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メディアは報道しない!悲惨なガザ紛争の記録:アーカイブサイトが投じる波紋

現在、中東のガザ地区で進行している深刻な紛争をめぐり、現地の凄惨な状況を伝えるデジタル情報の「保存」と「消去」をめぐる熾烈な暗闘が、インターネット空間で繰り広げられています。このたび、散逸の危機にあるガザ地区からの膨大な映像やデータを一箇所に集約し、誰もがウェブブラウザ上で直接閲覧できる包括的なアーカイブサイト「ArchiveGenocide.com」が新たに公開されました。

新たな記録の集積地:ArchiveGenocide.comの立ち上げとその全容

新たに公開されたウェブサイト「ArchiveGenocide.com」は、これまでソーシャルメディア上で断片的に拡散され、あるいはプラットフォーム側によって削除されてきた膨大な記録を一元化する野心的な試みです。サイトの最大の特長は、ユーザーが数テラバイトに及ぶアーカイブ全体を自身のコンピュータにダウンロードする必要がなくなり、ウェブサイト上で直接かつ容易に映像を閲覧できるようになった点にあります。

同サイトの運営陣や支援者らが発表した声明によると、このプラットフォームには驚異的な量のデータが収録されています。具体的には、64,537本に上る動画と、17,905枚の写真が含まれており、これらはすべてガザの現場から収集されたものです。プラットフォームは単なるファイルの置き場にとどまらず、個別の動画を選択してダウンロードする機能や、目的の映像を素早く見つけ出すための検索可能なインデックスが備わっています。さらに、情報の出所と信頼性を担保するために、300人以上のジャーナリストからなる包括的な情報源リストが提供されています。

また、映像の撮影場所を示す位置情報データや、分単位でリアルタイムに更新されるライブマップ、そして犠牲者のリストなど、紛争の実態を地理的・人的な視点から多角的に検証できる高度なツール群が実装されています。サイト側は現在もアーカイブの残りの部分を追加し続けるという膨大な作業に取り組んでおり、支援者に対して忍耐を求めています。

サイトの公開に伴い、プロジェクトの推進者たちは、情報の分散化の重要性を強く訴えています。彼らは、提供されたトレント(BitTorrent)ファイルをユーザー間でシード(共有)し続けることが、単一のサーバー障害や外部からの攻撃からデータを守り、映像を分散型で確実に保存するための「最善の方法」であると強調しています。彼らの声明には、「この映像を公開するために命を犠牲にしたすべての人々、そして収集・アーカイブに関わったすべての人々を神が祝福しますように」という、現場の記録者たちへの深い敬意と祈りが込められています。

同時に、運営陣は視聴者に対して強い警告を発しています。アーカイブには大量の凄惨な映像が含まれているため、閲覧する際には注意を払い、適度に休憩を取るよう呼びかけています。さらに注目すべきは、X(旧Twitter)などの主要なソーシャルメディアが課している言語統制への告発です。彼らによれば、「genocide(ジェノサイド)」や「war crimes(戦争犯罪)」といった特定の言葉を投稿に使用した場合、プラットフォーム側は投稿の拡散を意図的に制限するためにセンシティブフィルターを自動的に適用します。そのため、彼らは「Twitterのアルゴリズムの牢獄」からこの情報を解放するために、投稿の共有(リポスト)と引用を強く求めています。

運営陣の危機感は、法的な削除要請や政治的圧力にも向けられています。彼らは、ホスティングプロバイダーの安全性を常に確認する必要性を説き、今後はDMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づくテイクダウン通知や、「シオニスト、イスラエル、ロスチャイルドの仕組み」を通じたさらなる激しい圧力が加えられるだろうと予測しています。この声明は、デジタルアーカイブの維持が単なる技術的な課題ではなく、高度に政治的で危険を伴う闘争であることを示唆しています。

【非常にセンシティブな内容が掲載されていますので、十分にご注意ください。】

アカウンタビリティ・アーカイブ:記録を主導する学際的な研究者たち

このような大規模でシステマティックなアーカイブ化の背景には、「アカウンタビリティ・アーカイブ(The Accountability Archive)」と呼ばれる組織的な取り組みが存在します。このアーカイブは、ジャーナリストや政治家、公人がパレスチナ人の民族浄化を支持、または奨励する発言を行った記録をクラウドソーシングによって収集するプロジェクトとして自己定義しており、個人の発言と行動に対する説明責任を追及することを目的としています。

