ただ、音楽をもっと聞きたかっただけなのに。。
これは、私の夫と、その年上の友人男性の話である。
私の夫は、身長180cm近く、五分刈でクマのような見た目をしている。
高校のころは部活で武道をしていたので、それなりの覇気も出そうと思えば出せるが、中身は繊細で家族に優しいひとである。
そして、夫の友人は、中肉中背の坊主頭で、眉がぐっと太い、高倉健のような昭和男子顔だが、中身は非常に深く広いオタクの方である。
そんな2人があるとき、一緒の車に乗ってイベントへ出かけた。
すると、二車線の道で、後ろから徐々に、「ズン、ズン、ズン」と、深く強い低音のリズムが近づいてきた。
どうやら、車線を移動して前の車を追い越しながら、大音量で音楽をかけている車が近づいてきているらしい。
近づくにつれ、まるでディスコのように、その車から激しいラップと「ドゥンドゥドゥドゥ!ドゥンドゥン!」と重低音のベースが鳴り響いてきた。
そして、ついにその車が、爆音を保ったまま、とある交差点の信号で夫と友人の乗った車に並んだ。
横に並ばれるまで夫と友人は、
近づいてくる音楽を聞きながら
「これは何の曲だろう?」と話していたらしい。
爆音の車は、わざと聞かせるつもりもあったのだろう、並んだときには運転席の窓が全開だっので、髪を染め、音楽へイケイケに乗っている若者2人がよく見えた。
これ幸い、とばかりに夫は、
自分の車の窓を開け、もっと音楽をよく聞こうとした。
夫が窓を開けたとたん、運転席でノリノリになっている若者と目があった。
若者の目にうつったのは、
不動明王のごとき顔相と、高倉健のような目つきでこちらを見ている、ボウズのおっさんふたり。。
大音量だったドラムンベースが「ドゥン!ドゥンドゥンドゥン…」とあっという間に小さくなり、窓がサーッと閉められると、
青信号になるやいなや、ブオォオォーッ!!とものすごいエンジン音を立てて、車は走り去っていった。
「なんだよー!!もっと曲きかせろよー!!」と夫は怒鳴ったらしいが、もはやその声が届くことはなかった。
…なんのはなしですか。。。

テーマはコニシ木ノ子さんの記事からいただきました。大好きです🤍
