おじさんが NLP を推してくる記事③『心のインベントリーとサブモダリティ』
霊的探求者が NLP を学んで活用することの意義について触れながら書籍を紹介していくマガジンの第3弾の記事となります。
最初の記事では NLP の創始者の一人であるリチャード・バンドラーとその著書『神経言語プログラミング』について紹介しました。
2番目の、つまり前回の記事ではおなじくリチャード・バンドラーの『3日で人生を変える方法』という書籍の紹介とともに、なぜ NLP を使えば意識レベルを高めることができるのか? という話をサンスカーラとヴァーサナーという概念を用いて説明しました。
心の中の問題、つまり様々な意味において人がうまく機能することを妨げている原因となっている問題を取り除くことができればその分だけ意識レベルは高まる、という原則は NLP にだけ当てはまるものではありません。
霊的な智識を学ぶこと(ジュニャーナ)やヨーガ、瞑想といった修養の目的は "悟り" あるいは "覚醒" とされていますが、これまで様々に述べてきた通り、このように理解することそれ自体が悟りや覚醒を到達困難なものにしてしまいます。とはいえ、これらの行においてもまた、それを積んでいく過程で様々な心の問題が解決されていくものです。ただし、それは結果としてであって、特定の問題に対して直接アプローチするものではありません。そして、こうした行によって意識レベルを高めていくのには、一般的にいって比較的時間がかかるものです。
一方、ホーキンズ博士が明らかにした意識のスケールは、覚醒や悟りへと至る道は誰であれその人がいまいる地点(境地)から段階的に進歩してたどり着くことが可能なものであることを示しています。同時に、覚醒や悟りに至らなければその探求には意味がない、などということはないばかりか、どんな段階にいる人にとっても、そこからすこしでも意識レベルを高めることには大きな意義があることも分かりました。大きな意義とはつまり、本人がより幸せに生きることができるということと、本人の周りの人々も幸せにできるということと、それは人類全体の幸せにもつながっているということです。
このように段階的に成長できることと、そのことには確かな意味があることをまず理解していだだくと、NLP が霊的探求とどう関わってくるのかを理解しやすいと思います。意識レベルの概念がなければ、NLP で悟れるの? という話になってしまいますし、その場合は「そういうわけじゃないけど」という答え方をするしかありません。
意識レベルの概念を学ぶと、これまでは霊的探求とはなんの関係もないと思って見過ごしてきた様々なことが、実は意識の成長のために有意義であることが分かり、実際にそれを探求のプロセスに組み込むことが可能になります。それが、わたしのしている話です。
そこで次に気になるのは「じゃあどうすれば意識レベルを高めることができるの?」ということでしょう。わたしの書いているものはすべて、それに対するわたしの答えといってもよいのですが、その要点を挙げるとすれば、こうなります。
①意識のスケールを学ぶこと、より深く理解すること
②高い意識レベルで測定される事物(ヒト、モノ、コト)に触れること
③意識レベルを抑圧している問題を取り除く
それぞれについてはすでにあちらこちらで言及してきていますので、ここでは深く掘り下げませんが、この NLP のマガジンで扱っているのは③の「意識レベルを抑圧している問題を取り除く」です。この意識レベルを抑圧している問題というのが、前回の記事で取り扱った "ヴァーサナー(心の傾向)" ですね。
前回の記事では、NLP はこのヴァーサナーを書き換えることができるということをお伝えしました。今回は「なぜ NLP はヴァーサナーを書き換えることができるのか?」というお話をしたいと思います。
書籍の紹介『望む人生を手に入れよう NLPの生みの親バンドラーが語る』
まず最初に書籍の紹介です。以降の話はこの本を読んでいただくことを念頭に置いたものですので、必ず買って読んでくださいね。
前回の『3日で人生を変える方法』はバンドラーの弟子が書いたもので、その内容は架空の人物である主人公が姉の勧めによってバンドラーの3日間のセミナーに参加するというものでした。こちらの本を読むことで、バンドラーがどんな人物で、どんな話をするのか、そしてその話が主人公やその他の人物にどんな変化をもたらすのかを主人公の体験を共有することによって知ることができます。
