学校の枠を超えた成長|未経験からGCI修了、18歳が挑むAI事業の最前線
東京大学松尾・岩澤研究室(以下、松尾研)では、AI・データサイエンスの教育を通じて、多様な学生が自らのキャリアを切り拓いています。
今回は、現役高校生でありながらGCI 2025 Summerを修了し、現在は中高生アシスタントを務める西尾さんに、GCI受講のきっかけとその後の変化を伺いました。
プロフィール
西尾さん:中央大学附属横浜高等学校3年生(2026年3月卒業予定)。GCI 2025 Summerを修了し、現在はGCI 2025 Winterの中高生アシスタントを務める。2026年1月からはAI×エンタメのスタートアップAiHUB株式会社でのインターンも開始。2026年4月より中央大学文学部に進学予定。
Q. GCIを受講しようと思ったきっかけを教えてください。
2023年にGPT-3.5が登場したあたりから生成AIに興味を持ち始めて、いつかちゃんと勉強しなければと思っていました。インターネットで検索していたときにたまたま松尾研のGCIを見つけ、松尾研の知名度と講座の内容を見て「ここで学ぶべきだ」と感じて申し込みました。
でも、正直に言うと最初は何も考えていなくて(笑)。受講が始まってから、受講生のほとんどは大学生や一部社会人だということを知って圧倒されましたし、修了率がそれほど高くないという事実を知って、「これ本当に修了できるのかな…」と一気に不安になりましたね。

Q. 受講前、統計やプログラミングの知識はどのくらいあったのでしょうか?
統計学の知識はほぼゼロでした。高校の数学Bの授業で箱ひげ図などに少し触れた程度でしたし、プログラミングも未経験でした。
何より、自分は文系なので数学がものすごく苦手で……。AIと数学がこれほど密接に関係しているとは知らず、GCIを受講する中で機械学習の核となる理論を学んだ時は「こんなに数式が出てくるのか!」と驚きました。
プログラミングも、苦手意識を持つ以前にそもそも触れたことがなかったので、自分にできるかどうかわからないブラックボックスのような状態からのスタートでした。
Q. GCI受講中で一番大変だったことはどんなことでしたか。
一番大変だったのは、学校の定期テストと課題の期間が重なったことです。最初は定期テストとGCIの事前課題が被り、スケジュール管理に苦しみました。
でも、その経験を逆手にとって、本講義では早めに動くことを徹底しました。最初にスケジュール管理で苦しんだからこそ、次に定期テストとコンペ期間が被ったときは問題なく対処できました。
また、各回の課題も難しかったです。講義を一回受けただけでは完全には理解できなかったので、わからないことは生成AIに聞いて解消するようにしていました。
「バイブコーディング(生成AIと対話しながらコーディングする)」という言葉がありますが、そのニュアンスが分かった気がします。正解のコードを丸写しするのではなく、生成AIを「効率的な家庭教師」として使い倒すことで、武器に変えていきました。
Q. 高校生にとって、大学レベルの前提知識は壁になりませんでしたか。
もちろん難しかったです!でも、途中で取捨選択が大切だと気づきました。すべてを100%理解しようとするとキャパオーバーして学習が止まってしまうので、今の自分に必要なことと、「ここは置いとこう」と割り切るべきことを整理して、食らいつき続ける根性が一番重要だと思います。
Pythonのコーディングも、講座後半に進むにつれてどんどん難しくなっていきました。GCIは全体を通してインプットがものすごく多いので、これも生成AIに説明をかみ砕いてもらったり問題を出してもらったりしてフル活用していました。
Q. GCIを修了して、ご自身の中でどのような変化がありましたか。
変化は大きく2つあります。1つ目はAIに対する解像度が自分の中でかなり上がったことです。以前は「AI=ChatGPT」というイメージでしたが、機械学習の結果をマーケティングに活用できることや、AIが動く裏で多様なアルゴリズムがあることを学びました。例えるなら、これまで自分はトンネルの出口の部分しか見れていなかったんだなと実感しました。
そしてもう1つはコミュニティの力です。自分の周りでGCIをやっている人はほぼいませんでしたが、松尾研のGCIコミュニティには同年代で同じ志を持つ仲間や、刺激をくれる凄い人たちがたくさんいます。学校という狭い世界では出会えなかった人たちとの交流は、大きな財産になりました。
—その経験が、現在のスタートアップでのインターンにも繋がっているのでしょうか。
そうですね。現在はAI×エンタメのスタートアップでマーケティングの仕事をしていますが、GCIで得た知識は確実に活きています。もともとエンタメが好きだったのと、GCIで学んだAIの知識もあったことで、事業内容に共感してインターンを始めました。
現在はクリエイターズワンダーランドというサービスのローンチに関わるなど、普通の学生では得られない経験をさせてもらっています。将来はAI×エンタメの分野で自分で事業を立ち上げたいという目標も見えてきました。
Q. 西尾さんは現在GCIの中高生アシスタントを務めていますが、そのやりがいを教えてください。
はい、自分が受講中に感じた辛さや不安を体験として知っているからこそ、それを軽減するサポートがしたいと思い、Slackの中高生チャンネルなどで活動しています。
受講側から運営側になったことで、「こうやって講座運営していくんだ」という裏側を学ぶことができましたし、最終課題で中高生の皆さんから「本当に助かりました」とコメントをもらえた時は、自分の経験が誰かの役に立ったと実感できて最高に嬉しかったです。
Q. 次世代の中高生の受講生へメッセージをお願いします。
中高生は、時間的にも経験的にも大学生や社会人より不利な面があるかもしれません。「実際、中高生って本当にGCI修了できるの?」という不安もつきものだと思います。でも、僕たちには「AIネイティブ世代」という強みがあります。物心ついた時からAIに触れ、自分の思い通りに使いこなす感覚は、大きな武器になります。
大切なのは、スケジュール管理と、最後まで食らいつく根性です。ぜひ、中高生でも臆することなくチャレンジしてください!
苦手な数学を取捨選択と生成AI活用で乗りこなし、学校の枠を超えて活躍する西尾さん。GCIの受講を通じて得た経験と自信は、中高生アシスタントやインターンへの参画など、普通の高校生活では得られない景色へと彼を導きました。
松尾研の講座は、志を同じくする仲間と出会い、学生・社会人といった垣根を越えて高め合える場所です。まずはGCIの受講を通して、あなたもまだ見ぬ可能性を広げてみませんか。
