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連載小説【常闇に名を呼ぶ】第6話 歪む日常、錆びた鳥居


こんにちは、猫丸にゃん仔です。
連載小説【常闇に名を呼ぶ】を作りました。
今回は、いつもの短編小説より
設定をChatGPTとGeminiで構成を煮詰めて作成した作品です。
短編では、文字数を少なめに軽く読める様にしてましたが連載では、情景描写やキャラクターの心理を深掘りして、没入感のある小説形式へ調整しました。
よろしくお願いします。

《第六話 歪む日常、錆びた鳥居》あらすじ
体育の授業中、ぼんやりしていた凛花は転倒し、腕に小さな怪我を負ってしまう。
いつも通りのはずの日常――けれど、その胸の奥には拭えない違和感が残っていた。
保健室へ向かう途中、親友・由奈の不在を思い出し、不安が胸をよぎる。
最近続く奇妙な出来事と、少しずつ狂い始めた日常。
そんな凛花を見つめる者たちの思惑は、まだ見えない。
一方、玲司もまた学園に潜む異変の気配を感じ取っていた。
やがて二人の前に浮かび上がる、七不思議のひとつ――「屋上の黒い鳥居」。
そこは、決して近づいてはならない封印の境界。
忘れていたはずの記憶と、消えた幼馴染の影が静かに交差し始める。
満月の夜、錆びついた鳥居の向こうで、“名前”を呼ぶ声が響く――。


【登場人物】

ChatGPT


『宵闇に名を呼ぶ』

第六話「歪む日常、錆びた鳥居」

「おっしゃぁぁあーー!! 今日も気合入れて走れ走れぇい!! 声が小さい! 腹から出せぇ!!」
昼休みが終わる直前のグラウンド。
割れんばかりの大声と、鼓膜をツンと刺すホイッスルの音が響き渡っていた。
声の主は、舞影学園の体育教師――火野 豪(ひの ごう)
短髪の赤茶髪に、年中日焼けした小麦色の肌。ジャージの上からでも一目でわかる強靭な筋肉質の体躯を揺らし、首から下げた笛を鳴らしながら、へばる生徒たちを笑顔で鼓舞している。

「あはは、火野先生、今日も相変わらず暑苦しいなぁ……」
校庭の脇の通路を歩いていた星野凛花は、苦笑しながらその様子を眺めていた。
距離感がやたらと近く、生徒たちからは「脳筋熱血教師」としてそれなりに人気がある男だ。
だが、その横を歩いていた九条玲司だけは、眼鏡の奥の目を険しく細め、火野の背中をじっと睨みつけていた。
(……気のせいか? あの男の周りだけ、陽炎とは違う『空気の歪み』がある気がする……)
玲司の直感に気づく風もなく、生徒たちに「ナイスファイト!」と豪快に笑いかけながら、火野は通路を歩く凛花たちの方へ「おう、お前らもシャキッと歩けよー!」と大きな手を振っていた。一見、どこにでもいるただの熱血教師にしか見えない。

五限目の体育の授業(ハンドボール)
10年前の幼馴染・悠斗の記憶や、ここ最近の親友・由奈の違和感について考え込んでいた凛花は、迫るパスに対応できず、コートの上で派手に転倒してしまった。
「痛っ……」
右腕を強く擦りむき、赤くにじむ血を見つめる凛花。
「おい、星野。見せてみろ」
授業に参加せず、木陰からグラウンドを監視していた玲司が、誰よりも早く凛花のもとへ駆け寄り、傷口の霊的汚染を確認しようとした。だが、その刹那。
「おーうおうおう! 星野ぉ、派手に転んだな! 大丈夫かぁ!?」

