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ライアンの笛〜サイドストーリー

第三章 サイドストーリー
ライアンの笛



「ライアーン!」


塔の窓に人影を見つけて、ミミは裏庭から元気いっぱいに叫んだ。


「やあ、ミミ。狩りの帰りかい?」


窓から顔を出して、ライアンが答える。


「うん!イノシシだよー!ライアンにあげる!」


誇らしげに掲げるミミに、ライアンは微笑んだ。


「おや、私の好物だね。
今そちらへ行くから、待っておいで」


やがて裏口から現れたライアンは、少し膝を折ってミミの目線にしゃがみ込んだ。

イノシシは急所を一撃で仕留められており、血も抜いてある。


「ありがとう、ミミ。見事な腕前だね。
君は本当に強くて、やさしいね」


そう言うと、大きな手でミミの頭をやさしく撫でた。

ミミはくすぐったそうに笑って、鼻からフン、フンと息を吐いた。


「タトと一緒にいると、君のやさしさがよく伝わってくるよ。タトが、君を支えてくれているんだね」


「うん!タトはいつもミミを褒めてくれるの。ライアンと一緒だぁ!」


その素直さに、ライアンは微笑んだ。


「ミミ――ひとつ、お願いがあるんだ」


ミミが顔を上げると、ライアンの目は深く真剣だった。


「レイのことも、一緒に連れていってくれるかい?
あの子は、ちょっと“クセ”があるけれど……君たちとなら、きっとうまくやれると思うんだ。
任せても、いいかな?」


ミミはほんの一瞬、驚いた顔をすると、さらりと言った。


「うん、いいよ!タトが、レイのこと好きって言ってた!」


ライアンは声を上げて笑い、それから安堵したように肩の力を抜いた。


「そうか。仲間に入れてくれるのか。どうもありがとう」


そして立ち上がると、ローブの内側から小さな笛を取り出した。

それは鹿の角で作られた、小さな護り笛だった。


「これは、お守りだ。はぐれたり、困ったりしたら、鳴らしてごらん」


そう言って、ライアンは笛をミミの首にかけた。


「3人おそろいだよ」


「おそろい!!」


その言葉をかみしめるように、ミミは笛を撫でた。


「大事にするね!」


「ああ。気をつけて行っておいで。
わたしたちはずっと、帰りを待っているよ」


ライアンは眩しそうに、そして少し切なそうにミミをみつめた。




——ライアンは、氷山を仰ぐ。

もし自分が代わりに行けたなら、どんなにいいだろう。
この小さな肩に託すには、あまりにも過酷な旅だ。

それでも、運命は彼らを選んだ。

せめて、できる限りの準備をしてやろう。

どんなに時間がかかっても、どんなに遠くへ行こうとも——
自分はここで待ち続ける。

彼らが、安心して戻ってこられるように。



(おわり)


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望月むう(ムーン)🐾|物語と思考|物語に浸りたい ここまで読んでくれてありがとう♡