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敬老の日にカンゲキ

2025年9月15日。月曜日、祝日。敬老の日。
福岡の人にとって敬老の日といえば、筥崎宮の放生会を思い出す方も多いでしょう。
僕が子どもの頃は祖父母が清川に住んでいて、津屋崎から敬老の日のプレゼントを持って訪ねると、放生会に出かけて逆にお小遣いをもらい、出店でいっぱいの参道を歩いたものでした。

さて、そんな敬老の日に福岡に出かけました。


青色と灰色の境界線アフタートーク配信

この日は、久留米座での演劇公演「青色と灰色の境界線」からちょうど1ヶ月。それに合わせたYoutubeライブでのアフタートーク配信があり、福岡に向かう車で耳だけ傾けていました。

「青灰」は久留米空襲を題材にした作品で、地元で募った10代から70代の方が出演。戦時中のシーンでは、子どもだけが登場し当時の生活が描かれていました。稽古は7月にはじまり、1ヶ月半あるか無いかの短期間で作品を作り上げたそうです。

僕は公演当日、劇場の受付スタッフとして参加し、観劇もしました。

Youtubeライブのアフタートークには、公演のときにお会いした3名ーー企画統括の入部さん、脚本・演出の林さん、制作の田村さんーーが出演。活動拠点の東京からの配信でした。
久留米で子どもたちを集めてこの作品を作ることの意義や、このプロジェクトの振り返りと今後。稽古期間を通しての子どもたちの成長。大人も含めた役者それぞれの課題、等々を熱く楽しく語っていました。チャットでは「青灰」で演出助手を務めた、僕が所属する劇団代表の前原さんも久留米から参加。聴いていて、制作陣も良いチームだったなと思いました。
(ライブで視聴していない方も、上のリンクでアーカイブが見られます。)

僕はYoutubeライブを聴きながら、上演当日の出来事やステージ上の役者の皆さん(大人と子どもの両方)を感慨深く思い出したり、裏話に頷いたりしていました。
とはいえ運転中なのでもちろん、ハンドルは注意深く握っていましたよ。さらに言えば、道中は雷ゴロゴロの大雨だったからなおさらです。

大學湯のお化け屋敷

配信が終わる頃、雨雲の地域からも脱出し目的地も近づいてきました。
目指していた先は箱崎の「大學湯」。国登録有形文化財の元銭湯です。筥崎宮から少し離れたこの場所で、放生会のその日に、劇団「南無サンダー」が「演劇お化け屋敷」をやっていました。

駐車場に車を停め、雨雲が来ていない夏の暑さの箱崎を地図を見ながら歩きました。たどり着いた先に現れたのは、ガッツリ装飾を施され、銭湯からお化け屋敷になってしまっている大學湯でした。

入口では普段着のお兄さんとお姉さんが出迎えてくれました。まだ前のお客さんが入っていたので、Xの投稿で知って来てみたのだとか、熊本でもお化け屋敷やられていましたねとか話をしました。そうするうちにどういう流れからか、「劇団やってるんですか」と聞かれ、この日は何だか自信のない気持ちだったので「入っているんですが、まあ、」みたいな答え方をしてしまいました。

お兄さんはそんな返答はスルー気味に、本題のお化け屋敷の説明に入っていきました。すると、看板には「えずい」と「えずくない」と書いてあるのですが、「ばりえずいもあります」と言うではありませんか。迷いなく「ばりえずい(=めちゃくちゃ怖い)」でお願いしました。

真っ暗で蒸し暑い元銭湯の中へ、しばしの異世界散歩。

役者さん扮するおばけの語りを聴いたり、話しかけられたり、追いかけられたりしました。物語やコミュニケーションがあるのが、演劇らしく一味違うものがあったし、凝った大道具小道具がリアリティを醸していて、異世界に迷い込んだようでおもしろかったです。具体的な内容は入った人だけのお楽しみということで、ここでは感想だけ書かせてもらいます。


