#映画感想文443『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(2026)
映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー(原題:Project Hail Mary)』(2026)を映画館で観てきた。
監督はフィル・ロード、クリストファー・ミラー、脚本はドリュー・ゴダード、出演はライアン・ゴズリング、ザンドラ・ヒュラー。
2026年製作、156分、アメリカ映画。
中学の物理教師のグレース(ライアン・ゴズリング)のもとに、政府関係者の女性エヴァが現れる。彼の昔の学会を追放された研究がきっかけで訪ねてきたという。宇宙では、太陽のエネルギーが奪われるという原因不明の異常現象が発生しており、三十年後には地球の温度が二十度下がり、農作物が育たなくなり、食料の奪い合いが起こり、人類は滅亡してしまうという。
同じ現象が太陽だけでなく、ほかの無数の星のエネルギーも蝕まれているなか、11.9光年先のタウ・セティという星だけが唯一無事であることが判明。その恒星がなぜ無事なのか、それを明らかにすることしか人類に生きる道はないことが、ただの中学教師のグレースに告げられる。
グレースが宇宙船の中で目覚めると、同僚の船員二人は亡くなっており、自分が誰なのかわからない記憶喪失状態。グレースは過去の地球で起きた出来事を思い出しながら、ミッションを進めていく。そこで、ほかの星からもタウ星を調べに来ていた石のような宇宙人と出会う。その宇宙人も高度な技術力を有している。グレースは石の宇宙人をロッキーと名付け、彼の言葉を録音し解析。言葉の意味を断定し、辞書と翻訳機を作り、二人は意思疎通ができるようになっていく。
そして、ロッキーとともに、恒星を蝕むアストロファージの天敵であるタウ星にあるタウメーバの存在を掴むことに成功する。
本作は、独身で恋人もペットもいないからという理由で、人類の命運を握るワンオペミッション、しかも片道切符で往路のエネルギーがない旅路を強いられた普通の物理の先生が、自分を捨て駒にした地球に戻るより、自分を助けてくれた石の宇宙人の星で暮らすことを選ぶというストーリーで、とんでもないピンチであっても悲壮感を強調したりせず、淡々とコミカルに進んでいくところが非常に良かった。
本作の主演・プロデューサーであるライアン・ゴズリングが「誰かが『インターステラー』と『E.T.』を足したような話だよねと言っていてその通りだと思った」とインタビューで答えていたので、そんな話だと思っておいて間違いないと思う。
グレースが地球への帰路の途中「このままではロッキーが死んでしまう。ロッキーはリスクを冒して自分を守ってくれたのに」と気が付く出来事が起こるのだが、一瞬だけ逡巡し、ロッキーの救出を選択するシーンが素晴らしかった。自分にすべてのリスクを押し付けた人類ではなく、身近な石の宇宙人を信じる。遠い人類より、近くのロッキー。そういう映画だった。
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