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その判断は合理的?ギャンブラーの誤謬

誤謬ゴビュウとは
論理的な誤りや間違いを指す言葉。一般的には、推論や議論の過程で生じる論理的な矛盾や非合理性を指す。事実とは異なる結論を導く可能性があるため、正確な情報伝達や理解を妨げる要素となる。日常生活やメディア、政治的な議論など、様々な場面で見られるため、誤謬を理解し、それを避けることで、より正確で合理的な議論が可能となる。

引用: 「誤謬(ごびゅう)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書


ここにコインがあります。

事前に1,000,000回のコイントス実験をして、表と裏の出る確率がどちらも等しく1/2であるコインを選びました。つまり、ゲームで使うために理想的なコインを選んだのです。

1,000,000回のコイントス実験はケガのもと。
真似しないでね。

しかし、なんと!
友人とゲームを始めたら、10回連続で『表』が出ました。
イカサマはやっていません。

さて、次は何が出ると思いますか?

今までの流れに乗って『表』ですか?
それとも、今まで出ていない『裏』ですか?

そして、私たちは何故このように考えるのでしょうか。

そこで、今回のテーマは…
実生活で確率を考えるときに誰もがつい陥りやすい、このチョットした錯覚です。

✔︎ 錯覚の正体

先ほどのコイントスでは、『まだ表の流れが続く』と考える人もいれば、『そろそろ裏が出るはず』と考える人もいます。どちらも一見、合理的に思えますが、確率の世界ではどちらも思い込みにすぎません。

この2つの直感の違いは、私たちが『確率』というものをどのように捉えているかの違いです。前者は『流れが続く』と信じ、後者は『確率は平均化する』と信じている。どちらも、人間らしい 確率への期待 なのです。

しかし実際の確率は、このような人間の感覚とは全く違います。

コイントスの確率を $${P}$$ とすると、$${P}$$ は次式で表されます。

$$
\begin{align*}
・P_{(\text{表})} &= 50\%\\
・P_{(\text{裏})} &= 100\% - P_{(\text{表})} = 50\%
\end{align*}
$$

どれだけ表が続いても、次の1回が表になる確率は常に50%。裏になる確率も常に50%。つまり、表が出る確率も裏が出る確率も同じです。

だから『10回連続で表が出た』ことと『次の1回が表か裏か』は、まったく関係がありません。コインには記憶がないのです。

では、『10回連続で表が出る』という現象自体はどれほど珍しいのでしょうか?その確率は次のように求められます。

$$
P_{(\text{表が連続10回})} = (50\%)^{10} \approx 0.1\%
$$

この 0.1% という値は、たしかに小さい。

だからこそ、私たちは『めったに起きないことが起きた』と驚き、そこに意味を見出そうとします。しかし、ここに大きな誤解があります。

たとえば、
10回連続で表が出る確率はとても低い
👉 だから11回目は裏が出やすい

このように『珍しさ』と『次の確率』を混同してしまうことが、錯覚の始まりです。実際には、10回連続の珍しさと、11回目の結果の確率は別問題。どれほど過去に偏りがあるように見えても、次の1回の確率は独立しています。

✔︎ なぜ錯覚するのか

私たちが『表が続く』と思うのは、流れという物語を作る脳のはたらきです。一方で『そろそろ裏が出る』と感じるのは、脳がバランスを取ろうとするからです。どちらも、偶然を人間的に理解しようとした結果です。

もともと人間の脳は、偶然の中に法則を見つけ出せるよう進化してきました。自然界でのパターン発見は、生存に有利だったからです。しかしこの力は、コイン投げやルーレットのような完全にランダムな世界では、間違いの元になることがよくあります。

たとえば、サイコロで 1 → 2 → 3 → 4 → 5 → 6 と順に出ると、整いすぎて不自然に感じませんか?しかし実際は、1 → 4 → 6 → 2 → 5 → 3 とバラバラに出るのと、確率はまったく同じです。『きれいすぎる』『偏りすぎてる』と感じるのは、人間(脳)側の都合です。

このような思い込みが、ギャンブラーの誤謬ゴビュウと呼ばれる錯覚を生み出します。

ギャンブラーの誤謬とは
ある事象の発生頻度が特定の期間中に高かった場合、その後の試行におけるその事象の発生確率が低くなる(または逆に、発生頻度が低かった場合に高くなる)と信じてしまう誤謬です。これは、観察される結果が真にランダムであり、各試行が独立した確率過程である場合には誤りです。

引用: ギャンブラーの誤謬 - Wikipedia

確率は過去を覚えていないのに、私たちは勝手に過去から法則を見つけ出そうとする。その結果、合理的な判断から少しずつズレていってしまうのです。

✔︎ おわりに

ギャンブラーの誤謬は、カジノだけの話ではありません。日常にもたくさんの そろそろ があります。

  • 宝くじ、そろそろ 当たるはず!

  • 連敗してるから、そろそろ 勝てるはず!

  • ガチャ、そろそろ 超激レアが出るはず!
    👉 無限課金地獄編

こうした考えは、偶然を流れで理解しようとする人間のさがです。

また、誤謬は個人の判断だけでなく、複数人で意思決定をするときにも起こりやすいものです。誰かの意見に引きずられたり、『みんながそう言うから』と納得したり…確率の話になると、人は安心を共有しようとして、逆に冷静さを失うことがあります。

確率は、過去を覚えていない

この一言を覚えておくだけで、無駄な期待や焦りから少し離れられるかもしれません。偶然に振り回されず、確率と上手に付き合うこと。そして、他人の意見や多数派の雰囲気にも振り回されないこと。それが、合理的に考える第一歩です。



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