最初の記事で紹介した『神経言語プログラミング』はバンドラー自身が書いています。この本では NLP とはなんなのか? なぜ彼がそれを考えついたのか? そしてそれを使うとなにが起こるのか? といったことが語られていますが、それ以上にそれを語るバンドラーのものの考え方のユニークさ、非凡さが伝わってくると思います。
それぞれを読んでいただいた方はこの2冊によって、こう感じているはずです。
「リチャード・バンドラーがなんだかヤバいのは分かった。そして NLP もどうやらすごいものだというのも伝わった。とはいうものの、これだけ読んで NLP が分かったという感じには全然ならないんだよなあ」
それはまったくその通りです。なぜなら、これら2冊は NLP についての実践的な事例はでてきますが、具体的に NLP とはどういうものなのかといった体系的な解説はまったく出てこないからです。そして当然ですが、NLP についてのちゃんとした教科書的な本は他にたくさん出ています。その中には入門的なものから高度な内容のものまで色々とありますが、それでいくとこの2冊は NLP の入門書でさえなくて、せいぜい NLP の雰囲気を味わえる本といったところになるでしょうか。
しかしわたしが思うに、実はこの雰囲気こそがとても大切なのですよね。この雰囲気をうまく捉えることなしに学んでも NLP は使い物になります。でもこの雰囲気から入らないと、NLP の敷居はとても高く感じられ、なかなか学びきれないと思うのですよね。
わたしは NLP をセルフケアのメソッドとして捉えているのですが、世に出ている NLP の本の多くはセラピー用のメソッドの解説本です。つまり、他者を治療するために NLP を学びたい人を対象にして書かれている本ですね。もちろんすべてがそうではないですし、わたしが NLP を重点的に学んだのは20年前なので、現在ではもっと色々な本が出ていると思いますが、NLP が臨床心理学のメソッドである以上、解説書がそういう趣であるのは当然のことです。また、NLP 本のもう一つの傾向としては「NLP をビジネスの現場において活用する方法論」を説いたもので、コーチングに関するものもここに含まれます。
霊的な探求者といっても、そうした人たちの多くは実社会で働いている人、つまりビジネスパーソンでしょうから、そうしたビジネス系の NLP 本も実はおすすめです。そして、わたしの記事をスラスラ読める人であれば先に触れたセラピスト向けの NLP の教科書本もおそらく読みこなせるでしょうし、このマガジンでもいずれそうした本のいくつかを取り上げる予定でもあります。
一方で、より一般向けの平易な内容の NLP 本といったものもないことはないようなのですが、わたし自身は読んでいないものばかりなのでおすすめできません。また、読んでないで言うのはなんですけど、そもそも高度な内容を含む話を一般向けに平易化するということは、重要ななにかをスポイルすることなしには不可能です。
ただし、こと NLP に関していえば、それがリチャード・バンドラーの書いたものであれば話は別となってきます。むしろ、バンドラー自身が用意した NLP の入口となる本がもしあるのなら、そこには一番重要なエッセンスの部分だけが書かれてあるはずですね。そしてそう、それが『神経言語プログラミング』です。
そんなわけで、わたしはまず『神経言語プログラミング』を皆さんにおすすめしました。この本はこれから NLP についてより深く学んでいったとしても、時々読み返してみるとよいですよ。読み返すたびに、新たな気づきがきっとあると思います。
さて、今回紹介する『望む人生を手に入れよう(以下略)』は、『神経言語プログラミング』を読んだ人がその次に読むのに相応しい本です。内容は NLP の基本中の基本といってよい「サブモダリティ」と「心のインベントリー(目録)」という概念について紹介し、これを活用するテクニックをエクササイズを通じて学ぶものです。基本中の基本といっても、それだけにとても重要なものであり、意識レベルを抑圧している問題を解消するという目的においてはこの本の内容を自分のものにするだけでほぼほぼ十分だと言えるでしょう。
とはいえ、意識レベルが高まるということはそれだけその人は世界に(人類全体の意識に)貢献するようになることを意味しています。貢献の仕方は人によって様々ですが、どんな仕方であれ、ここでいう貢献とは具体的には「他者の意識レベルを引き上げる」という結果を伴うもののことです。
