新潟から北八ヶ岳へ〜縞枯山と高見石小屋〜
新潟の旅を終え向かったのは”北八ヶ岳”。
本当はちょうど紅葉が見ごろを迎えている「雨飾山」にのぼる予定だった。
そう、タダでは帰らない(笑)。
しかし、雨飾山の天気が雨予報で、他に天気の良い山を探していたら北八ヶ岳の方面は曇りのち晴れ予報ではないか!
ならばと、決して寄り道とはいえない距離をひた走り、北八ヶ岳にある白駒の池入り口有料駐車場へと向かった。
ここであきらめて帰る、という選択肢はないのである。
八ヶ岳とは八つの山を指すのではなく、「たくさんの」「無限の」というように数が多い山々ということを表しており、北は蓼科山(含む含まない説があるようだが)から南は編笠山までおおよそ30kmにわたり連なる山々を指している。
八ヶ岳はとても好きで、これまでに赤岳・阿弥陀岳・横岳・硫黄岳・天狗岳・編笠山・ニュウ・蓼科山などにのぼっている。
のぼったことのない山でのぼってみたいと思っているのが、今回選んだ縞枯山、そして権現岳だ。
縞枯山は累積標高もさほどなく、新潟旅の後にのぼるにはほどよい山行になると思い計画を立てた。
ー ルート
縞枯山は北八ヶ岳ロープウェイを利用して、北横岳や茶臼山を縦走することもできるし、破線ルートを通り北横岳から三ツ岳を経由し雨池山にのぼる岩稜帯(実は気になっている)もあるし、いろいろな組み合わせでのぼれる山だ。
今回の目的は縞枯山だが、もうひとつ行きたいところがあった。
それは「高見石小屋」。
そう、あの有名な揚げパンをどうしても食べたかった。
なので高見石小屋と縞枯山をセットにできるルートを選んだ。

スタートは白駒池入り口。はじめに白駒池に立ち寄った後、麦草ヒュッテ方面に向かい、茶臼山を経由し縞枯山へ。
ピストンでもどり、高見石小屋へと向かう。
ゴールはスタートと同じ白駒池入り口だ。
ー アクセス
麦草峠に無料の駐車場はあるが、夜の到着だったので広くて前に一度来たことのある「白駒の池入り口有料駐車場」を利用した。
<駐車場>
麦草峠駐車場:約30台(麦草ヒュッテの約100m西側)
白駒の池入り口有料駐車場(以下、白駒池駐車場)
:駐車場 180台(バス5台分を含んでいる)
4月下旬~11月上旬営業(2025年現在)
営業期間中は、24時間駐車場可能。
<バス>
アルピコ交通のバスが茅野駅から出ているが、季節運行のようなので詳細は直接確認が必要。
ー はじまりは車中泊
慣れたものとはいえ、ひとりの車中泊は夜中のトイレが怖い。
新潟を出発し、21時には白駒池駐車場に到着していた。
のんびり準備をし「さて寝る前にトイレ」と思うも、予想以上に車の数が少なくほぼ真っ暗な駐車場からトイレに向かうのは決死の覚悟だ。
いや、でも行かねば朝までもたぬと意を決し、ヘッドライトを握りしめてトイレに向かう。
人感式の電気がわたしに反応してくれる。
文明のありがたさよ。
無事にトイレから帰還し、安心して眠りにつく。
4時ごろには目が覚めていたが、まどろみながらシュラフの中で携帯を眺める。夜中は少し冷え込んだが、ワークマンの「着る断熱材」というネーミングに惹かれて購入したパンツのおかげで寒さはしのげた。
今回の山行はソロではなく、旅計画に乗ってくれた山友さんと一緒だ。
彼女とは五竜岳山行ぶりの登山である。
そう、ずっとわたしは山にのぼることを「山のぼり」と呼んできたのだが、気づけば穂高にものぼるようになり、いよいよ山のぼりという呼び方に若干の違和感を覚えるようになったので、「山のぼり」から「登山」へと呼び名を変えることにした。
朝のうちは曇り予報なので、7時前に出発しようとそれまで各自車で過ごした。

空はまだ曇ってはいたが出発!
しばらくは苔の森でマイナスイオンをたっぷり補給しながらのんびり進み白駒池へ。

紅葉はピークを過ぎ、残っていたのは写真の紅葉のみ。
ピークを過ぎた白駒池は人も少なく、静かに揺れる水面だけが音を立てていた。

ー 麦草峠から縞枯山へ
元きた道へ戻り、分岐を麦草峠方面へと向かう。
するとほどなく「白駒の奥庭」という開けた場所に出る。
奥庭といえば、天狗岳から黒百合ヒュッテへくだるところに「天狗の奥庭」というのがあった。天狗の奥庭への道は大きな岩がずっと続きキツかったが、白駒の奥庭はゆるやかな苔の森を抜けると登場する。


ここから再び森に入り、20分ほど進むと麦草峠に到着!
心なしか侘び寂びを感じる風景に、どこかホッとする自分がいる。



その後も道はおだやかで整備された木道も多い。


麦草峠から15分ほど行くと分岐があり、看板などはなかったと思うがおそらく大石峠なのではないかと思う。
ここが間違えやすい場所で、わたしたちは間違えてしばらく平坦な道を選んで進んでしまった。すぐに気づいて引き返したのだが、実際は大石峠から少しのぼりがはじまる。
そう、ここまではほぼ平坦な道だった。
道を間違えたので少し時間がかかっていると思うが、麦草ヒュッテから45分「中小場」という開けた場所についた。