ChatGPT

ズシン、と地面を揺らすような足音と共に、火野豪が二人の間に強引に割り込んできた。やたらと近い距離感で凛花の顔を覗き込み、豪快に肩を叩く。
「九条ぉ! お前が心配そうな顔すんのは100年早ぇんだよ、つまんねぇ顔すんな! 男ならシャキッとせぇ!」
「っ……」
玲司の真面目さを笑顔で煽り、火野はそのまま、近くにいた天城紫音を手招きした。
「天城! お前、星野を保健室に連れてってやれ! 授業のキリもいいしな!」
「はい、分かりました。火野先生」
紫音の爽やかな微笑みと、火野の圧倒的な熱量に圧され、玲司は不服そうに奥歯を噛み締めながらも、引き下がるしかなかった。
「歩ける? 星野さん」
並んで校舎への廊下を歩きながら、紫音はいつも通りの気遣いを見せる。けれど、静まり返った渡り廊下に差し掛かった瞬間、紫音は前を向いたまま、ぽつりと呟いた。
「そういえば……白石さん、今日から体調不良でお休みしてるんだってね。心配だね」
「え……? 由奈が、お休み……?」
凛花の胸に、昨夜見た由奈の「感情のない笑顔」が蘇り、心臓が冷たく波打った。
「ううん、なんでもないんだ。早く良くなるといいね」
本気で由奈を心配し、顔を曇らせる凛花。その横顔を見つめながら、紫音の口元に、一瞬だけ――爬虫類を思わせるような、薄気味の悪い歪な微笑が浮かんでいた。

ChatGPT


「失礼します……」
凛花が保健室のドアを開けると、薬品の匂いと共に、柔らかな声が出迎えてくれた。
「あら、凛花ちゃん。どうしたの、その怪我」
そこにいたのは、白衣をそっと羽織った美しい養護教諭――篠宮 楓(しのみや かえで)だった。
楓は、凛花が小さい頃からよく知っている、近所の手芸が得意だった優しいお姉さんだ。学園で会う時はいつも、実の姉のように凛花を気遣ってくれる。
「天城くん、連れてきてくれてありがとう。あとは私が診るから、教室に戻って大丈夫よ」
「はい。失礼します」
紫音は爽やかに一礼し、ドアを閉めて去っていった。
「さ、座って。男前な怪我しちゃってまあ」
楓はクスリと笑いながら、手際よく消毒液と包帯を取り出す。

ChatGPT

「……楓お姉ちゃん。あのね、最近、変なことばかり起こるの」
日常の崩壊に怯えていた凛花は、昔馴染みの楓の前で、思わず弱音を漏らしてしまった。由奈のこと、自分が何か大切なことを忘れているような気がすること。
楓は静かに凛花の話を聞きながら、優しく、丁寧に包帯を巻いていく。
「大丈夫よ、凛花ちゃん。あなたは何も間違っていないわ。……たまには息抜きに、いつでもここに遊びにきなさいね」
温かい手。昔と変わらない優しい眼差し。
怪我の治療を終える頃には、凛花の張り詰めていた心が、ほんの少しだけ軽くなっていた。
「ありがとう、楓お姉ちゃん!」
少し元気を取り戻して保健室を飛び出していく凛花。

静まり返った保健室。
一人残された篠宮楓は、パイプ椅子に深く背をもたれかけ、天井を見つめた。その優しい瞳から、すっと温度が消え失せる。
窓の外を見やる彼女の視線の先には、夕闇に沈みゆく不気味な裏山のシルエットがあった。
「……あの子の『綻び』が、始まってる」
ぽつりと溢した声は、昼間の優しいお姉さんのものとはまるで違う、どこか哀しげで、冷徹な響きを帯びていた。

ChatGPT

「九条の坊やの力じゃ、もう止められないわよ。……ねえ…」

その横顔を夕闇が覆い隠し、彼女の呟きは深い霧の向こうへと消えていった。

その日の夕方。凛花は玲司に連れられ、普段は固く施錠されている新校舎の屋上へと足を運んでいた。
舞影学園には、古くからこんな噂がある。
――放課後、立ち入り禁止の屋上に、あるはずのない『黒い鳥居』が現れる。本来は赤いはずなのに、煤けたように真っ黒に染まった不気味な鳥居。もしもその鳥居の下で誰かに名前を呼ばれ、不用意に振り返ってしまった者は、二度と現世には戻れない。裏山の怪物の元へと“連れていかれる”のだと。
学園の七不思議の中で最も恐れられるそれは、昼間の明るい時間には影も形もない。しかし、世界の境界が薄れる夕暮れ時、そして――とりわけ「満月の夜」にだけ、その全貌を現世にハッキリと現す。

