裏優勝
昨日、昨年まで我が子がお世話になっていた母校の中体連を応援しに行った。
三年生にとっては、二年半の部活動に一区切りをつける最後の大会。
俺は何年も剣道を見てきた。
それでも未だに、竹刀の動きは見えない。
打ったのか、打たれたのか。
審判の旗が上がって初めて分かる。
その旗が上がる瞬間の、あの何とも言えない興奮。
剣道は応援で声を出せない。
だから昨日は、骨が折れるほど手を叩いた。
結果は負けた。
それでも 最後まで一本を取りにいく姿。
道場を出て 悔しさをこらえきれず涙を流す姿。
その一つひとつが、本当にまぶしかった。
でも、俺が一番心を動かされたのは、試合の結果じゃない。
三年生五人。
誰一人辞めることなく、最後の舞台に立ったことだ。
きっと、この二年半にはいろんなことがあったはずだ。
仲間とぶつかった日もあっただろう。
先生に厳しく指導されて、悔し涙を流した日もあっただろう。
勝てなくて、自信をなくした日もあったかもしれない。
それでも誰一人辞めなかった。
最後まで戦い続け、あの場所に立った。
俺は、それを誇りに思う。
もちろん、勝負だから勝ちたい。
勝つために努力するからこそ、美しさがある。
でも俺は、それと同じくらい大切なものがあると思う。
最後まで続けること。
仲間と最後まで歩き切ること。
優勝は一校だけ。
でも俺の中では、あの五人は「裏優勝」だ。
試合のあと、少しだけ子どもたちと話す時間があった。
「お疲れ。」
「よく頑張った。」
そう伝えた。
でも本当は、もっと伝えたかった言葉がある。
「最後まで辞めなかったことを、誇りに思ってほしい。」
人生には、勝つ日もあれば負ける日もある。
でも、最後まで歩き続けた経験は、一生誰にも奪われない。
昨日、俺はそのことを子供たちから教えてもらった。

