「身体が反応しないのは、おかしいこと?」後編
前編では、
「反応しない」という感覚も、
身体にとって自然な状態のひとつであることをお伝えしました。
ここでは、
その状態がどのように変わっていくのかを、
もう少し静かに見ていきます。
身体は、
無理に開こうとすると、
かえって閉じてしまうことがあります。
たとえば、
「リラックスしなきゃ」と思えば思うほど、
どこかに力が入ってしまうような感覚。
深く呼吸しようとしても、
逆に浅くなってしまうことがあります。
それと同じように、
「感じたい」と思うほど、
身体は少し構えてしまうことがあります。
これは、
うまくできていないからではなく、
とても自然な反応です。
身体は、
安心できるときにだけ、
少しずつひらいていきます。
だから、
大切なのは
「感じようとすること」ではなく、
「安心できる状態にいること」です。
たとえば、
静かな空間にいるとき。
誰にも急かされず、
何も求められていない時間。
その中にいると、
最初は何も感じなくても、
少しずつ呼吸が変わってくることがあります。
ほんの少しだけ、
息が深くなる。
ほんの少しだけ、
身体の力が抜ける。
その変化は、とても小さいものです。
でも、
その小さな変化が、
身体にとっては大きな意味を持っています。
たとえば、
お風呂に入っているとき。
最初はただ温かいと感じるだけでも、
しばらくすると、
じんわりと身体がゆるんでいく感覚が出てくることがあります。
最初から強く感じるわけではなく、
時間とともに変わっていく。
それと同じように、
身体の反応も、
ゆっくりと戻っていくことがあります。
また、
やさしく触れられることも、
そのきっかけのひとつになります。
強い刺激ではなく、
ただ安心できる形で触れられることで、
身体は少しずつ警戒をゆるめていきます。
最初は何も感じなくても、
「あ、少しだけ力が抜けたかもしれない」
そんな変化が起きることがあります。
それは、
何か特別なことが起きているわけではなく、
身体が「大丈夫かもしれない」と感じたサインです。
そしてそのサインは、
少しずつ積み重なっていきます。
一度で大きく変わるものではなく、
何度かの小さな変化の中で、
ゆっくりと。
ここで大切なのは、
変化の大きさではなく、
“感じ方”です。
たとえば、
「前より少しだけ違うかもしれない」
そのくらいの変化で十分です。
むしろ、
その小さな変化に気づけることが、
身体にとってはとても大切なことです。
そして、
そうした変化は、
環境によっても大きく左右されます。
どんな空間にいるか。
どんな関わりの中にいるか。
どれくらい安心できているか。
それによって、
身体のひらき方は変わっていきます。
逆に言えば、
どんなに変えようとしても、
安心できない環境の中では難しいこともあります。
だからこそ、
何かを頑張るよりも、
「どこに身を置くか」が
とても大切になります。
安心できる空間の中で、
身体は少しずつ
本来の感覚を思い出していきます。
それは、
新しく何かを得るというよりも、
もともとあったものが
戻ってくるような感覚です。
閉じていたものが、
ゆっくりとひらいていく。
その流れは、
とても自然で、無理のないものです。
だから、
いま反応が少ないと感じていても、
それは止まっているわけではなく、
その状態にあるだけ。
そして、
その状態は、
少しずつ変わっていくことがあります。
焦らなくていいし、
比べる必要もありません。
ただ、
安心できる時間や空間の中で、
ほんの少しの変化に
気づいていくこと。
それだけで、
身体はちゃんと応えてくれます。
そして、
そうした感覚は、
環境によってもやさしく変わっていきます。
