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設定資料集|旧ラーフェ街道における特異体分裂現象に関する報告書(速報版)

こちらは連載小説「追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街」第五章の設定資料です。
登場人物、レイが作成している報告書。
第五章はこちらから→★


旧ラーフェ街道における特異体分裂現象に関する報告書(速報版)

記録者:レイ・ノーレム 
記録日:10/2//938

I. 現象の概要と被験者情報

現象名称(仮称): 特異体「タト」の単一個体二元分離現象(通称:タトの分裂)

発生日時(推定): 9/28//938未明
発生場所: ヴァリスから徒歩1日、旧ラーフェ街道付近の野営地(天候:異常なし)
被験者: タト・ルミナリー(15歳、推定)
目撃者: ミミ・フェリサリア(発見)、ルリ・ヴァリス、レイ・ノーレム


II. 現象の発生状況と個体の状態

発生前の状態: 被験者は前夜、目撃者らと共に野営しており、特に体調不良や精神的な異常は認められなかった。火の番をしていた。

分裂の経緯: 目撃者ミミの覚醒時に、単一であった被験者が、物理的な実体を持つ二つの個体へと分離していたことを確認した。分離時に物理的な衝撃、爆発音、あるいは魔力の異常な放射などは一切観測されなかった。

個体の呼称と実体: 右側に位置した個体を ta(タ)、左側に位置した個体を to(ト) と仮称する。両個体は、自身こそが本来の「タト」であると主張している。両個体とも触れることが可能であり、完全な実体を持つ。

空間的な制約(法則Iの可能性): 両個体は目覚めてから現在まで、目視可能な範囲外への乖離は観測されていない。何らかの空間的な制約、すなわち「法則I」の適用を受けている可能性が高い。


III. 分裂個体間の比較分析

A. 物理的および魔力的な比較

taとtoの外観(体格、顔立ち、髪の色、服装など)は完全に一致している。身長・体力の計測では有意な差は見られなかった。最も重要な点として、両個体から魔力の反応は一切検出されていない。


B. 性格および行動特性の比較

発言および態度から、両個体には性格の分離が認められる。

ta:
一人称は「ボク」。
現象への反応は焦り、動揺、および否定(「特には…」と回答)。
他者への応答は比較的素直であり、協調性や一般的な感情を担う部分(暫定分類:「表のタト」)と推測される。

to:
一人称は「わたし」。
現象への態度はそっけなく、やや冷淡に見える(「ほんと怪現象だね」と突き放す)。
感情を隠す傾向があり、内向性、隠された感情、および理性的な部分を担う(暫定分類:「裏のタト」)と推測される。

相互作用: 両個体は目が合うと「びくっとしてそっぽを向く」など、強い拒否・困惑の反応を示しており、内的な葛藤が物理的に分離した状態と見受けられる。


IV. 暫定的な考察と提言

現象の性質: この現象は、個体の人格と精神的な特性が二つの実体へと分離した特異なケースと考える。既知の魔法とは異なり、魔力が観測されないこと、および空間的な制約があることから、未確認の魔現象の法則に基づいている可能性が高い。

分裂の原因: 分裂が睡眠中に、魔力の放射を伴わずに発生したことから、外部からの要因よりも、被験者タトの内的なストレスや迷いが、何らかの根源的な法則と共鳴した可能性が残される。


今後の対応:

分裂個体taとtoを、極めて重要な対象として継続的に観察する。
被験者の精神的負担を考慮しつつ、空間的な制約(法則I)の限界距離とともに、魔現象との関連、類似点を慎重に調査する。

目撃者(レイ、ルリ、ミミ)は冷静さを保ち、被験者の精神的な安定を最優先とする。


V. 結語

今回の現象は、個の存在、精神の構造、そして説明不可能な魔現象および氷山の謎に関して新たな側面を示す、極めて重要な事案であると推察される。
引き続き、ラーフェへの旅路における観察記録を基に、本報告書の作成を行う。


(つづく)




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