『それでも、生きてみる朝』
ふと目に入った名も知らぬ花。
それだけで、生きる意味に
少しだけ気づける朝がある。
『それでも、生きてみる朝』
眩しい朝日が世界を暖かく包む。
──まるで、優しく朝日が背中を押してくれているようだった。
通勤途中の憂鬱な朝。
好きでもない仕事に
誰に命令されたわけでもなく
義務感で重い足を運ぶ。
様々な事を脳内に巡らせながら、俯いて歩いていた。
(……今日は、ミスしないといいな。)
どうも“人並み“が私には難しくて
最初は、気にかけてくれた人たちも
諦めたかのように“社会の厳しさ“とやらで
私をあしらうようになった。
それがまるで
存在自体が間違いだと叩きつけてくるようで___
ふと、歩道の片隅で何かが光ったような気がした。
アスファルトに咲く、小さく控えめな黄色の花──。
その花は、まるで
“そこにいること“
だけで精一杯なのだと、
静かに語っているようだった。
俯いて歩いていなかったら、
きっと気づく事も無かった存在は
確かにそこで芽吹き、生きていた。
──私はその花の名前を知らない。
でも、確かにそこに“命“を持って
強く、儚く佇んでいて
それが何故か不思議でおかしくて──…
(そっか…。あなたも頑張って“生きてる“んだね)
不思議と笑みが溢れたような気がした。
“人並み“になれるか分からない。
上手くやれる自信もない。
諦められた私に向けられる言葉も
受け止め切れるかも分からない。
春の風にしては生暖かい風が背中を押す。
私は一歩、また一歩と歩き出した。
そう。私は生きてる。
──今日も生きてみる。
朝日や花、風…その全てに背中を押された朝だった。
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✧次回の灯火も、そっと心に寄り添えますように。
