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息子と深夜のドライブ。なぜ子どもは、車だと寝るのか。

子どもが熱を出すと、家の中の空気が少し変わる。

いつもの泣き声も、いつもの寝ぐずりも、少し違って聞こえる。

額に手を当てる。

熱い。
体温計を見る。
やっぱり熱い。

どうも
子どもの発熱は何度経験しても慣れないナオです。


息子が熱を出した。

ぐずる。
寝ない。
布団に置くと泣く。

こちらも眠い。

かなり眠い。

でも本人はもっとしんどいのだろう。
小さな体で、熱と戦っている。
そう思うと、こちらの眠気も少しだけ引っ込む。

少しだけである。
完全には引っ込まない。

父もまた人間である。


いろいろ試す。

抱っこ。
トントン。
水分。
寝る姿勢。

全部それなりにやってみる。

しかし寝ない。

こういう時、なぜか最後に出てくる選択肢がある。

車である。

子どもは、なぜ車だと寝るのか。

あの揺れなのか。
エンジン音なのか。
チャイルドシートの角度なのか。
外の暗さなのか。

理由はよくわからない。


しかし、車に乗せると途端に寝る。

不思議である。

できれば家の布団でもその能力を発揮してほしい。

深夜、息子を乗せて車を出す。
家の周りは静かだ。
昼間とは違う道に見える。

街灯。
暗い田んぼ。
遠くの家の明かり。
眠れない息子。

もちろん、ロマンチックなドライブではない。

助手席にコーヒーはない。
流れる音楽もない。
目的地もない。
ただ息子が寝ることを祈りながら、ゆっくり走る。

夜の道をぐるっと回る。
バックミラーを見る。
泣き声が少し弱くなる。
まぶたが重そうになる。

もう少しだ。

父は息を潜める。

なぜかこちらまで小声になる。

ようやく息子が寝る。
小さな寝息が聞こえる。
さっきまであんなに泣いていたのに、寝顔は急に天使になる。

ずるい。
非常にずるい。

こちらは眠気と心配でだいぶ削られているのに、寝顔ひとつで全部帳消しにしてくる。


家に帰る。

問題はここからだ。

車で寝た子どもを、いかに起こさず布団へ運ぶか。

これはもう競技である。
呼吸を止める。
ドアを静かに開ける。
チャイルドシートのベルトを外す。

抱き上げる。
一歩ずつ歩く。
床よ、鳴るな。

父は祈る。


深夜のドライブは、ただの寝かしつけではない。

心配と眠気と祈りを乗せた、小さな夜の旅である。

息子よ。
早く良くなれ。
そしてできれば次は、布団で寝てくれ。

父の燃料も、そろそろ空である。

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