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【童話】『幸せのりんご🍎』

『幸せのりんご🍎

むかしむかし、
ある町には「リンゴ売りの屋台」が
たくさん並んでいました。

どの屋台も、
赤くてつやつやしたリンゴを売っています。

けれど――

その中にひとつだけ、
やたらと売れている金ピカの屋台がありました。



その金ピカ屋台のリンゴは、
見た目はとてもきれいなのに、
近づくと、少しだけ変なにおいがしました。

でも、不思議なことに、

「すごく美味しい!」
「幸せ〜!」
「人生が変わった」

と、みんな口々に言うのです。



ある日、
ひとりの少年が、
金ピカ屋台の裏側をのぞいてしまいました。

すると――

そこには、

山のように積まれた、
腐りかけのリンゴがありました。



金ピカ屋台の主人は、
そのリンゴにこうしていました。

まず、
強い香りの蜜をかける。

次に、
真っ赤な粉をふりかける。

そして、
こう言って売るのです。

「これは特別なリンゴです。
食べた人は、みんな幸せになります」



少年は驚いて聞きました。

「それ、本当にいいリンゴなの?」

すると主人は笑って言いました。

「いいリンゴかどうかは関係ないよ」

「売れるリンゴかどうかが大事なんだ」



さらに少年は気づきました。

その屋台の前には、
いつも同じ人たちが並んでいます。

そして、

「すごい!」「最高!」と
大きな声で褒めあっているのです。



実はその人たちも、
別の場所で派手な屋台を出していました。

お互いにリンゴを褒めあい、
「人気があるように見せる」ことで、
新しいお客さんを呼び込んでいたのです。

周りをよく見ると、
みんなリンゴの「見た目」ばかり気にしていて
「におい」を確かめる人は、
ほとんどいませんでした。



少年は少し怖くなりました。

でも同時に、こうも思いました。

「こんなに売れるなら、
ぼくも仲間に入れてもらった方がいいのかな…?」



そのとき、

隣の、小さな屋台に気づきました。

そこには、

色も形もバラバラな、
少し不格好なリンゴが並んでいました。

でも、

近づくと――

とても、いい香りがしました。



店主のおばあさんは言いました。

「うちのリンゴはね、
時間がかかるのよ」

「でもね、ちゃんとこの町の味がするの」



少年は、
ひとつかじってみました。



派手さはありませんでした。

でも、

なぜか、もう一口食べたくなる味でした。



振り返ると、

あの金ピカ屋台は、
今日もにぎわっています。



もう少年は、
自分が食べるりんご
迷いはありませんでした。



「ぼくは、においで選ぶ」

相変わらず金ピカの屋台は大繁盛。
おばあさんの屋台はガラガラでした。






🍎おしまい🍎




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