松尾豊教授のAIスキル講義から考える、実務でAIを使う第一歩【小さな商売の発信】
NHK『世界一流に学ぶAIスキル ~東大大学院教授・松尾豊~ #01 』を見て、気になったのは派手なAI機能ではありませんでした。AIを実際の仕事のどこで試し、出てきた結果をどう確かめるのか。そこを考えていくと、AIとの付き合い方より先に、自分の仕事のやり方が見えてきます。
AIの講義を見ると、翌朝から仕事が全部自動化できそうな気分になります。
(もちろん、そんなに都合よくはいきません。)
今回気になったのは、派手なAI機能よりも「まず業務で使ってみる」という、かなり地味な入口でした。地味なのですが、たぶんここを飛ばすと、その先もふわっとしたままになりそうです。
こんにちは。綿樽 剛です。
ネタリエという屋号で、小さな商売のnote発信サポートをしています。
仕事の中にあるメモ、音声、過去記事、日々の気づきなどのネタを拾い、検索にも届き、人柄も伝わるnote記事へ整えています。
私自身も記事制作でもAIを使っていますが、使うこと自体より、どの工程で使うかを見ることが増えました。
松尾豊教授のAI講義で「まず使ってみる」が妙に引っかかった
今回の入口は、NHK『世界一流に学ぶAIスキル ~東大大学院教授・松尾豊~ #01 』です。
とても面白い番組でした。AI研究の第一人者の松尾教授が、日本にもっとAIを普及させるべく頑張ってくれています。
番組では、AI活用を技術者だけの話にせず、中小企業の経理業務など、実際の仕事へ入れていく流れが紹介されていました。最初のステップとして示されていたのが、「業務でAIを使ってみる」というものです。
これだけ聞くと、当たり前にも見えます。
ChatGPTを開く。文章を要約する。メール案を出してもらう。表を整理してもらう。すでにやっている人なら、「そこはもう通過しました」と感じるかもしれません。
私も、今さら、これくらいやっているんじゃないのって思いました(正直)。
でも、「AIを使ったことがある」と「仕事の中でAIを使っている」は、同じようでいて、かなり距離があります。
私自身、AIを触っている時間だけならかなり長くなりました。ただ、新しい機能を試した日は妙に仕事をした気分になるのに、翌日には元のやり方へ戻っていることもあります。
便利でした。
以上。
AIを使うことが目的になってる。そんな日もあります。これでは、仕事はあまり変わりません。
AIを業務に入れると、曖昧だった判断基準が見えてくる
私が特に面白いと感じるのは、AIそのものより、AIに仕事を渡そうとした瞬間です。
人間同士なら、「これ、いい感じにまとめておいて」で通じていた仕事があります。自分一人でやっている仕事なら、なおさらです。毎回なんとなく判断していても、本人の頭の中では処理できてしまいます。
ところがAIへ渡そうとすると、急に困るわけです。
何を入力するのか。どこまでやれば完成なのか。何を見て「これは使える」と判断するのか。
今まで感覚で処理していた部分が、ごちゃごちゃっと表に出てきます。「言語化」するスキルは、AIを使うスキルです。これは、まだAIが代替できないスキルです。
記事制作でも似ています。
「この記事を整えて」とAIに頼むことはできます。
ただ、元のメモで絶対に残したい言葉は何か、事実確認が必要なのはどこか、読みやすくするためなら削ってよい部分はどこか。
そこが曖昧なままだと、きれいな文章は出ても、本人の文章から少しずつ離れていきます。
ちゃんと、伝えたいことを伝えるスキルが必要なのです。
AIが悪いという話ではありません。
むしろ、今まで自分がどんな基準で仕事をしていたのかを外に出すきっかけになる。
小さな商売では、業務マニュアルを作るほどではないけれど、本人だけが知っている判断がたくさんあります。
お客様への返信ひとつでも、「これはすぐ返す」「これは一度確認する」という基準がある。記事でも、「この話は公開する」「これは書かない」という線があります。
AIを入れてみると、その境目を説明しないと進まなくなるのです。
ここに発見があります。
自分の仕事をどれくらい言語化できるか。どれくらい、ナレッジとして外に出せるか。
AI活用でどこまで任せるか、人間の判断を残す場所
ここまで考えてくると、私が今回の番組から持ち帰りたいものは、AIの新しい使い方そのものではありませんでした。
