高齢者の1日の水分量|無理なく続ける目安と飲み方のコツ
「水分は大事なのはわかってる。でも、実際どのくらい飲めばいいの?」
そう思ったことはありませんか?
「多すぎても体に悪いと聞いたことがある」
「本人が嫌がるのに、無理に飲ませていいのかわからない」
「コップ何杯くらいが目安なのか、ずっと曖昧なまま」
水分補給の大切さはわかっていても、具体的な量や飲み方がわからないまま、なんとなく続けているという方は多いのではないでしょうか。
実は「どのくらい飲むか」より、「いつ・どうやって飲むか」を仕組み化することの方が、続けるうえではるかに重要です。
この記事では、信頼できる根拠をもとに高齢者の1日の水分量の目安を整理し、今日からすぐに使える「飲み方の仕組み」をわかりやすくお伝えします。
前回の記事「高齢者の脱水チェックリスト|自宅でできる簡単セルフチェック」で気になるサインが見つかった方にも、ぜひ参考にしていただける内容です。
※ 貴重なお時間いただき、ありがとうございます!
当記事は約3500文字になります。
目次も是非ご活用ください。
高齢者に必要な1日の水分量の目安|根拠のある数字を知っておこう
まず「どのくらい必要なのか」を正確に知ることが、水分管理の第一歩です。
1日に必要な水分量の合計目安:約2〜2.5リットル
これは飲み物だけでなく、食事から摂れる水分も含んだ総量です。環境省の「健康のため水を飲もう」推進運動によると、1日に体から排出される水分量は約2.5リットルとされており、食事・飲み物・体内で作られる水分でこれを補う必要があります。
飲み物として摂るべき量の目安:約1〜1.5リットル(コップ約7杯分)
1日の食事から約1リットルの水分が摂れるとすると、残りを飲み物で補う計算になります。
(体内で作られる水は1日0.3L程と言われていますが、ここでは省略させていただき、だいたいの目安量をお伝えしています。)
さらに体重から計算する方法もあります。
65歳以上の目安:体重(kg)× 25ml
例)体重50kgの場合:50 × 25 = 1,250ml(飲み物として)
(出典:明治「経腸栄養の基礎シリーズ」)
ただしこれらはあくまで目安です。持病・服薬状況・季節・活動量によって必要量は変わります。
心臓や腎臓に疾患がある場合は、水分を摂りすぎることでむくみや心臓への負担増加のリスクがあるため、必ずかかりつけ医に適切な量を確認してから水分管理をしてください。
まずは簡単脱水チェック👇

「1回150〜200ml×7回」が続けやすい黄金ルール
1日1〜1.5リットルを聞くと「そんなに飲めない」と感じる方もいます。でも安心してください。一度にたくさん飲む必要はまったくありません。
例えば、起床時・朝食時・朝昼の間・昼食時・昼夕の間・夕食時・就寝前の合計7回、コップ1杯(約200ml)ずつ飲むことを習慣にすると、無理なく1日の目安量に近づけることができます。
起床後すぐにコップ1杯(約200ml)
朝食のときにコップ1杯
朝と昼の間にコップ1杯
昼食のときにコップ1杯
昼と夕の間にコップ1杯
夕食のときにコップ1杯
(または食事の間でなく入浴前後にコップ1杯ずつ)
就寝前にコップ1杯
これで合計約1,400ml。食事からの水分を合わせれば、1日の目安量を無理なくカバーできます。
「喉が渇いたら飲む」ではなく「時間で飲む」に切り替えることが、高齢者の水分管理の最重要ポイントです。高齢者は喉の渇きを感じにくいため、渇きを感じてからでは手遅れになることがあるからです。
水分としてカウントできるもの・注意が必要なもの
水分補給には「水しか飲んではいけない」と思っている方もいるかもしれませんが、それは誤解です。
◆水分としてカウントできるもの
水・麦茶・ほうじ茶・牛乳・豆乳・スープ・味噌汁・ゼリー飲料・果物(スイカ・みかんなど)
これらはすべて水分補給として有効です。「水が苦手」という方でも、好きな飲み物や食べ物で代用できます。
※治療中の方は、かかりつけの医師または栄養士の指導にもとづいて食材や量を調整してください。
◆注意が必要なもの
アルコール:
利尿作用があり、飲んだ量以上に水分が体外に出てしまいます。水分補給にはなりません。
