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短編集『牛丼金髪デッキ』 #せりふ三題噺

某牛丼チェーンのコピペ

親子連れ。隣の席の金髪の奴。
呆れる。特盛とか、つゆだくとか。値引きキャンペーンに釣られて、普段気にしない場所に来やがって。
ここは、もっと殺伐としていないといけないんだよ。

牛丼。大盛。ねぎだくギョク。つまり、「ねぎ多めで」。これ一強。
注文デッキに構築された、最強の組み合わせ。
ただ、ド素人にはお勧めできない。店員にマークされるからな。お前らは大人しく、牛鮭定食を食っとけ。

吉野家コピペとは (ヨシノヤコピペとは) [単語記事] - ニコニコ大百科


サラ金

サラリーマン金融。サラ金。
返済ローンを組み、カードデッキのように積まれた札束を受け取る。

ローンに追われ、自炊がまともにできない俺は牛丼チェーンに入り、カウンター席でお冷をもらう。
「牛丼並盛。ねぎ多め」
トッピングが付くだけで+100円以上取られるのに、たまねぎを増すのは±0円。ありがたい限りだ。

ご飯を盛って、煮込まれていた牛丼の具を乗せるだけ。『安い・早い・うまい』を体現している提供方法は、いつ来ても関心してしまう。もうトレイを持って来ている。ここにいる時だけは、美味しい瞬間を楽しみたい。

「お待たせしました。牛丼の並盛、ねぎ多めです」
お待ちしておりました。そこまで待ってないけど、待望です。トレイを受け取って、店員の目を見る。お。この店員さん、綺麗な金髪だな。艶があって、とてもサラサラで…。

サラサラの金髪。サラ金。
うわぁ、思い出しちゃったじゃないか。

常備されているスプーンで牛丼をかき込み、いつもの味で上書きした。けど、楽しむ余裕がなくなった。
退店後、利息を余分に払った気がする。


ねぎ塩牛丼

今日の俺はウキウキだった。待望のねぎ塩牛丼が復活したのだ。
焼き肉のねぎ塩カルビよりも安いのに、量があって満足感がある。それに、タレがおいしすぎて、終売するまで1日1回以上通ってしまった。

そんなにウキウキでも、ハンドル捌きがいつもより丁寧で、安全運転が出来ているのは、生き続ける理由が出来ているからかもしれない。バック駐車も1回で決められた。
外に立てられた幟が、俺の入店を祝福しているように見える。

店内へ入店。期間限定のねぎ塩牛丼を食すため注文。前回の終売後に知ったのだが「ねぎ多めで」と付け加えると多く盛ってもらえるらしく、ウキウキで到着を待っていた。
3分後、トレイが運ばれ、着丼した丼ぶりの中身を覗く。気づく違和感。

牛丼の上に乗せられた、ピカピカしているもの。牛肉が見えず、金属らしき何かが占領している。もしテラス席かデッキがあれば、外が快晴だから映えていただろう。ただ、衛生的に大丈夫なのだろうか。

「あの、これは?」
「金髪ねぎです」
「白髪ねぎは?」
「染めました」

「あの、染めたってなにで?」
「卵の卵黄で絡めてあります」
「それにしては、金ピカ過ぎませんか?」
店員がくふっと笑う。
「ごゆっくりどうぞ」
「あ、ちょっと」

足早に持ち場に帰ってしまった。白髪ねぎを金髪に染めるなんて前代未聞過ぎる。最後の受け答えに不安が残るし、絶対に絡めたのは卵黄だけじゃない。これは、バイトテロというやつだろうか。言葉遊びの思い付きで混ぜてみちゃった。という感じの。

ならば、本当にテロなのか確かめないといけない。実食だ。
箸でつまむのは、金ピカのねぎのみ。卵黄だけならテラテラしている気がするが、角度を変えてもピカピカなままだ。不安感が募る。

恐る恐る口に運んで、良く味わってみる。…ん?!うまい!?
ねぎの辛みと塩だれのしょっぱさを、卵黄がまろやかにしている。それだけじゃない。スーパーで買うたまごよりコクを感じるような。

次は、牛丼と一緒に食べる。…美味。これが完璧な黄金比!
前回味わったねぎ塩牛丼はそのままに、卵黄の混ざり合いがとても美味!俺は、呼び出しベルを鳴らす。

「はい、お伺いいたします」
「これ、本当に卵黄だけですよね」
「そうです」
「とても美味しく感じたんですが、何のたまごを使っているんですか?」
「実は、変わったことをしていなくて、今回から卵黄を真ん中に乗せるんですけど、間違えて割ってしまい、そのままねぎに絡めてタレを混ぜたら金ピカに輝きだして」
原理が良く分からないが、棚から牡丹餅的なことが起こったのか。

「それなら最初から言ってくれればよかったのに」
「申し訳ございません。卵黄を割るのが楽しみなお客様もいますし、拒否されたら最悪廃棄になってしまうので」
「そうでしたか。それなら大丈夫です。ちなみに、金髪ねぎにする方法を知っているのはあなただけですか?」
「今入っている店員全員が知っています」
「これ、調理方法提案したら全国で売れるんじゃない?」
「んー、一旦は指示通りに提供します」
「まぁ、それもそうだね」

今日は思わぬ収穫があった。金ピカに輝く牛丼なんて、注目の的じゃないか。それに、普通のねぎ塩牛丼の味もグレードアップしている。ここで枯らしてしまうのは勿体ない。俺は1本、電話をかけた。

「もしもし。ねぎ塩牛丼の調査行ってきました。それでですね…」


参加させていただきました。

1本目は、コピペが頭から離れず。
お遊びで書きました。

2本目は、サラサラの金髪…サラ金から。
トッピングって高いのに、つい頼みたくなっちゃうんですよね。

3本目は、デッキを場所にして、金髪が入った牛丼を作りたくなりまして。
そのままいれちゃうとクレームなので、まろやかに仕立て上げました。
乗せるねぎ⇒白髪ねぎってあるな⇒金髪に染まったねぎ
ホラー寄りでもよかったかもしれませんね。ふふふ。

ちなみに、髪の毛は全部白髪になってもいいなと思っています。

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