『NO RULES 世界一自由な会社 Netflix』を読んで、会社員としての生きづらさを言語化してみた
2026年3月、NetflixはWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の「日本国内の独占配信権」を約150億円で獲得しました。
150億円というおおよそ日本のテレビ業界でも桁違いの額に恐れ慄き、私は
『NO RULES(ノー・ルールズ)世界一自由な会社 Netflix』を読みました。
いち会社員としても、参考になる節があります。読み終わって手元に残ったのは、凄い経営ノウハウじゃありませんでした。
「私が会社でしんどかったのは、能力の問題じゃなくて、単純にカルチャーが合ってなかっただけかもしれない」
という、救いでした。
今日はこの本を、「会社を経営する人」じゃなくて、いま会社にいてしんどい人に向けて紹介します。
経営者目線の要約は他の優秀な人がいっぱい書いてるので、わたしは「辞めたい側」「疲れてる側」の視点で解説します。
ぜひ、最後まで読んでみてください。
そもそもどんな本?
NetflixのCEOリード・ヘイスティングスと、ビジネス研究者エリン・メイヤーの共著
ルール・規則・承認プロセスをどんどん撤廃していったら、世界一クリエイティブな会社になった、という実録
キーワードは「能力密度」「率直さ」「自由と責任」の3つ
Netflixは、会社の“当たり前”を平気で無くし、改革していきます。
「性善説で会社を運営したらどうなるか」の壮大な実験記録ともいえるでしょう。
「すごい」の中身は、怖い
この本、読み進めると分かるんですが、Netflixのやってることは字面だけ見ると、全部怖いです。
休暇規定の廃止:有給は何日、といった管理をやめる。休みたいだけ休んでいい
経費規定の廃止:出張も接待も上限なし。承認プロセスもなし
能力密度:優秀じゃない人は、十分な退職金を用意して辞めてもらう。容赦なく。
「自由!」って聞くと天国みたいですけど、全部セットで「責任」が乗ってきます。しかもかなり重たいです。
たとえば経費。
「上限なし・承認なし」って一見ラクそうですけど、ルールがない分、上司の前で「なぜこれを買うと決めたのか」を自分の言葉で説明できないといけません。
しかも出口では経理がしっかりチェックしています。
休暇だって取りたいだけ取っていいけど、仕事で結果が伴わなければ、容赦なくクビにされます。
ルールが無い世界って、実はめちゃくちゃ責任が伴う大人の世界なんですよね。
ルールに縛られるって嫌だと思いがちですが、すなわちそれはルールによって守られている
ってことでもあるんです。
そして、この本の大事な一文です。
自由には、責任が伴う。
当たり前じゃんって思うかもしれません。でもこれ、逆に言うと
「責任を取りたくない人にとって、自由は苦痛でしかない」
ってことなんです。
「責任を取りたくないから、自分で決めたくない」という人もたくさんいるでしょう。自由と責任は常にセットなんです。
わたしが特に本質だと思った3点
① フィードバックは、愛です
Netflixのフィードバック文化は有名です。「率直さを最大限に高める」という意味でも、盛んに行われています。
ポイントは、率直=辛口 ではないということ。
傷つけずに修正を伝えるコツは、
シンプルに
①「この人を助けたい」という気持ちからやること。
②具体的に「次はこうしたら?」と提案すること。
ダメ出しして終わりは、ただの八つ当たりです。
逆に受ける側のコツは
①相手に感謝すること。そして
②全部を真に受けず取捨選択すること。
全部飲み込んだら壊れるからです。
本には「褒め25%・改善75%」みたいな配分の話も出てきますが、わたしが一番グッときたのはこれ。
人の話をするときは、その人に面と向かって言えることしか言うな。
面と向かって言えない言葉は、どこであっても言うんじゃねぇ!ってことですね。今一度、肝に銘じましょう。
② 「自分で決められる」ことでストレスから解放される
Netflixの社内では、承認プロセスを片っ端から潰していきます。「上司を喜ばせようとするな。会社にとって最善の行動を取れ」と。
これを読んでいて、私は過去の自分を思い出しました。
会社員時代、いちばんしんどかったのって、仕事量そのものより「自分で決められないこと」だったなと。
稟議、承認待ち、上司の顔色、「これ勝手にやって大丈夫かな」という心配。
自由が無いのに責任だけついてくる理不尽なしんどさは、会社員なら誰もが感じたことがあるはず。
本来、自由と責任はセットなはずなのに。
本書にはこうあります。人は自分で意思決定できる仕事を望み、その状況でこそ力を発揮する、と。
裏を返せば、いまモヤモヤしてる人の正体はこれかもしれません。
自分に決定権がないから、しんどい。
私も、自分で決められないことにストレスを感じるタイプでした。だから会社で生きづらかったんです。
③ 会社は「家族」じゃなくて「チーム」
Netflixは「うちは家族です」とは言いません。
プロのスポーツチームだと言い切る。
だからメンバーの入れ替えもあります。
有名なのが「キーパーテスト」。
“この部下が「辞めて他社に行きます」と言ってきたら、必死に引き止めるか?”
