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Vol.11|『ファイト』に救われたのは、自分だった

走るのが気持ちいい季節になってきた。
朝の空気は少し冷たくて、
ランナーもいつもより多い。

今日は、ただ走るだけじゃなくて
ひとつ小さな“挑戦”を決めていた。

すれ違うランナー全員に、
あいさつ そして『ナイスファイト!』を声に出して届ける。

たったそれだけ。
でも、実際にやるとなると
想像よりずっと勇気がいる。

最初は照れくさかった。
声が裏返った気もしたし、
相手にどう思われるかなって
小さく身構えてしまった。

でも一度声を出すと、
世界が少しだけ柔らかくなる。

『おはようございます!』
『ナイスファイトー!』

すると時々、返ってくる。

『おはよう!』
『ありがとう!』
『ファイト!』

声って、こんな返ってくるんだ。
たったひと言が
人の顔をほころばせる。

そして気づいた。

声を出すと、足が軽くなる。
心が弾む。
呼吸が整う。前に進む。

誰かを励ますつもりだったのに、
救われていたのは自分だった。

“ひとりで走ってるはずなのに、
なんだかひとりじゃない。”

そんな朝があるなんて思わなかった。

走るのが気持ちいい季節。
すれ違うランナーの数だけ、
優しい世界が広がってた。


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