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mirecat
ナンパ細胞【毎週ショートショート】
「目が覚めたか。」
親友の航大が心配そうに覗き込んでいる。
事故に遭い、2週間ほど生死を彷徨ったらしい。
ほどなく俺は退院した。
「おかえり!」
婚約者の千代が出迎える。
彼女を抱きしめた瞬間、心も体も癒された。
異変に気付いたのは数日後。
街ゆく女性を見かけては必死に目で追ってしまう。声をかけたり、肌に触れてしまったこともあった。
千代が浮気を疑い、一方的に別れを告げられた。
やがて千代と航大が交際を始め、結婚。
失意のなか、自分の症状に関する手がかりを探るべく病院へ向かった。
関係者の目を盗み自分のカルテをなんとか押収。そこには驚愕の事実が記されていた。
「主治医:依田航大 処置:ナンパ細胞投与」
ナンパ細胞は恋愛ホルモン促進剤。理性を完全に失う危険があるため未だ使用を禁止されている。
航大が禁忌を犯した理由。
それは、俺を狂わせ、千代との関係を壊すことだったのだ。結婚写真に収められた航大の勝ち誇ったような笑みが、すべてを物語っていた。
(410字)
こちらの企画に参加させていただきました。
