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柏崎刈羽原発6号タービン建屋で金属疲労

2026年3月19日までに柏崎刈羽原発6号機で起きたことを整理する。
しかし、その前に2つの前置きをしておきたい。
・老朽原発で起きる「低サイクル疲労」と
・能登半島地震で志賀原発に起きたことについて


老朽原発で起きる「低サイクル疲労」

「低サイクル疲労」とは、原発の6つの老化現象の一つで、原発の運転に伴って温度や圧力の変化で金属が伸びたり縮んだりして繰り返し応力がかかって疲労すること。割れたり破断したりする。原子力規制委員会が原発の高経年化を評価する制度では、「低サイクル疲労」は原発の停止中は起きないと考えている。

運転開始から長期間経過した発電用原子炉の安全性を確保するための規制制度の全体像について」P7(2023年11月13日 原子力規制庁)
「長期施設管理計画の認可制度に関するQ&A」
(2023年7月13日 原子力規制庁)

能登半島地震で志賀原発に起きたこと

2024年1月1日に発生した能登半島地震で、北陸電力の志賀原発1号機と2号機の変圧器の金属部品が「延性破壊」や「疲労破壊」を起こした(既報)。北陸電力は、地震で小さな揺れが何度も起きて複数箇所が損傷したと説明した。共振が起きたので、変圧器を交換し、共振を抑制する対策を取った。

この時、金属の専門家(既報)と原子力規制庁実用炉審査部門に取材した。前者は金属疲労の計算には、低サイクル疲労だけではなく、地震による揺れで金属部品等に応力がかかることも計算に入れる。後者は、基準地震動よりも小さな揺れは、金属疲労の計算には入れないという奇妙な考え方を持っていることを知った(既報)。

「地絡」→「損傷」→「金属疲労」と発表が変化

さて、この2つを頭においた上で、2026年3月17日までの既報部分に、その後の取材でわかったことを含めて、柏崎刈羽原発6号機で起きたことを整理しておく。

12日午後4時頃:発電機から微少な地絡(漏電)を示す警報が発生。
13日午後6時25分:発送電停止を発表。原子炉は止めていない。20%の出力で動かし蒸気の熱を「主復水器」で冷やし海に捨てている。

原子炉で発生させた高温高圧の蒸気を発電機を回すタービンに送らず、主復水器にバイパスさせて、熱を海に捨てている状態が、3月21日現在も続いている(13日発表資料

15日:止めた発電機(タービン建屋2階)の下部で、接地導体(アースにつながる部品)の破損を発見。
16日午前:柏崎刈羽原発所長・稲垣氏は、破損があると報告は受けていたが、それが警報の原因かは特定できていなかったので、記者のぶらさがり取材で破損には言及せず、「実際に漏電が起きている可能性が高い」と回答。
16日夕方:所長が破損について詳細報告を受ける。
17日夕方:警報発生の原因は破損だと判断。
18日午前:破損について写真付きで小出し情報を公表

写真上の破断箇所と、
右下に落ちている「接地導体」は、本来一体。
破断した接地導体(タービン建屋1階)は、発電機(タービン建屋2階)と接地装置内のアースをつなぐ部品。過電流から発電機を守るための部品だという。(18日発表資料

19日午前の電話取材で、写真を見ながら「金属疲労ですよね」と尋ね、発電機周辺の機器の耐震性のクラスを尋ねた。

まさの:最後の点検は2025年12月だったということですが、ちゃんと点検はできていたんでしょうか。こんなに金属がスパッと断絶しちゃうのは、大地震がなければないし、最後の一揺れというか、タービンの振動が最後の一撃となって破損したのか。
広報:そういった可能性も含めて、今調査は実施しています。
まさの:どうみてもこの断絶の仕方は、金属疲労ですよね
広報言い切れないので調査してお知らせしたい。
まさの:金属の専門家に聞くと、金属疲労は、繰り返し応力がかかるのを合計するそうなんですが、2007年(中越沖地震で)どれぐらい揺れ、2011年(東日本大震災で)どれぐらい揺れ、2024年(能登半島地震で)どれぐらい揺れて、今回のタービンの揺れでどれぐらいと合計して金属疲労がどれぐらい溜まっていたかという分析はしますか。
広報:どういう分析の仕方になるかはわかりかねる。

19日午後:金属疲労について公表した。その疲労が起きた経緯の説明を聞くと、前置きした「原発が停止している時は金属疲労が起きない」説が根本にある説明がなされていることに気づく。

つまり、今回の破断は6号機が前回(2012年3月)までに動いていた間に起きた金属疲労で亀裂が入っていた①。今回のタービン起動で、発電機と共振が起きて大きく揺れて亀裂が進展して破損した②というのだ。つまり6号機が停止していた①と②の間には亀裂は進展しなかったという考えだ。

6号機 発電機微少地絡継電器動作 警報発報に関する原因と対策について
2026年3月19日 東京電力ホールディングス株式会社 柏崎刈羽原子力発電所

物理的には2007年、2011年、2024年にも揺れて、同じ部品に力がかかっているにもかかわらず、あくまで、発電機との共振が発生したことが原因だと広報は説明。対策としては、損傷した「接地導体」の長さ60センチを25センチに変えて、共振しないようにする。新しい「接地導体」は3月21日までに据え付ける予定で、他に問題が起きなければ、22日以降にタービンと発電機を起動するという。

なお、午前中に確認を頼んだ発電機周辺の耐震クラスについては、タービン建屋はBクラス、タービンはBクラス、発電機はCクラスだとわかった。

志賀原発についても思ったが、稼働から30年が経過しようとしている柏崎刈羽原発6号機で、金属疲労は他の部品で起きているとしても不思議ではない。

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6号機 発電機微少地絡継電器動作 警報発報に関する原因と対策について(2026年3月19日 東京電力ホールディングス株式会社 柏崎刈羽原子力発電所)

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