【必須AI用語】「活用」と「探索」を決める『アスクプロンプト』
みなさん、こんにちは。
AIの最初のプロンプトがなぜ重要か、論理的に説明できるでしょうか?
もし、気になる方は、ぜひ、当記事の方をご覧ください。
今回は、そうした基本的なことや「探索」「活用」と言った基本的なAI用語を交えながら、有用なプロンプトも紹介していきます。

【関連動画】
⏰タイムライン
00:00 生成AIとの最初の会話の重要性 01:05 最初のプロンプトが持つアテンションの強さ 02:11 活用と探索の使い分け基準 03:16 アスクプロンプトの基本概念 04:22 プロンプトの本質は質問であるという原則 05:27 活用と探索のトレードオフ関係 06:32 ハルシネーションとAIの報酬系メカニズム 07:39 活用と探索を調整する具体的方法 08:45 探索モードの複雑なメカニズム解説 09:49 複数スレッドによる効率的な使い分け 10:55 3段階ライティング手法の提案 11:59 GPS軸によるAIアライメント問題の解決策 13:05 「厳密に」による活用モードの実験 14:09 中道概念の厳密な説明例 15:15 説明のみと厳密な説明の比較 16:19 検索時における活用モードの適用 17:24 厳密性とAIの出力量の関係 18:28 「説明して」と「考えて」による出力比較 19:34 探索モードの抽象的・広い視野 20:38 活用モードの具体性と馴染みやすさ 21:41 自然なバランスの重要性 22:45 最初のプロンプトからの適切な導き方
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生成AIとの最初の会話が重要な理由

生成AIとの対話において、最初の一歩がその後の展開を大きく左右することをご存知でしょうか?
これには明確な理由があります。
AIのアテンション機構は、前の文脈を参照しながら次の文章を生成していきますが、最初のプロンプトを入力する段階では、参照すべき
「前の文脈」
が存在しません。そのため、初回のプロンプトには特に強い「アテンション」がかかり、これが会話全体の方向性を決定づける重要な要素となるのです。更に、その「最初の会話」は「次の文脈」に引き継がれます。そして、これは動画後半の出力例を見ていただくとわかりますが、後々まで影響するのです。

そして、ここでは主に二つの方向性を考えてください。それが「活用」と「探索」です。この二つの方向性を知らないと、AIの能力を最大限引き出すことは不可能でしょう。他にも様々なパラメータは存在しますが、初心者の方は、まずこの「二つの方向性」を意識してください。
「活用」と「探索」の2つの基本方向性

活用(Exploitation)とは何か
活用とは、AIが学習済みのデータの中から既存の情報を取り出して再構築するプロセスです。これは、モデルが持つ知識を最大限に利用して、高い確率で正確な情報を提供することを意味します。AIが「確実に知っていること」に基づいて回答を生成するため、情報の信頼性が重視される場面で特に有効です。
活用モードでは、AIは確率的に高い選択肢を優先して出力するため、一般的な知識や広く認められた事実に基づいた回答が得られやすくなります。これは学術的な質問への回答や、事実確認が必要な場面において理想的なアプローチとなります。
探索(Exploration)の本質
一方、探索とは、AIが未知なる情報空間を調査し、新しい可能性や組み合わせを見つけ出すプロセスです。これは単に低確率の選択をするということではなく、多様な可能性を検討し、創造的な解決策を導き出す複雑なメカニズムです。
探索モードでは、AIは学習したデータの潜在空間内をより広く移動し、異なる概念間の新しい関連性を発見します。このプロセスを通じて、従来の枠組みにとらわれない斬新なアイデアや視点が生まれることがあります。だからこそ、クリエイティブな文章作成や革新的なアイデア発掘に適しているのです。
活用と探索をどう使い分けるか
活用と探索は、目的に応じて適切に使い分けることが重要です。例えば、何かを学習したい場合、正確な情報を検索したい場合、科学的な根拠のある内容を知りたい場合、あるいはビジネス文書を作成したい場合は、活用モードが適しています。
反対に、新しいアイデアを生み出したい場合、創造的な小説を書きたい場合、革新的な製品やコンテンツを開発したい場合には、探索モードが効果的でしょう。
ただし、活用と探索はトレードオフの関係にあることを忘れてはいけません。活用に重点を置くと、情報の正確性は高まりますが、新しい発想が生まれにくくなります。一方、探索に重点を置くと、創造性は豊かになりますが、時に事実と異なる「ハルシネーション」が生じるリスクも高まります。

