【映画】「花様年華」4K
ゴールデンウィークの初日は、歯医者と古典を読む会のあと、25周年特別版が上映中の「花様年華 4K」を鑑賞した。
王家衛(ウォン・カーウァイ)監督の作品はは昔から大好きで、変換前の香港に「恋する惑星」の聖地巡礼に行ったこともある。
あの時代スマホがあれば、写真がデータで残せているのに。
フィルムは実家にあったはずだが、実家も建て直してしまったのでもうどこにもない。
「花様年華」は、公開当時見て、2023年に「マギー・チャン レトロスペクティブ」で見て、今回が3回目。
内容は、こうだ。
愛は、もうはじまっている──1962年、香港。新聞社の編集者であるチャウと、商社で秘書として働くスー。二人は同じアパートに同じ日に引越してきて、隣人になる。家庭を持つ貞淑な男と女は戸惑いつつも、強く惹かれ合っていくのだった。
誰にも言えない秘密を包み込む紫煙、チャイナドレスの美しさ──マギー・チャンのフィルモグラフィを、そして21世紀を代表する永遠の愛の物語。
このあらすじは若干足りない部分がある。
最初は、双方の配偶者どうしが、いつの間にか関係をもってしまった(と思われる)ところから、その確認をするために2人で会うようになったところから始まるのだ。
と思われる、とあるように、決定的な事実は描かれない。
あくまで確度の高い状況証拠(カバン、ネクタイの同一性など)が積み上がっているだけだ。
そして主人公ふたりの関係も、恋なのか愛なのか、それともどれとも違うのか、マギー・チャンが次から次へと変える旗袍(チャイナドレス)や、場面場面で変わっていく音楽のように、つかみどころがない。
近いアングルでのカメラワークが多いこともあいまって、描かれているのは、客観的と言うより主観的なまなざしだが、2人の心中がわかるように描かれているのではない。
この不思議な距離感。
これが、王家衛監督の独特の世界だなと思う。
あらすじを知っていても、見た事があっても、そこにいる人物の表情やたたずまい、映像、美術、音楽で「花様年華」は楽しめる。
25周年なのにまったく古びないのは、王家衛監督はじめスタッフの皆様が、その世界を描くのに「これしかない」という完璧を極めているからかもしれない。
そして今回は、特別に、2001年のカンヌ国際映画祭のマスタークラスにて上映されたのみの伝説的短編「花様年華2001」が【花様年華25周年特別版】として同時上映されている。

「花様年華」が赤や赤っぽい画面のイメージが強いのに対して、こちらは青がベース。
ヒロインが来ている服も寒色系が多く、現代のクールな雰囲気がただよっている。
こちらの2人は、「花様年華」本編よりもちょっとずるく、ちょっと図々しくなっている。
もどかしいほどに本編の2人の距離が縮まりきらなかったのは、既婚者だからなのか1960年代という時代だったからなのか。
色味としては、本編が暖色ベースだが後味としてせつなさが残るのに対し、短編は寒色ベースだが後味はどこかほのかにあたたかいものだった。
