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吉田松陰の「3つの言葉」

ゴールデンウィークの金沢。

私は、ベストセラー作家・喜多川泰さんの講演を聞いていました。

どの言葉も心に響きました。

でも——

今の私に、最も強く残ったのは、
幕末の志士・吉田松陰が遺した、たった3つの言葉でした。


吉田松陰が遺したもの

紹介されたのは、いたってシンプルな言葉です。

立志(志を立てる)
択交(交わる人を自ら選ぶ)
読書(本で自分を育てる)

シンプルだからこそ、本質。

「これだけで、人は変わるのかもしれない」

救急医として、生と死の境界線に立ち続けてきた経験が、
この言葉と静かに重なりました。


立志 —— どこへ向かうのか

人は、どこへ向かうのかを決めておかないと、
日常の流れに、いつの間にか飲み込まれてしまいます。

「死ぬまでは、生きている」

当たり前のようでいて、
救急の現場では、その意味がまったく違って見えてきます。

生きているうちにしか、命は輝かせられない。
命を能動的に楽しめるのも、「今」しかない。

志とは、立派なものでなくていい。

「こう生きたい」

その小さな方向があるだけで、
時間の使い方は変わります。

人は、向かう先が決まった瞬間から、
自分の人生を歩き始めるのだと思います。


択交 —— 誰と“意志をもって”生きるか

人は、環境に引っ張られる生き物です。

これは、救急の現場でも、日常でも感じてきたことです。

回復していく人のそばには、
支える人がいることが多い。

応援してくれる人がいる——
それだけで、人は驚くほど強くなる。

回復の速ささえ、変わってくる印象があります。

逆に——
孤独の中で、静かに弱っていく人もいる。

孤独は、心だけでなく、身体にも影響します。

だからこそ、「択交」という言葉は重い。

流されて人と関わるのではなく、
自分の意志で、誰と交わるかを選び取る。

どんな言葉の中で生きるかを選ぶ。

その積み重ねが、
静かに、しかし確実に、自分をつくっていきます。

厳しいようでいて、
とても現実的で、優しい教えだと思います。


読書 —— 時空を超えた支え

とはいえ、いつも良い出会いに恵まれるわけではありません。

かつての私もそうでした。

友達が少なく
父の影響もあって、一人で本を読む時間が多かった。

救急の現場でも、
わずかな合間に、本を開いていました。

目の前の命を救うことに必死で、
自分の夢は後回しにしていた時期もありました。

それでも——

本の言葉に、何度も救われてきました。

理不尽な現実にぶつかったとき、
人は一人では耐えきれません。

でも、言葉があると、踏みとどまれる。

過去の人たちの言葉は、
時間を越えて差し伸べられる「見えない手」なのだと思います。


人は、何度でも変われる

救急医として、多くの最期に立ち会ってきました。

その中で、何度も感じてきたことがあります。

「人は、もっとできたのではないか」

という、後悔です。

でも——

生きている今なら、まだ間に合います。

志を立てることもできる。
人との関わりを選び直すこともできる。
新しい本を手に取ることもできる。

人は、常に途中です。

だからこそ、何度でも変われる。


最後に

吉田松陰の言葉は、あまりにもシンプルです。

でも——
その中に、人生の本質が詰まっています。

志を持つこと。
誰と関わるかを選ぶこと。
言葉で自分を育てること。

今日という一日も、
誰と過ごし、どんな言葉に触れるかで変わっていきます。

あなたは、誰と生きますか。
あなたは、どんな言葉の中で生きていきますか。

私の命も、あなたの命も——
この瞬間から、いくらでも新しくできるはずです。

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