「変わる人と、変わらない人の違い」後編
前編では、
変わる人と変わらない人の違いは、
特別な能力ではなく、
小さな変化に気づけるかどうか、
その“感じ方”の違いにある、というお話をしました。
ここでは、
その変化がどのように積み重なっていくのか、
もう少し静かに見ていきます。
変化というものは、
一度で大きく起きるものではなく、
とても小さな動きの積み重ねです。
たとえば、
部屋の温度が少しずつ変わっていくとき。
急に変わるわけではないので、
その場にいると気づきにくい。
でも、
しばらくしてから外に出ると、
「あ、思っていたより暖かかったんだ」と気づくことがあります。
身体の変化も、それに似ています。
その場にいるとわかりにくいけれど、
少しずつ確かに変わっている。
そして、
その変化に気づける人は、
その流れに自然と乗っていきます。
たとえば、
ほんの少し呼吸が深くなったとき。
「さっきより楽かもしれない」
その感覚を受け取ることで、
身体はその状態を保とうとします。
すると、
さらに少しだけ深くなる。
その繰り返しが、
自然と変化を広げていきます。
逆に、
その変化に気づかないままでいると、
身体は元の状態に戻ろうとします。
どちらが正しいというわけではなく、
ただ、
気づいた変化は続きやすく、
気づかない変化は流れやすい。
それだけの違いです。
たとえば、
ゆっくりお風呂に入っているとき。
最初はただ温かいと感じているだけでも、
しばらくすると、
身体の奥までゆるんでいく感覚が出てくることがあります。
その変化に気づけると、
自然とその感覚を味わおうとする。
すると、
さらにゆるみやすくなる。
でも、
何も意識せずに過ごしていると、
その変化はすぐに通り過ぎてしまうこともあります。
それもまた自然なことです。
ただ、
その積み重ねによって、
感じ方に少しずつ違いが生まれていきます。
そしてもうひとつ、
変化に関わっているのが「安心」という感覚です。
身体は、
安心できるときにだけ、
変化を受け入れます。
たとえば、
初めての場所では、
どこかで様子を見ながら、
少しだけ力を保っている状態になります。
その中では、
大きくゆるむことは難しい。
でも、
時間が経ってその場所に慣れてくると、
少しずつ身体の反応が変わっていきます。
呼吸が深くなったり、
姿勢がやわらいだり。
それは、
「安心しても大丈夫」と感じたからこそ起きる変化です。
逆に、
安心できていない状態で無理に変えようとすると、
身体はかえって閉じてしまうことがあります。
たとえば、
無理にリラックスしようとすると、
どこかに力が入ってしまうような感覚。
それは、
身体がまだその状態を受け入れる準備ができていないサインです。
だからこそ、
変わるために必要なのは、
頑張ることではなく、
安心できる状態にいること。
たとえば、
誰かと一緒にいて、
無理に話さなくてもいいと感じられるとき。
沈黙があっても気まずくなく、
そのままでいられる時間。
その中では、
自然と身体の力が抜けていきます。
それは、
何かをした結果ではなく、
その状態にいることで起きている変化です。
また、
やさしく触れられることも、
安心を感じるきっかけになります。
強く変えようとするのではなく、
ただそこに触れられていることで、
身体は少しずつ警戒をゆるめていきます。
最初は何も感じなかったとしても、
「あ、少し変わったかもしれない」
そんな小さな変化があとから現れることがあります。
それは、
身体がその環境を受け入れ始めたサインかもしれません。
変わる人と変わらない人の違いは、
大きな行動の差ではなく、
こうした小さな変化に気づき、
それをそのまま受け取れるかどうか。
そして、
その変化を受け取れる状態にいるかどうか。
その積み重ねが、
少しずつ身体の感じ方を変えていきます。
だから、
いま変化を感じられなくても、
焦る必要はありません。
ただ、
ほんの少しの違いに気づいてみること。
それだけで、
身体はちゃんと応えてくれます。
そして、
その感覚は、
環境によってもやさしく変わっていきます。