分かりやすくいうと、もしあなたの意識レベルが今よりも高まったなら、あなたの存在によって意識レベルを引き上げられる他者が今よりも増えるし、引き上げられる幅も大きくなるということです。そういう人はこの記事を読んでないかもしれませんが、仮にあなたの意識レベルが200未満であった場合、いまのあなたには他者の意識レベルを引き上げる力はありませんが、今後意識レベルが200を超えたなら、あなたの存在によって他の誰かも200を超える可能性が出てきます。
例えばの話ですが、あなたが NLP を身につけて自分の意識レベルを大きく飛躍させることが出来たとしますね。意識レベルが飛躍すると、端的にいって苦悩が減ってその分幸せになるわけです。するとあなたは、自分を幸せにしてくれた NLP を他の人にも教えてあげようと思うかもしれません。あなたが急に幸せそうになったその変化を身近に見ていた人なら、あなたが NLP によって幸せになれたことを聞くと、きっとその人も NLP に興味を持つでしょう。結果としてその人も NLP で幸せになれたとしたら、それはあなたの意識レベルからくるエネルギー(パワー)がその人の意識レベルを引き上げたということです。これは意識レベルの領域は違うとはいえ、覚醒したマスターが人々に霊的な教えを伝えていることと原理的にはまったく同じことです。
なので、この本を読まれたあとも、皆さんが引き続き NLP を学ばれ、NLPの素晴らしさを他の人に伝えたり、あるいは他の人の問題を解決する手伝いが出来るようになっていただくことをわたしは期待しますし、そのための記事は書いていきます。しかしながら、繰り返しになりますが、個人的な問題を解決するためであればこの本の内容だけでも十分であるということははっきりと言っておきたいと思います。
あとは実際に本を手に入れて読んでいただくだけです、と言いたいところなのですが、最後にサブモダリティとインベントリーについて簡単に触れておきます。
なぜ NLP はヴァーサナーを書き換えることができるのか?
サブモダリティとは、わたしたちが五感を通して経験したことの情報(=記憶や印象、感じ)を構成している細かい要素のことです。詳しくは本に書いてありますが、例えば視覚でいうと、ある記憶の情景が鮮明かぼんやりしているか、カラーかモノクロか、頭の中でその情景は大きいか小さいか、あるいはその情景は頭の中のどの位置にあるか、その情景の中に自分は見えているか、それとも情景だけが見えているか、といったことがサブモダリティです。視覚だけでなく、聴覚や嗅覚、味覚、触覚についてもそれぞれサブモダリティを抽出することが出来ますね。
インベントリー(心のインベントリー)とは「目録」という意味です。これは、自分の頭の中にある様々な経験に関するサブモダリティをたくさん抽出し、それを整理したものです。インベントリーを作ることによって、その人にとっての「いい経験」「楽しい経験」「やる気になれた経験」はどのようなサブモダリティで構成されているか、あるいは逆に「嫌な経験」や「苦手な経験」「恐ろしい経験」はどういったサブモダリティを持っているかが明らかになります。
このインベントリーを活用することで、ネガティブな経験(過去の経験だけでなく、これからしようという経験も)のサブモダリティをポジティブな他の経験のサブモダリティを参考に変容させることができるわけです。これまでに紹介した2冊の本の中で登場したテクニックでは一般的な(普遍的な、共通的な)インベントリーを用いていましたが、この本ではまず自分自身のカスタム・インベントリーを作ることになります。一般的なインベントリーは臨床的な蓄積によって多くの人に有効であることが確認されているわけですが、どんな人にでも合うわけではありませんし、合わないことも多いです。
しかしながら、自分自身のインベントリーはまさに自分の頭の使い方そのものなので、これを作ってしまえば、以降はどんな問題にも自分自身のやり方で対処できるようになります。本書は読者がそのように対処できるようになるためのエクササイズをいくつも紹介していますので、必ずその通りにやってみてください。どれも重要ですし、どれも効果的ですが、個人的には P.252 からの「先延ばし」をやめることについての部分が特に霊的な探求者にとっては意義深いと思いました。
