見出し画像

#2-9 オリジンの名を告げて|追憶のオリジン〜氷の女王の眠る街〜

←前のはなし    |    →次のはなし

第9話 オリジンの名を告げて


案内された部屋は、整然としていてどこか街全体の雰囲気と似ていた。

その中央で女性が椅子をすすめると、タトは静かに腰を下ろした。


「ルミナリーの長老に、この地を訪ねるよう言われました。私は“オリジン”を探しています」


「……オリジン?」


女性の目がかすかに見開かれ、声の調子が微かに変わった。


「では……タト、あなたが……?」


「はい。自分でも信じられませんが、希望の塔の南西で掘り起こした六角柱の石が光り、長老はそれを見て、私がオリジンだと……」


一拍おいて、女性は嬉しそうに言葉を選びながら尋ねた。


「そうですか……!それで。あなたは、どのような魔法をお使いに?」


「いえ…私は何も能力を持ちません。秀でた才もない」


その答えに、女性は驚いたというよりも、どこか困惑したような目をした。


「……では、どうやってあの険しい森を越えてきたのです?」


「魔物には出会いませんでした。むしろ、この近くの森は豊かで……あたたかいとすら感じたのです」


タトの言葉に、女性の指先が一瞬、ピクリと動いた。


「……そう感じましたか」


その声には、明らかに何かを探る色があった。


「ええ……なにか、訳でも?」


タトの問いに、女性は静かに立ち上がった。


「そうですね、お話しておきましょう。
お茶と軽食をお持ちしますわ」




(つづく)

←前のはなし    |    →次のはなし


全話はこちらから↓

1話一分読了です。

いいなと思ったら応援しよう!

望月むう(ムーン)🐾|物語と思考|物語に浸りたい ここまで読んでくれてありがとう♡