見出し画像

「部下のモチベーションをあげたい」と思っている人に読んでほしい話

毎度繰り返しになりますが、このnoteはフルタイムワーママから生き方をがらりと変えた自由気ままな主婦(見習い)が、人事20年の経験や子育て、MBA、仕事について独断と偏見で好き勝手書き散らかしている場所です。


今日は「モチベーション」について。

人事をやっていると本当によく聞かれます。
「どうしたらメンバーのモチベーションが上がりますか?」

経営者からも、マネージャーからも、人事担当者からも。
でもそのたびに私は少し意地悪なことを思う。
その質問、本当に今するべきなんだろうか??


子どもを育てていて思うこと

子どもを育てながら仕事をしていて思うが、子どもって、やる気を出させようとすると、びっくりするくらい動かない。

「宿題やりなさい」
「頑張って」
「集中して」

親なら誰でも一度は言ったことがあるだろう。
しかしその言葉で急に目を輝かせて勉強を始める子を私は見たことがない。

一方で、自分で「これ作りたい!」と思った工作や、お友達との遊び、好きなゲームや動画になると、まぁ止めてもやめないこと!

結局、これって大人もあまり変わらないんじゃないかと思うのだ。

人事は「やる気を上げる仕事」をやめた方がいい

昔の私は、人事として従業員のモチベーションを上げることについて四六時中考えていた。

評価制度を作る。
表彰制度を導入する。
1on1を増やす。
ビジョンを浸透させる。
社内イベントを企画する。

もちろん、それなりに効果はある。実際、合宿すると一体感は高まるし、表彰された人は嬉しそうだ。

でも残念ながら長続きしはない。

するとどうするか?

また新しい施策を考える。
またイベントをやる。
また1on1を増やす。

気付けば「モチベーション向上施策」を回すこと自体が仕事になってくる。

もちろん、どれも意味がないとは言わない。
まだ取り入れたことがない会社はやってみた方がいいとも思う。

ただ、人事の仕事を「従業員のモチベーションをあげることだ」と勘違いするのは危険である。

重要なのは「下げないこと」なのだ。
忙しい人事のみなさんがやるのはむしろそれだけで十分じゃないかと思っている(それが一番難しいのだが)。

モチベーションを下げる会社には共通点がある

私はこれまで、色々な会社を見てきた。規模も、業界も、様々だ。
しかしモチベーションが下がっている会社には共通点がある。

評価にロジックがない

当たり前だがよく誤解されていることがあるのは、人は評価が低いから辞めるわけではない。納得できないから辞めるのだ。

「ここが足りなかった」
「ここまでできたら次は上がる」

そう説明されれば、悔しくても受け止められる人は多いだろう。

でも
「総合的に」
「期待値として」
「自分は評価したのだがさらに上が…」
「全体的な調整が入って…」

そんな評価をされたら誰だって頑張る理由を見失う。評価とは点数ではなくロジックと説明が重要なのだ。

決めるのが遅い

みなさんの職場では、メンバーが勇気を出して提案してきたことを
どの程度時間をかけて検討したり、実行したりしているだろうか?

会議にかける。持ち帰る。また会議。また持ち帰る。

そして一か月後。

「ごめんね、今回は見送りで…」

もうその頃には、提案した本人の熱も冷めている。

意思決定が遅いというのは「あなたの提案は、その程度の優先順位です」というメッセージにもなりうる。もちろん慎重さが必要な場面もあるが、決められないなら、何があれば決定できるか、誰が決定権を持っているかくらいは回答できるだろう。少なくとも、いつ決めるかだけでも決めればいい。それだけで現場は驚くほど動きやすくなる。

言っていることとやっていることが違う

これが一番ダメージがある。
「挑戦を応援します」そう言いながら失敗すると評価が下がる。
「顧客第一です」そう言いながら会議では数字の話しかしない。
メンバーは気付いていないように見えて、全部見ている。気付かないふりをしているだけなのだ。ビジョンが立派である必要はない。ただ、掲げたなら守れるものにしなければならない。

少しだけ危ないと思っていること

ここからは完全に私の持論だが、正直私は「モチベーションを上げたい」という言葉を聞くと「この会社ちょっと危ないな」とすら思う。

もちろん社員を思って言っている人がほとんどだろう。だが、その言葉には時々「成果が出ないのは社員のやる気が足りないからじゃないか」という方向へ話を進めてしまう危うさがあるからだ。

本当にそうだろうか?

私は、人の問題に見えることの多くは、構造の問題だと思っている。
人は「もっと頑張れ」と言われ続けると、自分が悪いような気がしてくる。いや、もっというと「自分が悪いと思っているんだろうな」と相手に対して不信感を抱く人もいる。

しかし、実際には「頑張っても成果が出ない構造だった」ということも珍しくない。

経営者にしかできない仕事

モチベーション向上施策を考える時間が一時間あるなら、その一時間はぜひ勝てる戦略を考える時間に使って欲しい。

どこで戦うのか?
誰と戦わないのか?
何を捨てるのか?
どんな武器を使うのか?

業績が悪い会社ほど、会議でずっと従業員のやる気の話をしている。
逆に伸びている会社ほど、市場の話をしている。顧客の話をしている。競争戦略の話をしている。

勝ち筋が見えている仕事は忙しくても疲弊しない。逆にどれだけ頑張っても成果につながらない仕事は、人を簡単に燃え尽きさせる。
相手が鉄砲を持っている時代に竹やりしか持たせないで「頑張れ」といっても響かないし、砂漠のど真ん中で「魚を釣ってこれたらご褒美をあげよう」と言っても意味はないのである。

経営者の仕事は社員を鼓舞することではなく、社員が頑張れば勝てる場所を作ることだ。竹やりを持たせているは正しいのか?そこに魚はいるのか?もう少しその辺りに議論の時間を割いて欲しい。

やる気は、作るものじゃない。やる気に介入するのはレバレッジが低い。
勝ち筋が見えたときに、人のやる気は勝手に湧いてくるものだと私は思う。

いいなと思ったら応援しよう!

Megumi Sakamoto よろしければサポートお願いします!

この記事が参加している募集