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​AIは喉が渇く:母のiPadと両学長、そして「水」が握るハイテクの生殺与奪

1. 瀕死のTCLと、余生を楽しむiPad

​物欲というのは、案外、灯台下暗しなものである。

​私は今、メイン機のMSIでガリガリと原稿を書きながら、サブ機のタブレット買い替え問題に頭を抱えていた。現在の主戦機はTCLのタブレットなのだが、正直に言おう。スペックが限界だ。ブラウザを開くたびに「……よいしょ」と重い腰を上げるような挙動に、私の忍耐も限界を迎え、最新のXiaomi(シャオミ)への浮気が頭をよぎる。

​しかし、ふと視線を落とした先に、それはあった。

母から譲り受けた、少し年季の入ったiPad。

バッテリーは多少弱っているものの、幸いにしてまだコードなしで動ける粘り強さがある。最新の重いアプリは荷が重いが、YouTubeを再生させれば今でも現役バリバリだ。

​結局、私はこいつを「食事中のYouTube専用機」として再定義した。

もはやTCLの挙動にイライラする時間は、温かいスープの湯気と共に消えていった。

​2. 母の「推し変」と、世界の「喉の渇き」

​私が部屋でiPadを眺めている横で、母もまた、リビングのテレビでYouTubeを堪能している。

以前はスピッツの草野マサムネの透き通る声や、宮本浩次の情熱的なパフォーマンス、徳永英明の『壊れかけのRadio』を熱心に聴いていた母だが、最近のトレンドは少し違う。

​掃除の時こそ、それら名曲をBGMに流しているが、腰を落ち着けて観ているのはもっぱら「両学長」のマネーリテラシー講義か、「ゆっくりトラベル」の豪華客船の旅だ。

「自由な人生を!」と吠えるライオンの言葉に頷き、次の瞬間には世界一周クルーズの映像を眺めている。その欲望に忠実なザッピングを支えているのが、巨大なデータセンターだ。

​だが、この穏やかな日常の裏側で、今、世界規模の**「喉の渇き」**が起きていることに、どれほどの人が気づいているだろうか。

​AIは、とにかく喉が渇くのだ。

Microsoftの研究によれば、ChatGPTと20〜50回のやり取りをするだけで、AIは約500mlの水を消費する。

母が「自由な人生」を学び、客船の優雅な映像に浸っている裏で、サーバーを冷やすためにペットボトル1本分の水が蒸発していく。

​投資の神様ウォーレン・バフェット(以前「ババット」と打ち間違えて親戚のおじいちゃんにしてしまったが)は、コカ・コーラを愛している。だが、彼が愛しているのはコーラの味だけではない。**「コーラを作るには水が必要であり、喉が渇く人間がいる限り、そのビジネスは終わらない」**という、究極の普遍性だ。

​3. 「地味なインフラ」の逆襲:オルガノと栗田工業

​今、米国株市場ではSMR(小型モジュール炉)や次世代エネルギーが脚光を浴びている。AIを動かす「電力」が足りないからだ。

しかし、原子炉は究極の「巨大な湯沸かし器」であることを忘れてはならない。

​タービンを回し、熱を冷ます。そこに不可欠なのは、不純物を極限まで取り除いた**「超純水(Ultra Pure Water)」**だ。

​ここで、日本の誇る「地味なインフラ企業」が、世界の喉元(のどもと)を掌握し始めている。

オルガノ栗田工業だ。

​彼らは今、アリゾナ州などの砂漠地帯に建設されるインテルやTSMCの巨大な半導体工場に深く食い込んでいる。

ハイテクの象徴であるシリコンバレーのエンジニアたちが「次世代AIだ!」と叫んでいる足元で、彼らは黙々とパイプを磨き、水を濾過している。

母が見ている「豪華客船」は水の上を走るが、AIという巨大な客船は、オルガノや栗田工業が作り出す「超純水」の上を走っているのだ。

​この「地味なインフラの逆襲」こそ、今の相場の真髄ではないか。

​4. スペック不足の日常と、豊かな投資

​母がテレビで両学長の動画を観て「守りの資産が大事やねぇ」と頷いている。

実に正しい。

​スペックの限界に喘ぐTCLを、見栄えの良いXiaomiに買い替えるのはただの「消費」だ。

しかし、そのデバイスが繋がっている先の、誰も見向きもしない冷却水システムや、水処理インフラの未来を考えるのは「投資」である。

​「TCL、やっぱり重いな……」とボヤきながら、私は今日も古いiPadでYouTubeを開く。

画面の向こうで優雅に大海原を行く客船の映像を眺めながら、私は思う。

最新のデバイスを追いかけるのを少しやめて、その背後で流れる「水」の行方に投資してみる。それこそが、徳永英明の歌声のように、優しく、そして力強い「守りの資産」になるのかもしれない。

【免責事項】

本記事は、個人の日常や技術的関心、投資トレンドを綴ったエッセイであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にはリスクが伴います。最終的な投資判断は、両学長の教え(!)も参考にしつつ、ご自身の責任で慎重に行ってください。

Gemini

じぇみにんが担当しました。

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