重い鉄扉を開けて屋上に出た瞬間、凛花は肌を刺すような寒気に身震いした。
カンカンと照りつけていた太陽の光は消え去り、世界の風も、音も、すべてが断絶されたかのように静まり返っている。
屋上の中央に、ぽつんと立っていた。
夕闇の中で、周囲の空気ごと光を吸い込むように佇む、煤けた『黒い鳥居』
足元には、文字の潰れた無数の古い御札が、剥がれかけた鱗のようにびっしりとコンクリートに張り付いている。世界から完全に風が消えているというのに、その御札だけが、何かに怯えるようにカタカタと不気味に揺れていた。
鳥居の向こう側は、肉眼では見通せないほど異様に昏く、深い闇が渦巻いている。
そして凛花は、見てしまった。
その濃密な闇の奥、境界の向こう側に、じっとこちらを見つめて佇む“誰か”の影を。

ChatGPT

その影を遮るように、数珠を手に持った凛花の祖父、星野玄十郎、そして――夕風に白髪をなびかせる学園長、神宮寺司が鳥居の前に立っていた。
「おじいちゃん!? どうしてここに……それに、この鳥居は……」
驚く凛花に、玄十郎はいつになく厳格な面持ちで振り返った。

「凛花。お前が記憶を取り戻し始めた以上、もう隠し通すことはできん。この鳥居はただの噂ではない。300年前、大妖『黒狐』を現世から隔離し、封じ込めたシステムそのもの……そして、かつて異なる役目を持って黒狐を封じた、四つの家系の歴史の跡だ」
玄十郎の言葉に合わせ、神宮寺学園長が静かに補足する。
「黒狐を閉じ込める外壁(檻)を維持する、玲司くんの九条家、黒狐と現世を繋ぐ境界(門)を閉ざす、守代(もりしろ)家、そして、黒狐に名前を奪われ、世界の理から消し去られるのを防ぐ、存在固定の役目――それが、君の星野家だ」
「星野家が……存在の固定?」
凛花は目を見開いた。
「そうだ。星野の血の本質は『名を繋ぐ』こと。黒狐の精神ハッキングを拒絶し、真名に干渉する能力を持つ。だが今、守代家は10年前に最後の末裔である神谷悠斗くんが消えたことで事実上、壊滅。我が星野の血も薄まり、九条の現当主も呪いに侵されている。だから、封印が崩れているんだ」
「待ってください」
玲司が眼鏡を押し上げ、鋭い視線を学園長へと向けた。
「四つの家系と言った。九条、守代、星野……あと一つの家系はどこだ」
神宮寺学園長は小さく目を伏せ、自嘲気味に微笑んだ。
その身体から一瞬、老人のものとは思えないほど圧倒的で、けれどどこか酷く無機質な「霊気の波動」が揺らめく。
「……最後の一つは、本来は封印から漏れ出る穢れを浄化する清掃役でありながら、長年その闇を浴び続けた結果、黒狐に魅入られて反転した裏切りの分家――『黄昏(たそがれ)』の一門だ。彼らは今、この学園の封印を内側からハッキングし、黒狐の完全解放を目論んでいる」

ChatGPT

学園長は、黒い鳥居の柱にそっと手を触れた。彼の触れた部分から、回路のような青い光の紋様がトクトクと脈打つように浮かび上がる。まるで、彼の肉体とこの校舎が、一本の神経で繋がっているかのように。
「守代の役目は、あの雨の日からもう長く空白だ。その空白の門を維持するため、私はここで『管理人』の真似事をしている。……私はね、元より人ではないのだから」
「人ではない……?」
凛花が息を呑む。学園長はそれ以上は語らず、ただ10年前、封印維持のために救えなかった悠斗の背中を思い出すように、遠くの裏山を見つめた。
「九条くん。私は君を、次代の九条として厳しく見ている。この学園の、いや、封印(システム)の限界は近いぞ」
神宮寺の、あまりにも静かで重い警告が、夕闇の屋上に響き渡った。
「おじいちゃん、私……」
不安を募らせる凛花に対し、玄十郎はただ短く、こう呟いた。
「……まだ早い。凛花、今はただ、己の日常を強く繋ぎ止めておけ」

