#1-8 決意のとき|追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街〜
第8話:決意のとき
翌朝、タトは教会へ行き、長老に言った。
「ボク、行ってくるよ」
それはまるで、いつもの森に出かけるかのような自然な声だった。
長老は無言で頷くと、祈りを込めた薬をくれた。
「隣の街はフェリサリアといってな、〈友情の塔〉があるはずじゃ。
その先のことは、塔の教会で聞くといい。」
タトが教会を出ると、歩く先々で街の人が声をかけてきた。
「タト、行くんだってね」
「タト、防御を高めたマントだよ、持っていきな」
「タト、森の魔現象には呪文が効く。心を強く保つんだ」
「タト、木の実をたくさん採っておいたよ!アメもあげる」
「タト、氷山を右手に進むといい」
タトは今まで、氷山のことも、オリジンのことも、この世界の仕組みさえも知らなかった。
知ろうともしなかった。
でも、「知りたい」と思ったとたん、まるでそれを待っていたかように、情報がこんなにも自然と集まってくる。
……こんな自分にも、もしかしたら、何かできることがあるのかもしれない。
霧の海を抱いた氷山が、朝の光をそっと映していた。
(つづく)
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