あの日、家族みんなで見守った小さな選択
初節句のケーキに込めた、小さな祈り
昨年の今日、下の孫息子の初節句を迎えた。
やわらかな春の光の中、両家で集まり、ささやかなお祝いをした。
私は夫と一緒に台所に立ち、
いつものようにケーキを焼いて、その場へ持っていった。

まだ小さな体で、何もわからないまま迎えたその日。
けれど、あたたかなまなざしに包まれながら、 その命はたしかに祝福されていた。
五月人形の前で、 抱っこを替わりながら、みんなで写真を撮る。
そのひとつひとつの瞬間が、愛おしくて、胸が熱くなる。
一升餅を背負わせる真似をして、
選び取りもそっと並べてみる。
はじめはママから離れられずにいた小さな手が、自分で選び取ったその姿に、その場にいたみんなが驚いて笑った。
小さな仕草ひとつひとつに、みんなの自然と笑顔がこぼれていき、
やさしい笑顔で満ちていった。
食卓を囲みながらいただいたお祝いの料理とケーキ。
湯気の立つ器や、取り分ける手のぬくもり、 交わされる言葉のひとつひとつが、 あたたかく心を満たしてくれる。
子どもたちがまだ小さかった頃、
粉だらけになりながら、一緒に過ごした台所。
何度も何度も焼いてきた、季節ごとのケーキ。
その時間が途切れることなく、
形を変えて、今ここへつながっている。
こうして両家が集まり、同じ時間を囲めること。
それは決して当たり前ではなく、
だからこそ、そっと両手で抱きしめたくなる、かけがえのないひととき。
孫たちは、ただそこにいるだけで、
人と人のあいだにやわらかな橋をかけてくれる。
新しいご縁が、静かにしっかりと結ばれていくのを感じる。
あの日から一年。
台所で過ごす時間も、
外で過ごす時間も、
少しずつ移ろいながら、やさしく続いている。
重ねてきた日々は、消えることなく、
静かに、次の季節へと手渡されていく。
今年もまた、ケーキを焼こうと思う。
この先も、こうして小さな祈りを重ねていきたい。
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