AI活用で先に決めたいのは、業務のどこに人間の判断を残すか、という線引きです。
たとえば、一本の記事を作る場面を考えてみます。
音声やメモから話題を拾う。似た話を整理する。構成候補を出す。ここまではAIに助けてもらいやすい部分です。
一方で、「この話を今出してよいか」「自分は本当にそう考えているか」「お客様の話をどこまで書くか」は、そのまま渡しにくい。
私は、この最後のあたりでいったん自分の言葉に戻すことが増えました。具体的に言えば、音声でメモを残してAIに読み込ませます。AIが出したツルッとした文章に血肉をつけていくイメージ。
AIを使えば速くなる工程はあります。けれど、速くできることが、そのまま任せてよいこととは限りません。
この「どこまで任せ、どこで人が判断するか」という線引きは、文章制作だけの話ではありません。AIによる健康相談を題材にした記事でも、同じ境目について考えました。
もちろん、仕事によって境目は変わります。
定型的な集計のように、基準が明確で確認もしやすい作業なら、AIや自動化へ任せられる範囲は広くなるかもしれません。反対に、お客様との関係や公開判断が絡む仕事では、人が見る場所が多くなります。
だから、業務にAIを組み込む話をする時に、一律の解を作るのは難しそうです。
最初から大きなAI活用を考えるより、「毎週やっているこの作業なら、どこまで渡せるだろう」と一つ試してみる。そのくらいのサイズなら、自分の仕事も観察しやすくなります。
普段、なんとなく自分で判断している仕事を一つ思い浮かべてみると、意外と説明しにくい部分が見つかるかもしれません。
AIに渡す前に、その判断基準を一行だけメモしてみる。そこから見えてくるものもありそうです。
AIを仕事に入れる前に、もう少し考えたいこと
ここまでの話を実際の仕事へ置き換えると、もう少し細かな迷いも出てきます。
全部を一度に決める必要はありません。まず一つの仕事で試しながら、自分の判断基準を言葉にしていけばよさそうです。
Q. 小さな会社や個人事業主は、AIをどの業務から試せばいい?
毎週のように繰り返していて、結果を自分で確認しやすい仕事から試すのが合っています。本文で触れたように、「毎週やっているこの作業なら、どこまで渡せるだろう」と考えられるくらいの大きさなら、AIだけでなく自分の仕事の流れも観察しやすくなります。
Q. AIに任せた結果が「仕事で使える」と判断するには?
AIへ渡す前に、「どこまでできれば完成か」「何を見て使えると判断するか」を自分の言葉にしておきます。記事なら、残したい言葉や事実確認が必要な場所などが判断材料になります。確認した基準を短くメモしておけば、次に同じ仕事を試すときの比較材料にもなります。
Q. 一度AIに任せられた仕事は、そのまま自動化してもいい?
一度うまくいったことと、そのまま人の確認を外せることは別です。まず繰り返してみて、どこで失敗する可能性があるか、どの地点なら人が確認できるかを見たほうが安心です。
AIを大きく自動化する前に、工程を分けて使う考え方は別の記事でも整理しています。
Q. AIに渡しにくい仕事では、AIを使わないほうがいい?
全部を渡す必要はありません。整理や下書きだけAIに助けてもらい、公開するか、自分が本当にそう考えているかといった判断は人に残せます。
AIと人間で役割を分ける一例として、記事に一次情報を残す考え方も整理しています。
実際に一つ試してみると、仕事ごとに説明しやすい部分と、まだ感覚で判断している部分が見えてきます。
そのメモ自体が、次にAIを使うときの材料になりそうです。
読んでくれて、ありがとうございます。
AIを使うこと自体より、どこで使い、どこを人が判断するのか。
今回の番組を見ながら考えていたことは、普段の記事制作でも大切にしている部分でした。
綿樽 剛が、どんな考え方で小さな商売のnote発信を支援しているのかは、こちらにまとめています。
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【制作について】この記事は、綿樽 剛の構成、メモ、リサーチ内容をもとに、AIを下書きや整理の補助として使用し、最終的に本人が確認・編集しています。記事の切り口、残す内容、削る内容、公開判断は綿樽 剛が行っています。
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