#1-9 出発の朝|追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街〜
第9話 出発の朝
街の人は誰ひとり、タトに「女王を目覚めさせてほしい」とも、「瘴気を止めて」とも言わなかった。
もしかすると、これまでも何人かが旅立っていたのかもしれない。けれど、変わらなかったのかもしれない。
タトは、自分にこれといった力がないことを知っていた。
だから、同じ“オリジン”を持つ者を探すために、フェリサリアを目指そうと思った。
旅立ちは、普段の朝とさして変わらない。
いつも通りの装備に、もらった薬とマント、木の実に、アメ。
氷山を右手に、北へ向かう。
「タト、靴が古くなっていたよね。今回のは、特別に強化した布で作ったよ」
ニナが、できたばかりの靴を渡してくれた。
「ルルベリーのジュースだ。もっていきな」
ジルは、いつも通りにジュースをくれた。
「ああ、行ってくる。」
いつもと大きく違っていたのは、腰袋の六角柱の石と、その輝きを知ってしまった、自分自身だった。
(第二章につづく)
いいなと思ったら応援しよう!
ここまで読んでくれてありがとう♡