ルリのモノローグ〜サイドストーリー
こちらは「追憶のオリジン」第四章のサイドストーリーとなります。
※第四章のまとめは以下からどうぞ。
※本編マガジンはページ下部からどうぞ。
ルリのモノローグ
ヴァリスの町の歪んだ石畳に、朝の光が差し込む。
ルリは何気ない足どりで歩きながら、空を仰いだ。
「……今日も町は平気ね、ふふ」
足どりはほんの少し跳ねるように速くなった。
「私がいなくたって、ちゃんと回るわ。だから、私も行くのよ、旅に」
これからの事を考えると、自然と笑みがこぼれた。
碧い瞳は、町の先にあるまだ見ぬ世界を映している。
「世界って、どんな所かしら。早く、見たいわ」
鳥の影が空を横切る。
目の前に立ちはだかるのは――女王の氷山の脅威。でも、それすら彼女には恐ろしくなかった。
「私には魔法もあるし、ミミの炎で森だって怖くない。女王といっても、女の子だもの。あの仲間がいれば、きっと負けないわ」
町での役目や、周囲の期待は、彼女の歩みを止めなかった。
自分で決めること、それがルリにとっての自由だった。
「私はこの世界で、どこまでやれるかしら」
旅人が来たのは偶然。でも、それをチャンスに変えるのは自分次第――ルリはそう思っていた。
彼女の微笑みや仕草に、男たちは目を奪われる。自分に備わった魅力。それは有効な武器になると、ルリは知っている。
タトとミミ。あの二人なら、簡単に話に乗る。
そして、もう一人――賢い少年、レイ。あの子は少しだけ厄介だけど……
「……ま、タトに任せればいいわね。あの子、優しいし、単純だし」
味方にするなら、タトひとりで充分。
そうしてルリは、実にあっさりと旅の仲間となり、旅立つことを町の人に納得させた。
こうして彼女は、生まれて初めて、この小さな町を出る。
自由と好奇心に導かれた、旅の第一歩。
その自信に満ちた後ろ姿を、氷山は、ただ静かに見つめていた。
(おわり)
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