ハプスブルク家の華麗なる受難、を読んだ話(゜∀゜)
中世ヨーロッパ関連の記事を漁っておりましたら、こちらの記事に遭遇。
中世ヨーロッパにちなんだ漫画作品をいくつか紹介しているもので、私はその中の「ハプスブルク家の華麗なる受難」という漫画に興味を引かれました。
ハプスブルク家というのは、私が研究しているボヘミアのフス戦争とちょびっとだけ関わるからです。
で、単行本を買いました。

ででん。
第一印象。表紙の画風は好きです。
が、読む前にいろいろと考えることがあってなかなかページを開くことができませんでした。
いろいろと何を考えたかというと、
「面白かったらどうしよう」
ということです。
私は、面白い作品は続きが気になるため、ある程度の巻数が出揃ってからまとめ買いをして一気に読みたい派なのです。
今作の「華麗なる受難」は一巻が発売されたばかり(2025年12月)なので、もし面白かったら、続きが刊行されるまで首をかきむしって待つしかないのです。
岩明均(いわあき ひとし)という漫画家さんの「ヒストリエ」という作品もとても好きなのですが、続刊の発売までのスパンがえらく長くて、待っている間に同じ巻を2冊買ってしまうといったことも発生しております。(待つのが苦しくて、以降の続刊は読むのを断念しております)
そんなこともあるため、この「華麗なる受難」が面白かった場合、続きを待つ苦しみが長くなるのは嫌だなー、と思うわけです。
読まずに、続刊が揃うまでキープしとこうかと思ったくらいです。
扱うテーマや題名で、すでに面白いであろうことは予測できます。
その面白さの種類が「ヒストリエ」の部類なのか、はたまた「ギャグ漫画日和」の部類のものなのか、どっちだろうか。
前者の場合だったら嫌だなぁ、続きが気になるのは嫌だなぁ、と躊躇すること数時間。
つべこべ言わずに読んでみました。
ギャグ漫画日和の方でした。
すっごいテンポ良く、そしてコミカルに、ハプスブルク家の代々の当主たちの人生が描かれておりまして、一話ごとに「面白かった!満足!」と言えるような構成になっています。
いやー、安心しました(゜∀゜)
漫画の内容も、史実ではもっとドロドロしているであろう権力闘争を、とても爽やかに描いてあって素晴らしい。
子分がピンチになり、ボスに救援を頼むために信号弾を発射したとき、「ボス助けて」が「ボスケテ」となるぐらいの間の抜け方をしていて、とても良いです。
ペリーが真っ白な船で日本に来航して、途中で「黒船じゃねー!」と気づいてあわてて黒のペンキで船体を塗るのと同じ匂いを感じました。
私はこういうの大好きです。
(同じような理由で、映画「きさらぎ駅」も好きです。あれは「浦安鉄筋家族」に通じるものがあります)
続刊が待ち遠しいのは嫌だ、と思うのと同時に、私は他のことも懸念していました。
それは、「ハプスブルク家の人物のドキュメンタリーだったらどうしよう」というものです。
つまりそれは、私がやろうとしている「フス戦争の人物のドキュメンタリー」と被るわけです。
それは困る。
私が研究成果を発表する前にそういうのが世に出てしまっては、私の作品の影が薄れてしまいます。
なので、中世ヨーロッパや神聖ローマ帝国というくくりで被っているだけでも、内心ヒヤヒヤしていたのです。
なかなかページをめくれなかったのは、それも大きな理由でした。
似たような理由で、ボヘミア王国のフス戦争をモチーフにした漫画「乙女戦争」は、読むのを途中でやめております。
被りどころの話ではなく、まんま同じテーマを題材にしている作品ですからね。
しかし、ゆえに、嫉妬に似た気持ちがメラメラと沸いて来るんです。
「くっそー!この情報量、半端じゃない!どこで調べたんだ!」
「くっそー!なんでここの史実を端折るんだ!商業誌ゆえに断念したのだろうなぁ!」
「くっそー!なんでもっと有名にならないんだ!フス戦争だぞ?面白いんだぞ?」
「くっそー!フス戦争は日本人にはウケないのか!」
などなど、応援なんだか嫉妬なんだか分からない気持ちでゴチャゴチャになってしまうため、この
「乙女戦争」は12巻のうち6巻まで読み、あとは目に入らないように封印しました。
というか、全巻見てしまうと、「それに影響された自分になってしまう」のが怖いんだと思います。
「ハプスブルク家の華麗なる受難」をある程度安心して読めたのは、フス戦争の描写はほとんど無いであろうと分かっていたからです。
案の定、フス戦争については「名前だけ」ちょびっとだけ触れてありました。
さて、ギャグテイストが多めの今作ですが、それだけに終わらないのが素晴らしいところです。
しっかりとした歴史情報の裏打ちがしてあり、コマの欄外には簡潔な豆知識が散りばめられてあったり、合間のオマケ漫画などで情報が捕捉されたりもして、それらが知識欲を充分に満たしてくれるものとなっているのです。
フス戦争だけに特化した私の知識ではイマイチ理解しきれなかった「神聖ローマ帝国のざっくりとした全体像」というものを、この作品を読むことによってスムーズに理解することができました。
「なるほど、ローマ王とローマ皇帝の違いとはこうだったのか!」
というのを、今作では見事に分かりやすく描いております。
【総評】
原作・作画・監修の三者の見事な連携にて、難解な中世ヨーロッパの歴史をめちゃくちゃ分かりやすく、面白い作品に仕上げましたな。あっぱれでございます(゜∀゜)