目の前に見えているのは、おそらくこれから向かう茶臼山
明らかに曇っている。
しかし少し晴れ間もあったので「きっとてっぺんに着くころには晴れてるよ」と晴れマークのついた天気予報を信じ続けた。
なだらかな道を進んできたが、ずっとそのままのわけはない。
だって”登山”なのだから!
茶臼山へののぼりはいきなり急登なのだ。
ここまで散々甘やかされてきたのに、容赦ない角度ののぼりがてっぺんまでずっと続く。

そうして30分ほどのぼり続けると茶臼山のてっぺんに到着。

茶臼山も縞枯山もてっぺんに眺望はない。
いずれも近くに展望台があり、そこから景色を眺められるのだ。
三角点は標識の場所にあったが、YAMAP上はどうやら展望台がてっぺんのマークになっている。
しかし、相変わらず雲の中の北八ヶ岳。
「今行っても何も見えないね」と、そのまま縞枯山へ向かい展望台へは戻ってから行くことにした。
縞枯とは、風や雨、日射などの自然現象により木が枯れ、帯状となって枯渇するため遠景では枯れた部分が白く縞模様になって見えることから縞枯と呼ばれているそうです。決して森林が衰退しているのではなく、100年200年といった周期で世代交代をしているらしく、枯れた木の根元には幼い木が育ちはじめていました。
その縞枯現象があるのがこの縞枯山。
八ヶ岳では他に蓼科山や北横岳でもみられる現象らしい。
縞枯現象を遠景ではなく近景で見るとこのような状態だ。

ふと思ったのだが、縞枯には曇り空がよく似合う。
なんとも幻想的でもの寂しくもあり、そしてここだけ時間が止まっているようにすら感じる。
そうして、先へと進む。

茶臼山から45分ほどで縞枯山てっぺん標識にたどり着く。

縞枯山のてっぺんは500mもあるそうで、確かにいったいどこに標識あるの?と思いながら進んだ。
茶臼山はちょっと休憩できるスペースもあったが、縞枯山は道の途中にポツンと置かれた標識があるだけなので、ちょっとひと休みというモードにもならない。
そしてくるりと向きを変え、今来た道を戻る。
と、突然天気予報が本領を発揮しはじめた。

なんと、厚い雲に覆われていた空が顔を出しはじめたのだ。


展望台への期待が高まる。
浮き足だって茶臼山に戻り、そこから5分ほどで展望台に到着。

あれ?
ダメかあ。
完全なる白の世界。
いや、それも悪くはない、決して。
でも、そろそろ白じゃない色が見たい。
そんなことを思いながら立ちすくんでいると、

キタキタキタア〜!!!
まるで白い鳥たちが一斉に飛び立つようにわたしたちの頭上を越え、青い空を連れてきてくれた。
興奮している姿を想像できるだろうか。
本当に一瞬だった。
写真を撮り、動画を撮り、雄叫び、そして再び雲の中へと入っていった。
あー、奇跡って起こるんだな。
これだから山っておもしろい。
そうして再び苔の森へと戻ってゆく。
ー 高見石小屋で念願の揚げパンを食べる
苔に癒されながらもうひとつの目的!高見石小屋をめざす。



麦草峠からは1時間ちょっとかな、高見石小屋に到着!



興奮してピントズレてるし、、、💦
揚げパンは5個セットと2個セットがあり、2個セットは平日だけなのかな?いつもあるわけではないそう。
5個全部食べてみたいとは思うけれど、食べ切れる自信もなく今回は黒糖と胡麻の2種類を選んだ。
外はカリカリで中はフワッフワ。口の周りを粉まみれにしてむしゃむしゃ一気に食べる。脂っこさは感じず、でもちゃんとおなかに溜まってくれる。
なめちゃくちゃ美味しかった。
これまで食べた揚げパン(そんなに食べてはいないが)の中でダントツだ。
いや、実は結構疲れたのである。
標高差はそれほどないけれど距離は13kmとまあまああり、新潟の旅の後に来ているため疲労は少々たまっていた。
しかし!この揚げパンはまるでポパイのホウレンソウ。
すっかり元気を補給し、高見石へ。
高見石をのぼったのは3年くらい前。
初めて八ヶ岳に来たときだ。
その時はのぼるのがちょっと怖かったこの大きな石も、スイスイのぼれてしまう。
石のてっぺんまでのぼると、

太陽が眩しいではないか!!
晴れてるのよ、すっかり。
縞枯山方面は雲の中のようだったが、同じ北八ヶ岳でも少し南下したあたりは晴れていた。


幸せだ。
新潟から決して近いとは言えない北八ヶ岳。はるばるきた甲斐があった。
山友さんとも会えたし、幻想的な縞枯と奇跡ような晴れ間、そして念願の揚げパンをいただき、懐かしの高見石で美しい風景を拝めた。
登山ができていることに心から感謝だ。
こうして、新潟の旅からはじまった3日間の冒険は幕を閉じた。
幸せに満ち足りた3日間だったなあ。
感慨に浸りながらも、
止まることなく帰宅の途へ。
そして、家の駐車場に到着するとなんと3日間の車の走行距離は、
777km
これこそ奇跡じゃない!!
いや、めちゃくちゃ走ったな、とも思ったけれど、ちょうど777ってそんなことある?
忘れられない旅になる。
そう思った3日間だった。
新潟の旅はこちら
距離:13.2km
累積標高(のぼり/くだり):748 / 752 m
タイム:8時間32分(休憩2時間3分含む)
YAMAPより
