#映画感想文419『テレビの中に入りたい』(2024)
映画『テレビの中に入りたい(原題:I Saw the TV Glow)』(2024)を映画館で観てきた。
監督・脚本はジェーン・シェーンブルン、出演はジャスティス・スミス、ジャック・ヘブン。
2024年製作、102分、アメリカ映画。
オーウェン(ジャスティス・スミス)は内気な男の子。あるとき、学校でピンク・オペークというテレビ番組の公式本を読み耽るマディ(ジャック・ヘブン)と出会う。マディは学年は二つ上で、ピンク・オペークに心酔している。オーウェンは厳しい父親に就寝時間を決められており、22:30スタートのその番組を見ることができない。マディの家ではじめてピンク・オペークを見たオーウェンは番組の虜になっていく。
ちなみにピンク・オペークとは、イザベルとタラという少女が主人公で、スピリチュアル、テレパシー、超常現象、週替わり怪物などが登場する内向的なティーンが好む要素が詰め込まれたミニドラマ番組である。
あるとき、オーウェンはマディからレズビアンであることを告げられる。オーウェンは「女の子が好きなのか」と問われるものの、答えることができず、「テレビが好きだ」とはぐらかすことしかできない。
その後、マディはこの町にいたら死んでしまう、とオーウェンに告げて失踪する。数年後に再会すると、マディの雰囲気や服装が変わっている。マディはオーウェンに一緒に行こうと手を差し出すのだが、オーウェンは彼女から逃げてしまう。
オーウェンは性自認、自身のセクシャリティを直視することができず苦しんでいた。彼は男性の異性愛者として装うものの、「ここにいたら死んでしまう」という切迫感、居場所のなさ、世間に対する違和感を抱き、人生を送っていた。幸せそうな家族、いわゆるマジョリティを前にして「ぼくのことは無視してください」と顔を引きつらせながら言うオーウェンは本当に痛ましかった。
オーウェンは自分の在り方がどうであればベストなのかもわかっていないし、ありのままの自分でいることも怖いし、今のままの自分でいることも耐え難いと感じている。八方塞がり。何かを決めることもリスク、決めないこともリスク。袋小路の圧迫感がこれでもかと描かれており、どこに辿り着くかもわからず、宙ぶらりんで終わる。
主観的な混乱と痛み、悩みが続くので、まったく楽しくはない。ただ、映画でしか描けないモチーフを取り扱っており、非常に映画らしい映画だったと思う。A24、ありがとう!
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