#3-8 作戦会議|追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街〜
タトとミミがノーレムに到着してから数日後。
教会の図書館で、レイは二人を前に、大きな地図を広げていた。
それは見たこともないほど、広大な地図だった。
タトは、このとき初めて世界の全貌を目にし、しばらく言葉を失っていた。
「ノーレムにいれば、何でも分かりそうだね……。
こんなにすごい知識があって、レイみたいなオリジンも昔から見つかってて、街も豊かなのに……」
タトの沈黙に答えるように、レイが口を開いた。
「歴史上、何人もパレスを目指している。それも、屈強な男たちや、魔法に長けた者たちだ。
ミミの力が大きいのだろうけど、
君たちがここにたどり着いたのは、本当に奇跡なんだよ。」
ミミは、褒め言葉と受け取ったらしく、ホクホクと目尻を下げ、体を左右に揺らした。
「まず、友情の塔の石を探したほうがいい。きっと必要になる。」
「え、まさか戻るのか? ここまで、一カ月もかかったんだよ?」
タトはこれまでの苦難を思い出し、思わず声を上げた。
「女王のパレスに入るには、必要な気がする。」
――女王のパレス。
その響きに、タトの背中がヒヤリとした。
旅の目的が、急に現実味を帯びた気がしたからだ。
タトはすこし迷ってから、そっとミミを見た。
「……ミミは、どう思う?」
ミミは耳をピンッと立て、
「大丈夫だよ。タトが一緒なら、取りに行く!」
きっぱりと言った。
3人は顔を見合わせ、うなずいた。
レイが地図を指さす。
「塔はすべて、氷山の反対側に倒れたと推測される。
氷山からの衝撃で吹き飛んだと考えれば、辻褄が合う。」
「……たしかに、ルミナリーでは、塔の南西でオリジアを見つけた。」
「裏が取れたな。」
レイの、赤く美しい唇が、珍しくニヤリと歪んだ。
「各街から氷山までの距離はおよそ150キロ。
強大な魔力が加わった放射状の衝撃波によって、300メートルを超える塔が倒壊し、先端が直線的に吹き飛ばされたとすれば――
落下範囲は数キロに絞られるはずだ。」
彼の口調が徐々に早くなる。
「塔の崩壊はおよそ六百年前。ノーレムの発掘資料にくわえて、
微細な植生の乱れや地形の変化、瓦礫の痕跡を追えば、必ず手がかりがあるはずだ。
つまり――」
レイはピッと、地図上の一点を指した。
「フェリサリアでは、このあたりを探そう。石はきっと待っている。
出会うべくして、出会う。そんな力が、この世界には働いているように思う。」
(つづく)
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