アスクプロンプト:質問による方向づけ
質問の基本的な考え方

初心者がAIを使い始める際、最もシンプルで効果的なアプローチは「質問する」ことです。プロンプトとはクエリ(問い合わせ)と言い換えることもできます。実際、単語だけを入力した場合でも、AIはそれを「これについて説明してください」という質問として解釈する傾向があります。
このように、質問はプロンプトの最も自然な形式であり、AIとの対話を始めるための基本となるのです。質問の形式や内容によって、AIの応答が活用寄りになるか探索寄りになるかが決まってくるため、この「アスクプロンプト」の概念を理解することは非常に重要です。
ちなみに、「ChatGPTは〇〇のプロです」と入れると、恐らく、ChatGPTのトレーニングデータが惹起されるため、活用モードになる可能性があります。その場合、活用的なタスクをするならよいのですが、創造的なタスクには不向きになってしまう可能性があります。
AIの「隠れ層」は実際、どうなっているかわかりませんので(AIのブラックボックス問題)、そうした意味でも、最初は確実に方向に決めるプロンプトを入れましょう。
もちろん、この探索・活用のモードは後からでも調整が効きます。また、最近のモデルは動的アテンションなどもうまく働くと思うので、そこまで気にする必要もないかもしれません。しかし、動画の例を見る限り、やはり最初のプロンプトは重要なので、ぜひ、ベストの初期プロンプト設定をしたいものです。

アスクプロンプトの実践方法

アスクプロンプトを実践する際、以下のようなパターンを覚えておくと便利です:
「〜を教えて」「〜を説明して」といったフレーズを使うと、AIは活用モードに傾きます。これにより、より事実に基づいた、確実性の高い回答が得られやすくなります。
「〜を考えて」といったフレーズを使うと、AIは探索モードに傾きます。これにより、より多様で創造的な回答が生成されやすくなります。
さらに、修飾語を追加することで、これらのモードをより強化することができます。例えば、「正確に」「厳密に」といった形容詞を加えると、活用モードがさらに強まります。一方、「創造的に」「独創的に」といった形容詞を加えると、探索モードがさらに強化されます。
これらの言葉遣いの微妙な違いが、AIの応答の方向性に大きな影響を与えるのです。

活用と探索の深層メカニズム
活用のメカニズム
活用モードでは、AIは確率分布の中から高確率のトークン(単語や文字)を選択する傾向が強まります。言い換えれば、学習データに基づいて「最も確からしい」次の単語を選ぶことで、既存の知識パターンに忠実な文章を生成します。
このプロセスは、既知の情報を正確に再現することに重点を置いているため、事実に基づいた回答や専門的な説明を求める場合に適しています。例えば、「仏教の空について厳密に説明して」というプロンプトでは、AIは仏教の教義に関する正確な情報を提供しようとします。
探索のメカニズム

探索は単に低確率のトークンを選ぶだけではなく、より複雑なメカニズムによって実現されています。現代の生成AIモデルには、複数のアテンションヘッドが存在し、それぞれが入力の異なる関連パターンを捉えます。これらのヘッドの相互作用によって、思いがけない連想や着想が生まれるのです。
また、探索モードでは、サンプリング戦略も重要な役割を果たします。ある程度確率の高いトークンの中から多様な選択を可能にすることで、単なるランダムさではなく、創造的でありながらも文脈に沿った文章が生成されます。
さらに、AIは学習データを高次元の潜在空間に埋め込んでいますが、探索モードではこの空間内をより広く移動することで、新しい組み合わせや類推を生み出すことができます。


実践的なテクニック
ハルシネーション対策

AIの「ハルシネーション」(事実と異なる情報の生成)は、特に探索モードが強く働いている場合に発生しやすくなります。これは、AIがトレーニングデータにない情報を質問された際に、なんとかして回答しようとするためです。
ハルシネーションを防ぐためには、活用モードを基本とすることが効果的です。また、「分からない場合は分からないと言って」という指示をカスタムインストラクションに加えておくことも有効でしょう。
特に自分が専門知識を持たない分野については、活用モードを心がけることが重要です。専門知識があれば間違った回答を見抜くことができますが、知識がない場合は誤った情報を真実として受け入れてしまう恐れがあります。