「ただいまー……」
すっかり陽の落ちた夜、凛花が重い足取りで自宅のドアを開けると、香ばしくて温かい匂いが鼻腔をくすぐった。
「お、凛花おかえり! ちょうど今、美咲特製の特大唐揚げが揚がったところだぞ!」
リビングから顔を出したのは、エプロン姿の父・誠司(せいじ)だった。穏やかな笑顔を浮かべる彼は、星野家の秘密とは一切無縁の、婿養子の一般人だ。
「ちょっとあなた、つまみ食いはダメって言ったでしょ!」
奥の台所から、母・美咲(みさき)の元気な声が飛んでくる。星野の直系である彼女は、いつも通りおしゃべりで明るい。
「おじいちゃんは?」
「玄十郎さんなら、さっき帰ってきて『少し休む』って奥の部屋に引っ込んじゃったわよ。ほら凛花、早く手洗いとお着替えしちゃいなさい」

ChatGPT

食卓には、山盛りの唐揚げとサラダ、そして家族全員分の白米。星野家が何よりも大切にしている、賑やかな夕食の時間だ。
昼間の火野先生の不気味な距離感や、屋上で見たあの真っ黒な鳥居、そして由奈の欠席――冷え切っていた凛花の心が、この温かい空間に浸ることで、じわじわと解きほぐされていく。
(そう、ここが私の日常。絶対に守らなきゃいけない場所……)

しかし、団欒の最中、母の美咲がふと手を止め、凛花の顔をじっと見つめた。その瞳に、一瞬だけ、未来を透視するかのような鋭い光が宿る。危険が近づくと無意識に察知する、美咲の強い霊感が、凛花の纏う「影」に気づいたのだ。
「……凛花。何か、困ったことがあったら、いつでもお母さんに言いなさいね」
いつになく真剣なトーン。しかしすぐに美咲はいつもの笑顔に戻り、「ほら、お父さんに全部食べられちゃう前に食べなさい!」と場を盛り上げた。

その夜、自分の部屋でベッドに入った凛花は、壁の向こうから聞こえてくる父・誠司のけたたましい寝言を聞いていた。
「唐揚げが飛ぶ!! 逃げろぉ!!」
「……ふふっ」
思わず笑みがこぼれる。お兄ちゃんの悠真は東京の大学寮にいて今はいないけれど、この家がある限り、自分は大丈夫だと思えた。
名前を奪う黒狐。それを拒絶する、名前を忘れない星野の家。
この温かな絆の食卓こそが、暗闇に対抗する唯一の光だった。

深夜。新校舎の、月の光すら届かない暗い教室。
教壇の影に潜むように、天城紫音と篠宮藍の二人が向かい合っていた。窓の外から差し込むわずかな街灯の光が、二人の横顔を歪に切り取っている。
「……どうだい、藍。そっちの計画(仕込み)の進捗は」
紫音はブレザーのポケットに手を入れ、値踏みするような、不躾な視線を藍に投げかけた。
「白石由奈のハッキングは、順調なのかな?」
藍は教卓に肘をつき、スマートフォンの画面を眺めたまま、顔すら上げずに冷淡に答えた。
「聞くまでもなく、順調よ」
その声には、一切の感情が籠っていなかった。それどころか、紫音に対するあからさまな「嫌悪」と「退屈」が滲み出ている。

ChatGPT

「彼女の防壁(日常)は脆い。白石由奈の心を削って影を広げれば、星野凛花の喪失感は最大に達する。私が選ぶ『器』に、間違いはないわ」
藍はスマートフォンをポケットに仕舞い、ようやく紫音を正面から見据えた。その瞳には、氷のような冷たさが宿っている。
「……天城。あなた、自分が黄昏会のリーダーになったつもりで調子に乗らないで。私はあなたの命令で動いているわけじゃない。すべては、あの御方(黒狐)のためよ」
あからさまに突き放され、紫音の端正な顔が一瞬だけピキリと不快そうに歪んだ。しかし、すぐに彼はいつもの完璧な優等生の笑みを作り直す。
「おっと、怖いね。仲良くやろうよ、同じ志を持つ同志なんだから。もうすぐ『あの力』を解放する手筈も整うんだ。その時は、大いに派手にやろうじゃないか」
「……あなたのその気取った態度、ヘドが出るわ」
藍はフン、と鼻で笑うと、紫音に背を向け、闇の中に溶けるように教室から去っていった。
彼女は天城紫音という男が、心底大嫌いだった。
二人の歪な悪意が、それぞれの思惑を孕んで、星野凛花へと確実に牙を剥こうとしていた。

(第六話「歪む日常、錆びた鳥居」 終)


ChatGPT

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