を上司が自問して、答えがNoなら、手厚い退職金を払って送り出す。
冷たいですよね。自分がもしキーパーテストにかけられたら、クビだと思います。
でも見方を変えると、自分に合うチームを強制的に探すことになるから、それも悪くないのかもと思います。
仲良しでいるより、メンバーを適宜入れ替えるほうが、実はよっぽど、会社と社員の未来のためになるのかもしれません。
いち会社員の私たちが持ち帰るべきこと
ここまで長々と書いてきましたが、ここまでの話は正直、私たち一般ピープルにはどうしようもできないことです。
うちの会社が、明日から休暇無制限になることはないからです。
じゃあこの本、会社員が読む意味ある?
あります。たった1つの考え方のために読む価値があります。それがこれ。
世の中のカルチャーには
・「自由と責任」型と
・「ルールと手順」型の
2つがある。
「自由と責任」型:イノベーションや変化が求められる仕事向き。Netflixがこれ。ミスは学び。自分で決めて、自分で責任を取る。
「ルールと手順」型:安全や命に関わる仕事向き。病院や工場や航空業界など。ミスは事故。マニュアルがある。
どっちが優れてるという話ではありません。
業界や業種による向き不向きなんです。
手術室で外科医が「オレのやり方で自由にやるわ」とか言い出したら普通に事故なので、そこはルールと手順型が正解です。
しんどさの正体は「自分のタイプ」と「いる場所のタイプ」がズレてるから
ルールがないと不安な人が、自由と責任型の業種に就く → 自分で選ぶ責任に耐えられず消耗する
自分で決めたい人が、ルールと手順型の業種に就く → 自分で決められないストレスで消耗する
わたしが会社で消耗してたのは、後者だったんですよね。決めたいのに、決めさせてもらえない。この本を読んで、やっと「わたしがダメだったんじゃなくて、環境との相性の問題だったのか」と思いました。
見直すべきは自分の能力じゃなくて、「置かれてる場所との相性」。
そういう考え方もあると知れただけで、私はこの本を読んでよかったです。
おまけ:行きたい場所だけを見ろ
おまけとしての話。
本の中で、意思決定についてカヤックの例えが出てきます。
急流で、「絶対に落ちたくない危険なホール(渦)」をじーっと見つめていると、体が勝手にそっちに向かって漕いでしまう。
だから「行きたい安全な水面」だけを見ろ、と。
これ、仕事だけじゃなくて、
人生ぜんぶそうだな、と思って。
「失敗したらどうしよう」「お金なくなったらどうしよう」ばっかり見つめてると、ほんとにそっちに吸い込まれていく。
避けたいものじゃなくて、行きたい場所を見る。
メンタルやられてる時ほど効く言葉だなと思うので、最後にメモしときました。
まとめ:2つの型、どちらが自分に合っているのか考えてみよう
『NO RULES』は、Netflixの凄さを理解するのにも十分な本ですが、「自分がどこでなら自分らしく働けるのか」を考えるための本でもありました。
自由と責任か、ルールと手順か。
自分で決めたい人か、守られたい人か。
自分のタイプと、いる場所のタイプがズレてると、人は消耗していく。 それに気づけたのが、わたしにとっての一番の収穫でした。
いま会社でしんどい人へ。それはあなたの能力の問題じゃないかもしれません。場所のタイプが合ってないだけかもです。
※この記事は書籍の内容を、わたし個人の解釈と体験を交えて紹介したものです。
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