ホワイトナイトだって欲はある
SBIホールディングスがフジテレビの親会社であるフジ・メディア・ホールディングスと業務提携するというニュースが出ていました。
フジテレビがかつて、ホリエモンこと堀江貴文氏のライブドアの買収の危機に晒されていたことを皆さまは覚えていらっしゃいますでしょうか。
いわゆるライブドア騒動ですね。
当時、フジテレビはラジオ会社であるニッポン放送の子会社でした。
フジテレビもニッポン放送もどちらも上場していましたが、フジテレビは誰もが知る超有名企業で、一方、その親会社のニッポン放送はフジテレビほどの人気もなく、時価総額で言えば圧倒的にフジテレビの方が大きいという状況でした。
この“ゆがみ”に目を付けたのが村上ファンドです。
村上ファンドは、フジテレビに比べて時価総額が小さいニッポン放送を買収することで、圧倒的に時価総額の大きいフジテレビを“有効活用”することで、ニッポン放送の株価を簡単に上げることが出来ると注目したのです。
フジテレビとニッポン放送はこれに大いに驚きましたが、あまりにも急な出来事で対策が間に合いません。
村上ファンドはニッポン放送の株を買い進め、物言う株主としてニッポン放送にフジテレビを“有効活用”、すなわち売却などを提案します。
しかし、ニッポン放送はこれに応じず、膠着状態が続きます。
そこで、村上ファンドはフジテレビを欲しがっていたホリエモンにニッポン放送株を売り渡し、次はライブドアがニッポン放送株を買い進めることになるのです。
ニッポン放送からすれば、株主が、物言う株主から、敵対的買収を進める株主に変わっただけですので、状況としてはただ悪化しているだけです。
ライブドアにフジテレビを奪われるのを防ぐために、ニッポン放送は一生懸命フジテレビの株を買い増そうとしたりして様々な手を尽くすのですが、ことごとくライブドアに阻まれます。
そしてついにライブドアが株式の過半数を獲得し、フジテレビを手中に収めるかと思ったそのとき、さっそうと現れたのがSBI(当時はソフトバンク・インベストメント)の北尾吉孝氏だったのです。
金融の世界では、敵対的買収に脅かされているターゲットを救うために現れる新たな投資家のことをホワイトナイトと言います。
白馬の騎士ですね。
この絶体絶命のニッポン放送から、SBIはフジテレビの株を借り受けます。
こうなると、いくらライブドアがニッポン放送を買収したとしても、フジテレビ株はSBIに“避難”している訳ですから、ホリエモンはフジテレビを手に入れることは出来ません。
そこから、SBIとライブドアの応酬が始まり、結局、フジテレビが手に入らないと分かったホリエモンのライブドアが買収を諦め、SBIの勝利に終わるのです。
お姫様と結婚するホワイトナイト
そして、あれから21年。
SBIホールディングスがフジ・メディア・ホールディングスと業務提携に進みます。
SBIはフジ・メディア・ホールディングスの株も購入しており、今では7%を保有する大株主です。
SBIは、金融とメディアとITを融合させることによる新しい経済圏の創出をうたっていました。
そう、SBIだって、単なる慈善事業でフジテレビを助けている訳ではなく、自分達にも目的があったからこそ、フジテレビを助けているのです。
ホワイトナイトというとおとぎ話のように純粋な正義の味方を想像しがちですが、そこはあくまでビジネスの話。
多額のお金を動かすのには、やはり理由はありますし、メリットを見出しているからこそお金を出すのです。
それでもやはり、買収されそうな企業にとって、敵対的買収を仕掛けてくる企業よりも、ホワイトナイトに買収されることを選ぶ企業もいるということは、ホワイトナイト的買収の仕方の方が優れているということなのかも知れません。
敵対的買収もホワイトナイトもお金を出すという点では同じですが、ターゲット企業のことを尊重するかどうかという姿勢が決定的に違います。
「お金を出すから私の傘下に入れ」と言うのと、「大切にするから私の傘下に入れ」と言うのと違いと考えると分かりやすいですね。
まあ、どちらも傘下に入るというのは変わらないのですが。
松本 佑介 @ 枚方を動かす新しいチカラ
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