この取り組みを牽引しているのは、高度な専門知識を持つ国際的な研究者たちです。共同創設者の一人であるフィリップ・プラウドフット氏は、サセックス大学開発研究所の研究員であり、非開発(de-development)、強制移住、ジェンダーとセクシュアリティ、人道主義、長期化する紛争などに関連する問題に焦点を当ててきました。長期にわたる活動家としての経歴を持つ彼は、現在、人道主義の終焉や「不処罰(impunity)の台頭」に関する新たな著書を執筆中であり、この問題意識が説明責任を求めるアーカイブ活動の根幹を成しています。

もう一人の重要な共同創設者兼トラスティであるマフディー・ザイダン氏は、キングス・カレッジ・ロンドンの地理学部の博士候補生として、中東におけるポスト石油インフラの政治経済学とエコロジーを研究しています。彼はケンブリッジ大学のピーターハウスで戦後レバノンの都市開発の歴史に関する研究を行い、ジョージタウン大学現代アラブ研究センターでは、レバノン、イラク、シリア、ヨルダンからの難民の人道的および政治的行動主義について研究を深めました。さらに、ワシントンDCのシリア正義と説明責任センターなどの組織でアナリストとして働いた経験があり、紛争地における証拠保全の実務的な専門知識を有しています。

加えて、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のアジア・アメリカ研究学部の助教授であるヌール・ジュダ博士のような気鋭の地理学者も、これらの取り組みに深い関与と関心を寄せています。彼女はハワイとパレスチナの先住民コミュニティが解放された未来を構想する取り組みについて研究し、先住民によるカウンターマッピング(対抗地図作成)が非植民地化の実践であると位置づけています。ArchiveGenocide.comが提供する分単位で更新されるライブマップや位置情報データの集積は、まさにジュダ博士が提唱するような、公式のナラティブ(物語)に対抗するための地理学的かつ証拠保全的な実践の現れであると言えます。

ソーシャルメディアにおける「アルゴリズムの牢獄」とシャドウバンの実態

ArchiveGenocide.comの運営陣が指摘する「アルゴリズムの牢獄」や特定の言葉に対する「センシティブフィルター」の適用は、決して被害妄想ではなく、多数の国際的な人権団体や研究機関によって実証されている深刻な現実です。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が発表した報告書によれば、2023年10月に敵対行為が激化して以来、Meta(InstagramやFacebook)などのプラットフォームにおいて、パレスチナ支持の声やパレスチナ人の人権に関する発言を沈黙させるシステム的な検閲の波が確認されています。この検閲は、イスラエルでのハマス主導の攻撃による推定1,200人の犠牲と、それに続くイスラエルの激しい爆撃による18,000人以上(2023年12月14日時点)のパレスチナ人の犠牲という、前例のない暴力の背景の中で急増しました。HRWは、表現の自由に対する不当な制限やオンライン検閲の証拠を広く収集し、企業方針がいかに特定の物語を排除しているかを厳しく批判しています。

アムネスティ・インターナショナルのテクノロジー部門ディレクターであるラシャ・アブドゥル・ラヒーム氏も、同様の警告を発しています。同氏によれば、ガザでの民間人の犠牲が急増する中で、パレスチナの権利擁護者のコンテンツが部分的にブロックされたり、ユーザーに知らされずに可視性を著しく低下させられたりする「シャドウバン(shadowbanning)」の報告が相次いでおり、極めて憂慮すべき事態となっています。一方で、アムネスティの調査では、ガザの民間人への攻撃を美化し、ガザの破壊を支持し、パレスチナ人に対する暴力を主張するソーシャルメディア上の投稿が大量に存在しているにもかかわらず、それらが適切に制限されていないという二重基準の実態も判明しています。

こうしたプラットフォームによる偏向的な情報統制は、X(旧Twitter)においても顕著です。2023年10月には、Xが「ハマスと関連がある」と見なした数百のパレスチナ人のアカウントを突然凍結したことが報じられました。同社のリンダ・ヤッカリーノCEOは、この措置が「暴力的でヘイトに満ちたコンテンツ」の拡散を防ぐためのポリシーに基づくものだと説明しました。しかし、アラブ社会メディア向上センター(7amleh)の文書化によれば、ヘブライ語によるヘイトスピーチや扇動的なコンテンツは19,000件以上も確認されているにもかかわらず、それらは放置される傾向にあります。同センターは、「イスラエル政府は現在の国際的なセンチメントを利用してソーシャルメディア企業に圧力をかけ、パレスチナ側の物語を検閲し、批判的な声を沈黙させている」との声明を出しています。