カフェインを多く含む飲み物(濃いコーヒー・緑茶など):
適量であれば問題ありませんが、大量に摂ると利尿作用が働くことがあります。
スポーツドリンク:
糖分が多く含まれているため、汗をかくほどの運動を全くしていない人が日常的に市販品をそのまま大量に飲むのは注意が必要です。
日常の水分補給では、特別に塩分を追加する必要はありません。
大切なのは、十分な水分を摂ることと1日3食しっかり食事をとることです。必要な塩分は3食の食事に含まれています(出典:佐々木敏 日常生活における熱中症予防:水分と塩分はどれくらいとるべきか? 栄養と料理 2019;85(8):115-9.)。
塩分を別途補給する必要があるのは、大量に汗をかくスポーツや屋外作業をしたとき、熱中症の応急処置が必要なときなど、特別な状況に限られます。
1日の水分摂取の目安量はこちら👇

あくまで目安としてご活用いただければ幸いです。
飲めないときの工夫|「なぜ飲まないのか」から考える
「飲むよう言っているのに飲んでくれない」という悩みは、多くの介護者が抱えています。大切なのは、飲まない理由に合わせた対応をすることです。
◆ トイレが心配で飲みたくない場合
夜間の水分を控えて日中に集中して補給する方法にシフトしましょう。「夜は少なくていい」と伝えるだけで、日中の水分摂取が増えることがあります。
◆ むせるのが怖い場合
とろみ剤を活用して、飲み物にとろみをつけることで安全に飲めるようになります。飲み込みへの対応は「飲み込みが心配な高齢者の食事|安全に食べる工夫」も参考にしてください。
◆ 水の味が苦手・飽きてしまう場合
麦茶・ほうじ茶・コーン茶・薄めた果汁など、好みの飲み物に変えましょう。「水でなければいけない」というルールはありません。飲めるものを優先することが大切です。
◆ 飲んだことを忘れてしまう場合
目に見える場所に飲み物を置いておく・声かけを習慣にする・飲んだ時間をメモするなど、環境を整えることで解決できることが多いです。
◆ 一度にたくさん飲めない場合
一口でも構いません。「一口飲んだだけでいい」くらいの気持ちで、回数を増やすことを優先してください。
まとめ|水分管理は「量より仕組み」で続けることが大切
◆ 1日の飲み物からの水分摂取目安は約1〜1.5リットル(コップ約7杯分)
食事の水分と合わせて、1日2〜2.5リットルを目指す。
◆ 体重×25mlで個人の目安量を計算できる(65歳以上)
体重50kgなら約1,250mlが飲み物としての目安。持病がある場合は医師に確認。
◆ 「渇いたら飲む」ではなく「7つのタイミングで飲む」
起床・朝食・朝昼の間・昼食・昼夕の間・夕食・(または食事の間でなく入浴の前後)・就寝前など、1日7回を習慣にする。
◆ 水でなくてもOK。飲めるもの・食べられる水分を優先
お茶・スープ・ゼリー・果物など、本人が摂りやすい形でとる。
◆ 飲まない理由に合わせた環境整備が最も効果的
トイレ不安・むせ・味の好み・もの忘れ、それぞれに合った対応をする。
水分管理で大切なのは、完璧な量を目指すことではなく、無理なく続けられる仕組みをつくることです。今日から「7つのタイミング」を意識するだけで、大切な人の水分補給は大きく変わります。
📥無料ダウンロード
印刷して冷蔵庫に貼って使えるチェックリストはこちら👇
🖨 高齢者の脱水チェックリスト
→https://drive.google.com/file/d/1jSE1t00rFTRbezEtu0y89tZD5dRVJkOs/view?usp=drivesdk
※ご家族や介護の現場でもご活用いただけます。
必要な水分量がわかっても、「実際に飲めない」という悩みも多くあります。
無理なく続けるための工夫はこちらで解説しています。
▶ 水分を無理なくとるコツはこちら
🌱フォローしていただけると嬉しいです
このnoteでは、
高齢者の栄養
在宅医療・介護
AIを活用した健康管理
について、やさしく発信していきます。
★週2回更新を目標にしています。
スキやフォローで応援していただけると嬉しいです♪
いいなと思ったら応援しよう!
もしよろしければ応援お願いしますm(_ _)m
いただいたチップは活動費に使わせていただきます!