というのは、物事を先延ばしにすること、あるいはそれ以前に物事を面倒くさいと考えてしまうことは誰にでもあることだとは思うんですが、この習性は霊的な探求における "明け渡し" を難しくさせている要因の一つだからです。明け渡しを阻んでいる根本的な原因は "プライド(傲慢さ)" ですが、それについては別のところで詳しく書いています。ここで指摘しておきたいのは、なにかをやらないといけない状況に直面したときは、やるやらないに是非もないということです。
例えばですが、免許の更新や確定申告といったものは基本的に「やるしかない」ものです。やるしかないものは、可能な限り迅速に行うべきです。そうしないで後回し後回しにしたところで心の中でストレスがつのるだけですし、ギリギリまで放置していていざと思って決行しようとしたらそれよりも急を要する用件が発生してしまって、にっちもさっちもいかなくなることさえあります。
ちょうど、今年は免許証とマイナンバーカードとパスポートの更新が重なったんですが、免許とマイナンバーカードは通知がきたらすぐに写真を用意して手続きの予約をしました。パスポートは使う予定がないので更新はしませんでした。40歳ごろから意識の変容がはじまって、色々な習性が変わったり無くなったりしましたが、そんな中でもはっきり自覚できるのは「先延ばししないどころか即行動するようになった」ことです。
そのような事例は分かりやすいのですが、人生には他にももっとたくさんの「やるしかないこと」が日々起きてきていることには、なかなか気づけないものです。人間関係において「言うしかないこと」は永遠に先延ばしされがちです。健康のために「やるしかないこと」よりも「その前にこれを食べよう」が優先されがちです。
要するに「先延ばし」というのはエゴの最大の欠点である『ものごとの真偽を識別できない』という性質からきています。正しいか間違っているか、ではなく真実かそうでないかの識別です(もちろん正しいか間違っているかもエゴには判断できませんが)。プライドもそうで、自分が正しいと思っているその思考が真実か虚偽かを識別できないところから生まれてきます。
「やるしかない」ことというのは生存のためと、意識の進化のために必要なことです。エゴはこれに色々な理由をつけて待ったをかけるのですが、それって要するに自分の意識を進化させることに待ったをかけていることに他ならないのです。逆に、「やるしかない」を是非もないとしてサクサクこなしていくと、次々に「やるしかないこと」がやってくるようになります。この「やるしかないこと」というのを神意としてのカルマであると考えるなら、先延ばししないことは明け渡しなのです。エゴには真実を識別できないので判断を神に委ねる、それが明け渡しです。別の言い方をすれば、「やるしかないこと(=浄化すべきカルマ)」を果たすことを先延ばしにしないことが明け渡しです。
さてだいぶ脱線してしまいましたが、話を戻しましょう。
サブモダリティを理解してインベントリーを作成すると、自分の心の使い方のパターンが分かってきます。そして、そのパターンを利用して様々な心の癖や記憶に紐づいた感情を書き換えることができるようになります。
これはつまり、心は変えることができるということを意味しています。
もしも心を自己と同一視しているなら、つまり心こそが自分そのものであると考えているなら、NLP によって心をガラッと変えることができた人は「別人になった」と言ってもよいはずです。実際、そのように感じた人もたくさんいると思います。
しかしながら、心を変えることが出来るということは、心は自分の所有物であってツールでしかないということを意味しています。NLP のサブモダリティとインベントリーは言ってみればサンスカーラとヴァーサナーを別の角度からみたもので、インベントリーとして現れるサブモダリティのパターンはサンスカーラの反映と考えることができます。このパターンがその人の心の働きにおける個々のアルゴリズム(=ヴァーサナー)を生じさせているわけですが、インベントリーのパターンを逆手に取ることでこのヴァーサナーは書き換えることができます。
この作業を繰り返していくことで、最終的にはインベントリーのパターンそのものが平坦化していきますが、それはその人の意識が二元性を超越しつつあることを示唆しています。別の言い方をすれば、サンスカーラが消滅していっているということであり、すなわちカルマが浄化されていくということです。
今回はこれで以上です。最後までお読みくださってありがとうございました。また次の記事でお会いしましょう😉✨️✨️
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