さらに、著名なニュースサイトMondoweissのパレスチナ特派員のInstagramアカウントが停止されたり、同サイトのTikTokアカウントが一時的に削除されたりするなど、複数のプラットフォームを横断する形でメディアへの圧力が常態化しています。このような「アルゴリズムの牢獄」に対抗するため、ユーザー側もさまざまなハック(対抗策)を駆使せざるを得なくなっています。
セキュリティ・イン・コンテキストの分析によれば、シャドウバンに直面したユーザーは、コンテンツ内に無関係なハッシュタグを隠し入れたり、ガザとは全く関係のない日常的なストーリーを組み込んでアルゴリズムを欺いたり、一般的に検出されてブロックされやすいトレンドのハッシュタグ(例えば「ジェノサイド」など)を意図的に避けたりする工夫を強いられています。

企業コンプライアンスの武器化:YouTubeによる人権団体の動画の完全消去

ArchiveGenocide.comが分散型のトレントファイルでのデータ保存にこだわる最大の理由は、単一の巨大テクノロジー企業(ビッグテック)にデータを預けることの致命的なリスクを熟知しているからです。その危険性を最も象徴的に示しているのが、YouTubeによるパレスチナの著名な人権団体の動画アーカイブの完全消去事件です。

報道によると、YouTubeは「アル・ハク(Al-Haq)」、「アル・メザン人権センター(Al Mezan Center for Human Rights)」、および「パレスチナ人権センター(Palestinian Centre for Human Rights)」という3つの主要な人権団体のアカウントを突然削除し、彼らが長年蓄積してきた700本以上の動画アーカイブをウェブサイトから完全に抹消しました。これらのチャンネルには、ガザ地区およびヨルダン川西岸地区における、パレスチナ民間人の殺害を含む国際法違反やイスラエル政府の人権侵害の疑いを記録した、何時間にも及ぶ極めて貴重な証拠映像が保管されていました。

ガザで最も長い歴史を持つ人権団体とされるアル・メザンは、YouTubeのこの措置について「加害者を説明責任から保護するものである」と強く非難しました。この大規模な削除劇の背後には、プラットフォームの自主的な判断を超えた、国家レベルの強大な政治的圧力が存在していました。YouTubeを所有するGoogleの広報担当者はメディアの取材に対し、このアカウント削除が、米国国務省によるこれらのグループへの制裁の直接的な結果であることを認め、「Googleは適用される制裁および貿易コンプライアンス法を遵守することに尽力している」と公式に声明を出しました。

この米国政府による制裁は、トランプ政権時代に遡ります。当時、これらの人権団体が、イスラエル当局者の戦争犯罪を問う国際刑事裁判所(ICC)の調査に協力していたことを理由に、米国政府が制裁を科したという経緯があります。つまり、戦争犯罪を告発するための国際的な司法手続きに協力したことが米国の「制裁」対象となり、その米国の法令を「コンプライアンス」として遵守するグローバルIT企業が、自社のプラットフォームから戦争犯罪の証拠映像をボタン一つで消去してしまうという、恐るべき構造が明らかになったのです。

この事件は、ArchiveGenocide.comの運営陣が「DMCAやテイクダウン通知による妨害を受けるだろう」と警告している懸念が、単なる予測ではなく、過去に実際に起きた歴史的事実に基づいていることを裏付けています。巨大企業の中央集権的なサーバーに依存している限り、国家権力の意向一つで歴史的記録が瞬時に消去され得るため、彼らはピアツーピアの分散型ネットワークを通じたアーカイブの保護という手法に命運を託しているのです。

ジェノサイドの記録と「真実」の性質:歴史的・学術的視点からの考察

過去のジェノサイドの歴史を振り返ると、記録とアーカイブの構築は常に、歴史の「真実」をいかに後世に伝えるかという根源的な課題と隣り合わせでした。

例えば、1994年に発生したルワンダ大虐殺の記録については、「イージス・トラスト(Aegis Trust)」とルワンダ・ジェノサイドと闘う国家委員会(CNLG)が共同で、虐殺の記録をアーカイブ化するという国家規模の取り組みを行っています。これは、過去の惨劇を物理的およびデジタル的に体系化して保存し、平和構築や教育の基盤とするための極めて重要な試みです。

さらに、現代のメディア研究や歴史学においては、アーカイブされた映像が持つ「証拠としての性質」と、それをどのように提示すべきかについて、深い議論が行われています。ジェノサイドに関するドキュメンタリー映画における「再現(reenactment)」と真実、歴史、アーカイブの関係を再交渉しようとする学術研究があります。この研究では、クロード・ランズマン監督の『ショア(Shoah)』(1985年)、ローレンス・リース監督の『アウシュビッツ:ナチスと「最終的解決」』(2005年)、リティ・パン監督の『消えた画 クメール・ルージュの真実』(2013年)、ジョシュア・オッペンハイマー監督の『アクト・オブ・キリング』(2012年)などの作品が分析対象とされています。

