoogleサービスがメインならGems、ChatGPTを既に使っているならカスタムGPT、Claudeをメインで使っているならProjects、というのが一番シンプルな分け方。
目的で選ぶなら、外部サービスと連携してAIに何かを「実行」させたいならカスタムGPTのActionが強い。特定のキャラクターをGoogleサービスの中で使いたいならGems。長期的に深く使い込んで精度を上げていきたいならProjects。
配布したいかどうかで選ぶなら、チームや外部に展開・公開したいならカスタムGPT。自分だけが使うならどれでもいいけど、Projectsが個人用途には一番素直な設計だと思う。
ぼく自身はこのMiccellの記事執筆にProjects、ちょっとしたGoogleドキュメントの下書きにGemsを使って、カスタムGPTはたまに「外部APIと繋ぎたいとき専用」みたいな使い方をしてる。全部使いつつも、用途が自然と分かれてきた感じ。
🚀 2026年、「育てる」段階に入ったAIカスタマイズ
正直、1〜2年前はこの手の機能、みんなちょっと試して「ふーん」で終わってたと思う。
でも最近、ちょっと状況が変わってきてる気がする。
Claudeのメモリが無料開放されたこと、MCPで外部連携がどんどん実用的になってきたこと、カスタムGPTのアクション機能がGPT Storeのエコシステムと組み合わさって使いやすくなってきたこと——3つとも、「試す」フェーズから「育てる」フェーズに移行しつつある。
ツールが賢くなってるんじゃなくて、使い方が成熟してきた、という感じかもしれない。
毎回AIに自己紹介してる人は、まずひとつ、設定してみてほしい。そこから先は、使いながら少しずつ育てていけばいい。最初から完璧じゃなくていい。育つから。
あなたはもう、自分専用のAI、作ってみた?
📝 製作ノート
この記事を書きながら、改めて気づいたことがある。
3つの機能を比較する記事を書こうとすると、どうしても「どれが優れてるか」という軸になってしまいがちなんだけど、実際に使い込んでみると、それぞれが完全にすみわけしてるんだよね。
カスタムGPTはエコシステムとして完成度が高くて、公開・配布まで視野に入れた設計。Gemsはとにかくシンプルで、Googleの世界と自然に溶け込む。Projectsは「個人の生産性」という一点に集中した、ある意味いちばん地味だけどいちばん実務的な設計。
「どれが一番か」という問いの立て方自体が、少しずれてるのかもしれない。
あなたが一番「育てたい」と思うのは、どれですか?
Miccell - 仕組みがわかれば、世界はもっと面白くなる。
