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テレビ全盛期物語【春】

第1章
「一家に一台」の革命


かつて、テレビは、
「魔法の箱」と呼ばれていました。

画面の向こうに広がるのは、
行ったことのない場所、
会ったことのない人、
そして見たこともない世界。

昭和30年代の日本に突如現れたその黒い箱は、まるで未来からやってきた贈り物のように、少しずつ、
でも確実に人々の暮らしの中に入り込んでいきました。

1953年、NHKが本放送を開始し、
続いて民間放送も動き出します。
東京タワーから発せられる電波を受け取るアンテナが、東京の屋根の上にぽつぽつと立ち始めた頃、テレビはまだとても珍しい存在でした。

「テレビがある家に親戚が集まる」
「近所の電器屋の前に人だかりができる」――そんな光景が、あちらこちらで見られた時代です。

この頃のテレビは、
いまのように気軽に買えるものではありませんでした。
白黒の画面で、サイズも小さく、映りもあまり鮮明とはいえません。

それでも、テレビは多くの人にとって夢のような存在でした。
そこに映し出される“東京のきらびやかさ”や“芸能人の笑顔”、そして“世界のニュース”が、憧れと驚きの象徴だったのです。

暮らしを変える存在となるテレビ

時代が進み、昭和30年代後半から40年代にかけて、日本は高度経済成長の波に乗り始めます。それと同時に、テレビも一気に家庭の中へと広がっていきました。

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