この論文によれば、静的で動かしがたい「証拠としてのアーカイブ」と、創造的でフィクションとされる「再現」という一般的な二項対立は、真実の理解を狭めてしまいます。映像が過去の出来事と「指標的(indexical)にリンクしている」という事実、つまり単に「カメラの前にその現実があった」という物理的なつながりだけでは、出来事の全容やその本質的な意味を伝えることは困難です。むしろ、歴史的なナラティブ(物語)がどのように構築されるかという性質を直視することで、単なるアーカイブからは得られない、感情的、事実的、そして倫理的な「真実」にアクセスすることが可能になると論じられています。

ArchiveGenocide.comが集積している6万本以上の動画や1万枚以上の写真は、まさに現在進行形の未加工の「生のアーカイブ」です。しかし、これらが単なるデータの蓄積に終わるか、あるいは将来的に歴史家、法曹関係者、ジャーナリストたちによって体系づけられ、歴史的な「真実」を立証するための揺るぎない証拠として機能するかは、現在これらのデータをいかにして検閲の網から守り抜き、分散型のネットワークに完全な形で保存し続けることができるかどうかにかかっています。


テクノロジー企業内部の亀裂と告発

こうした情報の検閲と隠蔽をめぐる問題は、単にユーザーやNGOとプラットフォーム企業という外部からの対立にとどまらず、巨大テクノロジー企業の内部組織においても深刻な倫理的亀裂を生じさせています。

アルジャジーラのデジタルプラットフォーム「AJ+」が制作したドキュメンタリー番組では、Meta(旧Facebook)の現役および元従業員たちが内部告発者としてカメラの前に立ち、証言を行っています。彼らは、会社がパレスチナ支持のコンテンツを不適切に扱い、日常的に削除している実態や、社内に深く根付いた親イスラエル的なバイアスの存在を赤裸々に暴露しました。さらに、こうした偏向的なモデレーション方針に対して異議を唱え、声を上げたスタッフメンバーに対して、会社側が報復措置を行っているという社内の暗部も明らかにされています。

これらの内部告発は、プラットフォームのコンテンツ・モデレーションが、決してアルゴリズムに基づく中立的で機械的なプロセスなどではなく、経営陣の政治的な立ち位置や、国家機関からの圧力に強く影響されていることを証明しています。企業の方針がいかにしてガザ紛争に関する一般大衆の認識を形成し、特定のナラティブを排除しているかという問題は、情報化社会における民主主義の根幹に関わる重大な危機と言えます。

結語:情報の分散化と市民の連帯が切り拓く記憶の未来

ArchiveGenocide.comの立ち上げと、その運営者たちからの「この投稿を共有し、映像を分散型でシードし続けてほしい」という切実な呼びかけは、21世紀における戦争犯罪の記録がいかに脆弱で、かつ巨大な権力による操作の対象になりやすいかという現実を鋭く突きつけています。

アムネスティやHRWが指摘するように、巨大テック企業がアルゴリズムを用いて特定のキーワードやアカウントを意図的にシャドウバンし、さらにYouTubeの事例のように、国家の制裁やコンプライアンスを盾にして歴史的な動画アーカイブを丸ごと消去する現状において、特定の企業が管理する中央集権的なウェブサービスに人類の記憶の保存を依存することは、あまりにも危険です。

それゆえに、ArchiveGenocide.comがBitTorrentというピアツーピアの分散技術を採用し、世界中の無名の市民に対してデータの共有を要請していることは、技術的な必然性に基づく防衛策です。国家権力や大企業のコンプライアンス部門による一方的な削除要請(テイクダウン)を無効化し、情報の真空化による偽情報の蔓延を防ぐためには、世界中の個人のコンピューターにデータを分散させて保管するという、市民主導の連帯行動しか道は残されていないのです。

提供された6万本超の動画と約1万8千枚の写真は、ガザ地区で命を懸けてカメラを回し続けたジャーナリストや市民たちの決死の証言です。これらが将来的な国際法廷での証拠となり、難民の帰還の権利を裏付ける公文書として機能するためには、まず何よりも「データが消去されないこと」が絶対条件となります。

私たちが日々目にするソーシャルメディアの裏側では、真実を見せようとする人々の意志と、それを隠そうとするアルゴリズムが激しく衝突しています。ArchiveGenocide.comのような草の根のアーカイブ構築の取り組みは、その「アルゴリズムの牢獄」に対する強力な抵抗であり、紛争の犠牲者たちを匿名性の闇から救い出し、歴史の裁きに向けてその声と姿を永遠に刻み込もうとする、現代における新たな「記憶の闘争」なのです。この膨大な証拠をいかに守り抜き、後世へと引き継いでいくのか。それは、デジタル空間を共有する私たち社会全体に突きつけられた、極めて重い倫理的課題であると言えるでしょう。

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