大學湯でスタッフの方に撮ってもらった

さて、駐車場にもどってXを開いてみると、あら。相互フォローしている方がお化け屋敷をやってる方だったらしい。少し逡巡しましたがせっかく来たのだから会っておかないとと言い聞かせ、自分に勢いをつけて大學湯に戻りました。受付のお姉さんがその人だろうかと思い切って訊ねてみると、残念ながら別の方で、中の人だという。なんだか恥ずかしくなり「Xでフォローしてるので、投稿しておきます。」と言って戻ることにしました。

戻ることに決めたのですが、数歩歩いてふと写真を撮ってなかったことを思い出しました。少し離れて構図を考えながら何枚か撮ってみます。そうしていると受付のお兄さんが気づいてこちらにやってきました。大學湯では、何だか恥ずかしくなったり挙動不審だったりすること続きです。ついに「撮りましょうか。」と声をかけられたので、もうなにか開き直った気分になり、気楽に「お願いします。」と言って撮ってもらいました。

こうして、今度こそやっと大學湯をあとにしました。

放生会

久留米から、10分そこらで回るお化け屋敷に入るためにだけ、福岡に行ったわけではありません。人波でいっぱいの筥崎宮の参道の前を通り過ぎながら次の目的地に車を走らせました。人波を横目に見ただけで放生会はスルーしました。

高砂の居酒屋「三輪商店」

敬老の日のメインは福岡市中央区高砂にある居酒屋「三輪商店」。祖父母の住んでいた清川の日赤通りを挟んだ向かい側の街です。柳橋連合市場やら、サンロードやら、ロータリーなど小さい頃から見慣れた通りを目にしながら車を走らせ、これまた見慣れた、日赤通りの逆さまの看板のお店のところに来ました。この角から入ったのが三輪商店でした。

この日の上演作品は、おびのくろす with バカダミアンの「匕」「ニニギ」。一人芝居の2個セットでした。

バカダミアンは去年の9月にも観に行っていて、今年観たぽんプラザでの「ラ・ヴィータ」も重松さん演出、大谷さん主演。今回も観に行きたいと思ったのは肌に合うのだと思います。

(昨年、2024年9月23日のインスタがこちら。)

昨年のだしものも狭い座敷での公演でしたが、今回はさらに狭い!3畳〜4畳半の居酒屋の上がりの一角です。さらには、セットのワンドリンク(車なのでノンアルにした)とおつまみプレートは美味しいし、出番前の役者さんがカウンターでおつまみの写真を撮ってSNSにあげているし。席が居酒屋のテーブルとカウンターなので他のお客さんの顔も見えるし。観劇のつもりで来たはずが、距離と場の空気が普通に居酒屋で集まった感じにしか思えません。役者と観客、観客同士が”ただの他人”という普段の関係性が、この場は違っていて、また良い感じでした。


おつまみセット

「匕」
古代に引きずり込まれたJKのお話。歌とダンスもアクションも楽しい。

「ニニギ」
戦争ビジネスはまっぴらだとクニを逃亡する古代の王子の話。一人何役かもアクションも楽しい。

ストーリーはいずれも古代日本が舞台。そこに現代の日本社会のありように対する疑問を重ねた内容でした。社会に対する視点は自分も共感を覚えました。また、随所でのアニメや歌謡曲の取り込みも、ただの懐かしい感だけでなく、現在にも通じる普遍的な感覚を感じました。とこう、あらすじはそうなんですが、主演のお二人が色々ハチャメチャに暴れ回っていて、おかしく楽しく観劇しました。

初めての居酒屋公演、終了後はこのままその場で打ち上げに参加!できるというオプションもあったのですが、車で来ていますし、家族のもとに帰らなくては、ということで楽しい時間は終了。少しだけ重松さんに話しかけて家路につきました。

当日折り込みと宣伝カードとチケット


豚と人参の丼

久留米の我が家

帰宅後、午前中に作り置きしていた豚と人参の丼を食べました。
恥ずかしいと楽しいがないまぜの、観劇の敬老の日。老人は全く敬っていなかったけど、清川と筥崎宮の参道を通りかかり、ふと祖父母の在りし日のようすが脳裏に浮かんだ日でした。


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