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間接法C/Sの壁|キャッシュと利益のズレを体で覚えた日|MBA アカウンティング基礎 Day2

この記事では、ビジネススクールで学んだアカウンティング基礎のクラスを振り返っています。

「儲かっているのに現金がない」。Day1で学んだ利益と現金のズレを、Day2ではキャッシュフロー計算書(CFS)で正面から掘り下げた。間接法でCFSを自力で作る演習は、正直かなり手強い。だが、この「逆算の思考」を体に叩き込んだことで、黒字倒産のメカニズムが初めて腹落ちした。


MBA アカウンティング基礎 全Day索引
Day1:P/Lの構造とボックス図
Day2:B/S・キャッシュフロー計算書 ← 今ここ
Day3:財務指標分析
Day4:管理会計と損益分岐点分析
Day5:予測財務諸表の作成
Day6:総合ケース演習


このDayで学んだこと

Day2は大きく3つのテーマを扱った。

  1. B/S(貸借対照表)の構造と分析

  2. CFS(キャッシュフロー計算書)の構造と間接法による作成

  3. 会計処理方法の選択が数字に与える影響

Day1で「利益と現金は別物」と学んだが、Day2ではそのズレの正体を具体的に解き明かす。

B/Sの読み方:2つの問いに答える

B/Sを見るときの関心は、突き詰めれば2つだ。

問い1:効率的にお金を増やしているか?
資金をどう集めて(右側:負債と純資産)、どう使っているか(左側:資産)。資産構成を見れば、その企業が何にお金を使っているかがわかる。

問い2:支払い能力は大丈夫か?
流動比率、当座比率、自己資本比率。短期の支払い能力と長期の財務安定性を確認する。

Day1からの学びを引き継いで面白かったのは、B/Sの負債比率の読み解き方だ。負債比率が高い企業は一見リスクが高そうに見える。だが、インフラ企業のように「銀行が貸したい事業」(日銭商売、固定資産が担保になる)では、負債比率が高いのは合理的な資本構成だ。借入ができること自体が信用力の証明になる。

間接法CFS:「逆算」の発想が最初の壁

Day2で最も苦戦したのが、間接法によるCFS作成の演習だった。

直接法は素直だ。現金の入りと出を直接集計する。一方、間接法は「当期純利益からスタートして、非現金項目や運転資本の変動を調整して、営業CFを算出する」。

なぜ逆算なのか。P/Lの利益は発生主義で計算されているため、現金の動きとはズレている。そのズレを一つずつ修正して、最終的に「実際に手元に入った現金」を明らかにするのが間接法だ。

たとえば減価償却費。P/L上は費用として計上されるが、実際には現金は出ていかない(支払いは設備購入時に済んでいる)。だから営業CFの計算では、当期純利益に減価償却費を「足し戻す」。

売掛金が増えた場合。売上は計上されているが現金はまだ回収されていない。だから営業CFからは「差し引く」。

この「足す・引く」の判断が直感と反対になることがあり、最初は混乱した。だが「利益と現金のギャップを埋めているのだ」という本質を理解すれば、一つずつ論理的に判断できるようになる。

運転資本と黒字倒産のメカニズム

Day2で最も実務に効く学びは「運転資本(ワーキングキャピタル)」の概念だった。

運転資本 = 売掛金 + 棚卸資産 − 買掛金

売上が成長すると、売掛金と在庫が増える。仕入れも増える。ところが、代金回収よりも先に仕入れの支払いが来ることが多い。つまり、売上が伸びれば伸びるほど、運転資本が膨らみ、手元資金が不足する。

利益は出ているのに現金が足りない。これが黒字倒産の構造だ。

演習で、売上が月次で増加していくシナリオの資金繰りを計算した。毎月利益は出ているのに、運転資本の増加で現金がどんどん減っていく様子を数字で追うと、「成長はタダではない」という当たり前の事実が、鮮烈にわかる。

会計処理方法の選択:同じ実態でも数字が変わる

もう一つの重要な学びが、会計処理方法の選択によって利益や資産の数字が変わるということだ。

減価償却なら定額法と定率法。棚卸資産評価なら先入先出法と総平均法。どの方法を選ぶかで、同じ事業の同じ期間でも利益額が異なる。

これは「財務諸表は客観的な事実をそのまま映す鏡ではない」ということを意味する。読み手は、どの会計方針が採用されているかを確認した上で、数字を解釈する必要がある。

IT実務への転用:プロジェクトの資金繰り

IT業界でも運転資本の問題は身近だ。大型プロジェクトを受注すると、人員増加やインフラ投資が先行し、売上計上(検収ベース)は後になる。私の経験では、プロジェクトの前半でキャッシュが流出し、後半で回収するパターンが多い。

この「タイミングのズレ」を意識しないと、利益が出る見込みのプロジェクトでも資金繰りが苦しくなる。特に複数の大型プロジェクトが同時進行すると、運転資本の膨張が急激になる。

Day2で学んだCFSの読み方と運転資本の概念は、プロジェクト単位の資金管理に直接役立つ。

学びのメモ:B/SとCFSの要点

B/S分析の5つの視点
1. 資産の構成(何にお金を使っているか)
2. 売上増減と各資産の増減の関係
3. 手元現金の十分性
4. 負債と純資産のバランス
5. 短期と長期のバランス

CFSの3区分
- 営業CF(CFO):本業からの現金の出入り
- 投資CF(CFI):設備投資や資産売却による現金の出入り
- 財務CF(CFF):借入・返済・増資・配当による現金の出入り
- フリーキャッシュフロー(FCF)= 営業CF + 投資CF

間接法のポイント
- 当期純利益からスタート
- 非現金項目を足し戻す(減価償却費、引当金増加など)
- 運転資本の増減を調整(売掛金増→マイナス、買掛金増→プラス)

このテーマでクラス発言するなら

CFSの演習では「なぜその調整をするのか」の理由を説明できると評価される。

たとえば「減価償却費を足し戻すのは、P/L上の費用だが現金流出を伴わないから」と理由を言える人は多い。さらに踏み込んで、「売掛金の増加は営業CFのマイナス要因。売上が伸びている企業ほど、利益と営業CFのギャップが大きくなる傾向がある」と指摘できると、P/LとCFSの関係性を理解していることが伝わる。

M&A・連結のテーマでは、「のれんとは何か」を自分の言葉で説明できると強い。「買収価格が純資産を上回った部分であり、ブランド価値や技術力など帳簿に現れない価値への対価」という説明ができれば十分だ。

振り返りで使える論点

  • 自社や顧客のCFSを読んだことがあるか。営業CF・投資CF・財務CFのパターンから何が読み取れたか

  • 「黒字倒産」の構造を理解した上で、自社の運転資本管理は十分だと思うか

  • 会計処理方法の違い(定額法 vs 定率法など)が、自分の業務での数字の見え方にどう影響しているか

参考書籍


財務三表のつながりを1枚で理解する解説は、ブログ記事にまとめています。
財務三表のつながりを一枚で理解する ── P/LB/SCFSの関係整理


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