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Cuore di bueが教えてくれる命の味わい

前回に引き続き
クォーレ ディ ブーエ(牛の心臓)という名の
トマトの美味しさについて、深堀りしていこう。

このトマトの最大の魅力は
その無骨な見た目からは
想像もつかないほどの繊細な味わいにある。

果肉は厚くなめらかで
種やゼリー状の部分が極端に少ない。

包丁を入れると、水分が滴り落ちることなく
ビロードのような美しい断面が現れる。

ナポリ近郊のサレルノ周辺で古くから育まれ
加熱することで真価を発揮する
細長い円筒形のサンマルツァーノとは
まさに対極の存在だ。

サンマルツァーノが
ソースや煮込み料理の土台として火の洗礼を受け
力強いコクを生み出すのに対し

Cuore di bueは生のまま
その命を味わうためのトマトである。

厚くスライスし
ひとつまみの海塩と
極上のエキストラバージンオリーブオイルを回しかけるだけで
完璧な一皿が完成する。

私がこのトマトを初めて食べた時
あまりの衝撃の美味しさに
叫びそうになった。

これは、肉か?

なんと、肉々しい食感なのだろう!

果肉は柔らかく
オリーブオイルと塩と絡んで
ネットリと舌にまとわりつく食感は
どんなトマトよりも存在感があった。

これだから、私の友人は
「ランチはトマトを食べたわ!」
と、満足気に言ってのけたのだ。

まさに、トマト一品で
大満足の一皿である。

大きく不規則で
時にいびつなその形は
まるで私たち人間の人生そのものだ。

規格化された完璧な球体でなくてもいい。
傷があっても、形が歪んでいても
その内側には豊かで
ジューシーな命がぎっしりと詰まっている。

地中海の人々がこの不格好なトマトを愛し
大切に育て続けてきた理由は
単に味が良いからだけではない。

そこには、自然の恵みを
ありのままに受け入れ
命の力強さを讃える文化が根付いているからだ。

南米から海を渡り
地中海の太陽と人々の手によって
洗練されてきたCuore di bueの歴史は

異なる文化が交わり
より豊かなものを生み出していく
人間の強さを教えてくれる。

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