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魅力分解|一穂ミチ|『ツミデミック』|小説の書き方

一穂ミチ『ツミデミック』は、決して派手な“大事件”の連続で読ませる短編集ではありません。

コロナ禍という、世界がじわじわと歪んでいった時間のなかで、人がふと犯してしまう小さな逸脱――自分に言い訳できそうな、けれど胸の奥がチクリとする行い。そんな「罪の萌芽」が増殖していく感触を、6つの物語に封じ込めています。

著者自身も、コロナ禍によって「これまでにはなかった種類の犯罪」や、人間の多面性が平時とは違う角度で露わになったことを書きたかった、と語っています。

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作品のあらすじ(ネタバレあり)

本作は、パンデミック以降の空気を鮮烈に切り取った全6編からなる短編集です。

たとえば冒頭の「違う羽の鳥」では、繁華街で客引きのバイトをする青年・優斗が、死んだはずの同級生の名を騙る女性と出会う。過去の記憶と、目の前の彼女が紡ぐ「いま」の言葉の狭間で、彼の輪郭は次第に揺らぎ始めます。

また「特別縁故者」では、職を失った男が、近所の偏屈な老人が抱える大金の存在を知る。「どうにかしてこの財産を手にできないか」という切実な欲望が、静かに、しかし確実に理性を侵食していく。

どの物語も、外出制限や失職、孤立といったコロナ禍特有の閉塞感を背景に、世間一般の“罪”とは呼べないほど些細に見える、しかし本人の人生を決定的に変えてしまう「選択」の瞬間を描き出します。

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