スレッド分けの活用

AIを効果的に活用するテクニックの一つに、目的別にスレッドを分ける方法があります。例えば、文章作成のプロジェクトを進める場合、以下のように分けることができます:
下調べや検索用のスレッドでは、活用モードを中心に使うことで、正確な情報を収集します。
アイデア出し用のスレッドでは、探索モードを活性化させることで、創造的な発想を促進します。
最終的な文章生成用のスレッドでは、活用と探索のバランスを適切に調整することで、事実に基づきながらも魅力的な文章を作成します。
こうした使い分けは「三段階ライティング」として書いたので、ご覧ください。
ただし、常にこのような厳密な分け方が必要というわけではありません。同一スレッド内でも、適切なプロンプトによってAIの方向性を調整することは可能です。状況に応じて使い分けることが大切です。
具体的な例

実際にどのようにプロンプトが違いを生むのか、具体例を見てみましょう。例えば、「仏教の空について厳密に説明して」というプロンプトでは、AIは仏教の教義に関する正確な情報を重視し、中論の引用やナーガールジュナの思想など、学術的に認められた内容を提供します。
一方、「超知能について創造的に考えて」というプロンプトでは、AIはより抽象的で視野の広い思考を展開し、人間との共存の可能性や潜在的な影響など、より探索的な内容を生成するでしょう。


AIアライメント問題との関連

活用と探索の概念は、現在議論されているAIアライメント問題とも関連しています。AIが「嘘をつく」あるいは「誤った情報を提供する」と言われる現象の背景には、ゴールに対する強い報酬が設定されていることがあります(目標関数)。AIはユーザーの質問に答えるために、
「目的を達成するために、手段を選ばず」
という状態になってしまうようです。そのため、時に事実と異なる情報を生成してしまうのです。
これは西洋文化の結果主義やゴール至上主義に起因するのではないかという見方もあります。このような問題に対処するためには、ゴールだけでなく、プロセスやスタートにも注目する「GPS軸」(Goal, Process, Start)によるバランスの取れたアプローチが必要かもしれません。

このGPS軸については、過去記事をご覧ください。
活用性と探索性の仮想的な調整

活用・探索は本来は温度設定で調整されるため、ここでは「活用性・探索性」と考えてください。プロンプトでの調整は仮想的なものと考えるので「探索性」「活用性」と考えます。温度パラメータは本来はシステムの方で設定しますが、プロンプトでもある程度、仮想的に設定されたかのような振る舞いを見せます。
活用と探索のバランスは、技術的にはAIシステムの「温度」(temperature)パラメータによって制御されるものです。温度が低いほど活用傾向が強まり、高いほど探索傾向が強まります。しかし、一般ユーザーはこのパラメータに直接アクセスできない場合が多いため、プロンプトによる「仮想的な調整」が重要になります。
プロンプトで「厳密に」や「創造的に」などの表現を使用することで、AIの回答傾向に影響を与えることができますが、これはシステムパラメータを変更しているわけではなく、AIの振る舞いを言語的に誘導しているに過ぎません。そのため、「活用性」「探索性」という言葉で考えると理解しやすいでしょう。この仮想的な調整は完璧ではありませんが、日常的なAI利用においては十分実用的なアプローチとなります。
まとめ

AIとの効果的なコミュニケーションの鍵は、「活用」と「探索」という2つの基本方向性を理解し、目的に応じて適切に使い分けることにあります。初心者の方は、まずシンプルな質問から始め、徐々に活用と探索の調整方法を学んでいくことをお勧めします。
特に最初のプロンプトは、全体の方向性を決定づける重要な要素です。「〜を教えて」「〜を説明して」といったフレーズで活用を促進し、「〜を考えて」といったフレーズで探索を促進することができます。さらに、「正確に」「厳密に」あるいは「創造的に」「独創的に」といった修飾語を加えることで、これらの傾向をより強化することも可能です。
最終的には、強すぎるプロンプトに頼らず、自然な形でAIを導き、活用と探索の適切なバランスを実現することが理想的です。AIの潜在能力を最大限に引き出すための第一歩として、この「アスクプロンプト」の概念を活用してみてください。
それでは、また!
【プロフィール】
ワンダー・佐藤源彦(さとう もとひこ)
MBBS & AI共創イノベーション主催。
医療系の研究所、心理学の研究所の勤務を経て独立し、AI・心身に関する研究をしている。
主著『東洋医学と潜在運動系』、2年間専門誌に連載、など執筆業を行いつつAI共創ライティングを開発中。
心理学・カウンセリング・コーチングをAIに技術転用し、AI共創学を開発している。
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